輪読会を通じて学びを共有する実践方法
はじめに
こちらはe-dash advent calendar 2024の5日目の記事です。
弊社のプロダクト開発部では、学びを深め、チームの知識を共有する場として、定期的に輪読会を開催しています。
この取り組みでは、メンバーがテーマを提案し、興味のある人が自由に参加できる形式を採用しています。
技術書を中心に、プログラミング言語の公式ドキュメントやライブラリのガイドラインなども題材にしており、多角的な視点や新たな気づきを得る機会を提供しています。
本記事では、輪読会の目的や形式、具体的な運営方法についてご紹介します。
この取り組みが、これから輪読会を始める方や、すでに実践されている方の参考になれば幸いです。
輪読会の目的
輪読会において重要なのは下記だと考えています。
- チーム全体で学びを共有する
- 新たな視点を得る
- 学びの習慣を育てる
私たちの開発部ではリモート勤務のメンバーが多いため、このようなイベントは単なる学びの場にとどまらず、コミュニケーションを深める貴重な機会にもなっています。
輪読会の形式
輪読会にはさまざまな形式があり、それぞれにメリットと課題があります。
以下に主な形式と、私たちが実際に行ったうえで感じた特徴をご紹介します。
読書会方式
その場で全員がテキストを順番に音読しながら、内容を理解しつつ、その都度議論を行う形式です。
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気軽に始められる
事前準備が不要なため、参加者は気軽に参加できます。その場で議論を進めることで、リアルタイムの気づきを共有できます。
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理解の深さにばらつきが生じやすい
初見で内容を進めるため、複雑なテーマや専門的な内容では理解が浅くなることがあります。
ディスカッション方式
指定された範囲を事前に読み込んでおき、感想や意見を共有した上で議論を行う形式です。
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議論の質が高まる
事前準備を行うことで、各自が深く内容を理解した状態で議論に臨めます。技術書や専門書に適しており、参加者同士の知見をより深めることができます。
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準備が必要で参加のハードルが上がる
事前の読み込みや意見の整理が必要なため、忙しいスケジュールの中では参加が難しくなる場合があります。
ライトニングトーク方式
各参加者が特定の章やテーマを担当し、内容を発表した後で全員で議論を行う形式です。
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担当部分の理解が深まる
担当範囲について調査や準備をするため、個々の参加者がその分野に詳しくなります。発表を通じてアウトプットのスキルも向上します。
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全体の理解が偏る可能性がある
担当部分以外については、概要しか把握できないことがあり、全体像を共有する工夫が必要です。
弊社での取り組み
弊社では、定期的に輪読会のテーマを募集し、提案者が主導して開催しています。
参加は任意で、自分が興味のあるテーマにのみ参加可能です。また、複数のテーマに参加するメンバーも少なくありません。
また、本の費用は会社が全額負担され、さらに業務内の時間を利用して参加できるため、負担なくスキル向上を目指せます。
現在開催中のテーマは以下の通りです。(2024年12月現在)
弊社の輪読会では、日々の業務に役立つ具体的な知識を学び合い、スキルの向上に繋げています。
技術的な課題の発見や新しい視点の獲得など、多くの実践的な成果を得ています。
例えば、直近開催された『Go言語 100Tips ありがちなミスを把握し、実装を最適化する』の輪読会では、以下のような学びの声が上がっています。
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スライスを頻繁に利用しているが、メモリの扱い方まで理解した実装をしていなかった。リソースの無駄遣いをしていることを知り、改善できそうな知識を得られた。
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Goで提供されているembeddedという機能を知らなかったが、非常に便利だと感じた。早速、活用してみたいと思う。
このように、日常業務で即活用できる具体的な知識が得られる点が、弊社の輪読会の魅力です。
1つのテーマにつき、参加人数は5~8名程度で、正社員だけでなく、業務委託の方も気軽に参加しています。
弊社では主に、読書会方式とディスカッション方式を採用しています。
こちらは、ディスカッション形式で開催した際の様子を撮影した画像です。
参加者は、気になった文章を引用し、それに対する自身の意見や、理解が難しい部分へのコメントを記入しています。
開催方式は、各テーマに応じて、参加者同士で最適な方式を話し合って決定しています。
以前はディスカッション方式が主流だったものの、事前準備の負担が大きく、参加率が低下する課題がありました。
このため、最近では事前準備が不要な読書会方式を採用することが増えています。
また、輪読会を円滑に進行するために、毎回ファシリテーターを選任し、メンバー全員が順番にその役割を担う形で運営しています。
ファシリテーターの役割は、議論を整理し、時間管理を行いながら、活発な意見交換を促進することです。
これからの輪読会に向けて
私たちの会社では、輪読会を通じて学びを深めるだけでなく、チーム全体の心理的安全性を向上させたり、参加者の自己成長を促したりと、多くの効果を実感しています。
これからも、書籍のテーマや参加者の状況に応じて形式を柔軟に調整しながら、より効果的な輪読会を運営していきたいと考えています。
また、新たな手法や取り組みを試しながら、チーム全員で成長できる場を作り続けていきたいと思います。
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