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ITエンジニアの質問の心得

2023/05/17に公開

はじめに

ITエンジニアという仕事は、他の職業より「質問」が重視される仕事です。

なんと言っても「ggrks(ググレカス)」で有名になった業界ですからね。もちろん、今ではこんなに直接的な表現はされません。使われる時も冗談まじりに笑いを誘う引用句としてです。しかし、質問が重要であるという事実は変わりません。

皆さんも、質問をした際に「自分で調べろ!」と言われたり、調べて自分で対処したら「勝手なことするな!」と言われたり、そんな経験があるのではないでしょうか。これは質問の準備が足りないことや質問をするタイミングを理解していないことによって起こります。それどころか「何が分からないのか分からない」ことだってあります。実は自分が何が分からないのか把握するには知識と技術が必要です。

今回は、「質問」への考え方と対処を、解説していきたいと思います。

目的

質問のコミュニケーションを円滑に行えるようにする。

内容

質問をする際に、意識しておくべきポイントは、以下の通りです。

  1. 自分ができるところまで調べてやっておく
  2. 質問をする前に自分が何が分からないのか把握する
  3. 本当に分からないことだけ質問する

さっそく、見ていきましょう。

自分ができるところまで調べてやっておく

自分ができるところまで調べてやっておくのは本当に大事なことです。

質問される側の気持ちを考えてみてください。調べてもいないし、できるところまでやってないでは、仕事を丸投げされたようなものです。嫌な気持ちになることでしょう。さらに言うと、実際にやったわけでも、調べたわけでもないので、質問者本人も「分からないところが分からない」状態です。回答者も分からないところが特定できなくて困惑してしまいます。

これを避けるためにも、「自分ができるところまで調べてやっておく」ようにしましょう。

調べ方のノウハウ

調べ方を知っていることも今後プログラミングをしていくうえで重要な能力の1つです。特に検索技術は必須の能力です。以下の検索例のように、関連するキーワードを列挙して、検索対象を絞って正解に近づけていきましょう。

調べてみた結果を実際に試してみましょう。
解決はしなくても、試す前よりあなたの問題や不明点は明確になっているはずです。

質問をする前に自分が何が分からないのか把握する

実は自分が何が分からないのか把握するには知識と技術が必要です。それゆえに「何が分からないのか分からない」ことは珍しくありません。しかも、その知識と技術は誰も教えてくれないし、上司や先輩も知っていなかったり、言語化できていなかったりするものです。そのため、冒頭で申し上げた「調べろと言ったり、勝手なことするな」という理不尽が生じるわけです。これを機に「自分が何が分からないのか把握する」スキルを習得しましょう。

①分からないが発生するケースを知っておく

「何が分からないのか分からない」が発生するのは、どの段階でどのように分からなくなるのかの知識がないからです。まずは、分からないが発生するケースを知っておきましょう。

[ 作る前 ]

  • 説明は書かれているが何故そうのように作るのか分からない
    何故その機能を実装するのか、どのような流れで実現するのか、を作る前に理解してないことが、作る前の「分からない」の原因になります。作る時と作った後に大きく影響してきます。

[ 作る時 ]

  • 分からないものがあるが検索の仕方(キーワード)が分からない
  • 説明は書かれているが説明が乏しく理解できない
  • 説明は書かれているが書き方や用語が専門的すぎて理解できない

[ 作った後 ]

  • 実際に作ってみたが思うように動かずにその原因がわからなくて特定方法もわからない
  • 原因だと考えられることが複数あり特定できない
  • 原因はわかるがその解決方法が分からない
  • 解決方法は見つかったがその説明が乏しく理解できない
  • 解決方法は見つかったが書き方や用語が専門的すぎて理解できない

このように段階に応じて、様々な理由によって、「分からない」が発生します。質問をする際には、何が原因でどのように分からないかを伝える必要があります。ここで紹介した「分からないが発生するケース」は、それらを言語化して説明するのに大きく役立ちます。この言い回しを説明の際に使用すると質問がスムーズにできることを覚えておきましょう。

②自分の置かれている状況を整理する

まずは、分かっている範囲と分からない範囲を明確にしましょう。そうしないと「何が分からないのか分からない」になります。そのためには、下記の流れで作業に取り組むようにしましょう。

  1. 作業を分解してスモールステップで取り組む
    作業を分解することで分からないところを特定しやすくすることができます。
  2. 分からないことをメモする
    忘れると分からないことを見失ってしまいます。
  3. 分からないことを検索する
    分からないことのキーワードを列挙して、検索の精度をあげると正解に近づきやすいです。
  4. 「調べたこと」+「分からない部分」を箇条書きする
    質問文を作る際に、問題点の整理ができるようになります。

これを実施すれば、自分の置かれている状況が整理されて、分かっている範囲と分からない範囲が明確になっているはずです。

③正しく伝わる質問を考える

分かっている範囲と分からない範囲が明確になったら、次は論点を整理して正しく伝わるようにしましょう。時間に余裕があるのなら、質問文として書き出すのが有効です。質問には、「調べたこと」+「分からない部分」を必ず盛り込んでください。

注意すべき点は、

  • 他の人が理解できる内容ですか?
  • 何を教えてほしいのか伝えていますか?
  • 質問に答えるために必要な情報を伝えていますか?

という部分です。

伝わってこそのコミュニケーションであることを忘れないようにしましょう。

本当に分からないことだけ質問する

質問を考える中で、自分の疑問点が整理されて、自己解決できたことも多くあったのではないでしょうか。それでも「分からない」が残ったものが、本当に分からないものです。ここまでに「質問」は考え抜かれているはずです。質問をして解決に導きましょう。

まとめ

質問は知識と技術が必要なノウハウだと理解できたのではないでしょうか。特に「自分が何が分からないのか把握する」ために、分からないが発生するケースを知っておくというのは、知識として知ってなければ言語化することすら困難です。自分が質問する場合においても、質問された場合においても、問題特定するための重要な手掛かりになります。ぜひ、この機会に言語化できるようになっていただきたいと思います。質問で困る人が少しでも減ることができたなら幸いです。

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