ユーザー視点のSONiC @NFD32 Pannel
"Tech Field Day" は様々な技術テーマを "Delegate Panel" と呼ばれるユーザサイドな人々がラウンドテーブルで、または製品・サービス・技術を提供するベンダ(メーカー)企業がプレゼンした内容を元にディスカッションするイベントです。その中でもネットワーク技術に特化した回は "Network Field Day (NFD)" と呼ばれ、2023年7月26日に、32回目の NFD32 が開催されました。
その1セッションである "Is SONiC The Future of Switching?" が(自分が普段接している)開発者やSONiCのガチユーザ(主にHyper Scaler)視点ではなく、エンタープライズや通信事業者などの技術者やBloggerなどの Network OS に精通していない、ユーザ視点でのコメントが聞けて面白かったのでメモ。
- イベントページ:https://techfieldday.com/event/nfd32/
- YouTube録画(34分):https://www.youtube.com/watch?v=5W7SYVkKED0
まず SONiC の特長は "APIやXMLで設定運用可能な、ソフトウェア指向なスイッチ" というコメントが多く、特に Kubernetes (K8s) と比較されていたのが印象的。
これは SONiC の内部アーキテクチャが機能毎のDockerコンテナで構成されている事に由来するのか?と想像。
ただ、K8s的に機能を柔軟にEnable/Disableしたりインスタンスを増やしてスケールできるわけではないので、K8sと比較すべきかどうかは自分自身このアーキテクチャの利点や特長をもっと深く考える必要があると感じた。
図:SONiC High Level Architecture
https://github.com/sonic-net/SONiC/wiki/Architecture
また、日頃SONiCの利用ではなく実装と触れ合っているからか、"API(REST/gNMI)を提供する SONiC Management Framework はまだ未成熟" という印象であったので立場による見え方の違いが興味深い。
推測ではあるが、Hyper Scaler (MS Azure, Alibaba 等)を中心に利用されるSONiCだが、ここ数年 HedgeHog, PANTHEON.tech, AVIZ Networks 等がエンタープライズ企業向けに提供する自動化やインテントネットワークを実現する "オーケストレーション・プラットフォームの構成要素(スイッチ)" として利用されているため、エンタープライズに近いパネリストからは "APIドリブンなスイッチ" と見えているのかもしれない。
- HedgeHog: https://githedgehog.com/
- PANTHEON.tech s.r.o: https://pantheon.tech/
- AVIZ Networks: https://www.aviznetworks.com/
HedgeHog + SONiC で検索するとゲームしか表示されず検索性が悪くて損していそう...
単なるL2/L3スイッチであればベンダ製品が安価に入手可能になってきているので、その目的で SONiC を利用するには手間のわりに安定性、機能不足、サポートなどのデメリットが目立つと思うので、トータルソリューションの1パーツという利用がエンタープライズ企業での利用が広まるきっかけになるのかもしれないと感じた。
SONiCの実装だけでなく、SONiCを取り巻くエコシステムにも今後注目すると面白いか?
最後に、エンタープライズ企業がSONiCを採用検討する際の注意点としては、"ディスアグリゲーションをささえるSAIの提供や拡張を Broadcom がいつまで継続するか?" という事が繰り返し議論されていた。
これは Network OS (NOS) に関わる人であれば誰しも感じる事なので、スイッチ(ASIC)の大量購入顧客である Microsoft から OCP (SAI) & Linux Foundation (SONiC) といったNPOに管理が移動した事が、良し悪しどちらの影響があるのか引き続きウォッチする必要がありそう。
また、Microsoftを始め Hyper Scaler はより効率的な手法が見つかれば一気にそちらにマイグレーションする事もある事がリスクとして指摘されていた。同時に、SONiCはかなりモジュラーで柔軟なアーキテクチャになっているので、例えばルーティングデーモンに不満があってもそれだけリプレース可能なため、Microsoftは当面SONiCの利用や改善を続けるのでは無いか?というコメントも出ていた。
特に結論が無いパネル内容ではあったが、時折こうして様々な異なる視点から考える事がSONiCのエコシステム拡大に繋がると思うので、実装だけでなく周辺技術やソリューションに関しても調査を続けたい。
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