アイデアの貯金
アイデアを貯金する
日々行われる遊びの中で、どのようにしてアイデアとして昇華するべきか、昇華のコツを考察します。
ゲームを開発する、ゲームを作り込む上で、どのようにして質の高い遊びを提供するべきかを考えていきます。
この記事は、ロジェカイヨワの「遊びと人間」を引用し、考察しています。
遊びの先にあるもの
カイヨワは、遊びが単なる個人的な楽しみを超えて、文化的、社会的な現象であると指摘します。遊びには技術だけでなく、競争や観客の存在が不可欠で、これがプレイヤーに新たな挑戦と動機を提供すると述べています。例えば、凧あげや独楽のような遊びは単独で行われることもありますが、競争となると集団的な喜びや文化的な交流が生まれます。また、遊びの進行には規則が形成され、これが社会的な合意として機能することが示されています。
カイヨワは遊びが集団的な興奮や熱狂を引き出し、社会化された形態としてスポーツや舞台芸術、祭りなどに表れることを解説します。
具体的な取り組み
カイヨワの分析からゲーム開発に向けての重要な洞察が得られます。遊びは多層的な社会的活動であり、プレイヤー間の相互作用や観客の参加が体験を豊かにします。
ゲームデザインにおいて以下の要素を考慮することが推奨されます。
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社会的相互作用の強化:プレイヤーが互いに競争や協力を通じて関わることで、ゲームの魅力を増します。これにより、プレイヤーはより長くゲームに引き付けられる可能性があります。
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文化的要素の統合:ゲーム内に文化的な要素や習慣を取り入れることで、プレイヤーに新たな体験や教育的価値を提供できます。
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観客の活用:ライブイベントや配信を通じて、観客がプレイヤーの行動を見ることができる機能を設けることで、ゲームの外でも楽しめる要素を提供します。
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遊びの進化:遊びの形態は進化し続けており、これを理解し適応することで、ゲームが時代や文化に合わせて成長し続けることができます。
カイヨワの理論をゲーム設計に応用することで、より深いプレイヤーのエンゲージメントと文化的リッチネスをゲームにもたらすことが可能です。
個人の欲求
いいゲームを開発するためには、いろいろなゲームをプレイする必要があると考えます。
その行いが、個人の欲求なのか、アイデアの積み重ねに必要なものなのか、とてもデリケートな問題に発展するケースがあります。
誤解や遊びに堕落するような事がないよう、意志を持ってどのように取り組むべきかを考察します。
規則を作る
カイヨワは遊びが自由で隔離された、未確定で非生産的な活動であり、規則に基づいた虚構の活動であると定義しています。
遊びと現実の境界が曖昧になると、遊びはその本質を失い、遊びにおける本能の逸脱が生じます。
彼は遊びの四つのカテゴリー(アゴン、アレア、ミミクリ、イリンクス)を挙げ、それぞれがどのように日常生活に影響を与えるかを説明しています。
特に、遊びの規則が無視されると、遊びは自己破壊的な形をとることがあり、その結果、遊びの教育的役割が損なわれます。
ロジェ・カイヨワが論じる「遊び」が日常生活に与える影響は、遊びと現実の境界が曖昧になる際の様々な心理的、社会的影響について考察しています。彼の理論では、遊びが持つ本来の形式と自由が日常生活に侵入することで、しばしば負の影響を引き起こす可能性があると指摘しています。ここでは、遊びのカテゴリー(アゴン、アレア、ミミクリ、イリンクス)ごとの影響を具体的に解説します:
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アゴン(競争): 遊びの中で競争は、能力を最大限に発揮しようとする動機付けを提供します。しかし、日常生活への影響として、過度の競争心が現実の対人関係においても過剰な競争を引き起こすことがあり、これが個人間の関係にストレスや対立を生じさせることがあります。
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アレア(運): 遊びの中で運(命)を受け入れることは、不確実性への対処法を学ぶことにもつながります。しかし、現実世界でこの原則が過剰に影響を与えると、運命に全てを委ねる受動的な態度や迷信が強まる可能性があります。
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ミミクリ(模倣): 他人の役を演じることは創造性や同情心を育むことができますが、現実においても自己のアイデンティティを失い、他人の性格や特徴を模倣しすぎることで本来の自己が失われる危険があります。
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イリンクス(眩暈): 遊びにおいて一時的な失調感を楽しむことは、日常からの逃避として機能しますが、この要素が現実に影響を及ぼすと、物理的なリスクを伴う行動や、薬物使用などの有害な行為に走る可能性があります。
カイヨワは、これらの遊びの要素が、適切に管理され、規制されている限りにおいては、個人の発展に寄与すると考えていますが、遊びが日常生活に溶け込むことで、それぞれの要素が本来の範囲を超えてしまうと、破壊的な結果を招くことがあると警告しています。
この理解は、遊びの設計や日常生活におけるバランスの重要性を強調しています。
恣意的な振る舞いを避ける
明らかなのは、「遊びが個人の心理的な欲求を形式的に満たす手段」であるということです。
しかし、その規則が無視されたり、遊びが日常生活に侵入すると、遊びの本質が腐敗し、元々の機能を果たさなくなるリスクが生じます。
この理論をゲーム開発や遊びのアイデアに応用する際には、遊びの規則を明確にし、プレイヤーがそれに沿って行動することを保証することが重要です。
アイデアの蓄積における取り組み方
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規則の明確化: 遊びの規則をはっきりと設定し、プレイヤーにその枠内で活動するよう促します。これにより、遊びがランダムまたは破壊的な方向に逸脱するのを防ぎます。
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教育的要素の統合: 遊びを通じてプレイヤーに何かを学ばせる要素を取り入れることで、遊びが単なる時間の浪費ではなく、有意義な活動に変わります。
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遊びの社会的側面の強化: 遊びを個人の孤立した活動ではなく、コミュニティの一部として設計します。これにより、プレイヤーは他人との関係性の中で遊びを楽しみ、社会的な結びつきを深めることができます。
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バランスの取れた遊びの促進: アゴン(競争)、アレア(運命)、ミミクリ(模倣)、イリンクス(眩暈)の各要素を適切に組み合わせ、遊びが一方向に偏らないようにします。
これらの取り組みを通じて、遊びをただの個人的な欲求の発露ではなく、創造的で建設的な活動に変えることができます。
カテゴリ | 社会機能の外にある文化的形式 | 社会生活に紛入されている制度的形態 | 堕落 |
---|---|---|---|
アゴン 競争 | スポーツ | 企業間の競争、試験、コンクール | 暴力、権力意識、術策 |
アレア 運 | 宝くじ、カジノ、賭博 | 株式売買 | 迷信、占星術など |
ミミクリ 表現 | カーニバル、演劇 | 制服、礼儀作法、葬式 | 狂気、二重人格 |
イリンクス 緊張 | スキー、空中サーカス スピードの病魔 | 耐震設計 | アルコール中毒、麻薬 |
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