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Unityを通じて3D空間、グラフィックを理解する

2024/04/06に公開

はじめに

ゲーム開発の旅を始める上で、開発者が最低限理解すべきコンピュータの基本的な仕組み、グラフィックスの原理、そしてスクリプティングの技術について、本記事では詳しく掘り下げていきます。
コンピュータの心臓部であるCPUとGPUの役割と相互作用から始め、これらがどのようにして3D空間のレンダリングやアプリケーションの実行に影響を与えるかを解説します。
Unityエンジンを用いたゲーム開発では、これらのハードウェアコンポーネントの理解が不可欠です。

続いて、ゲーム開発におけるグラフィックスの基礎を学びます。
ここでは、ビルトインレンダーパイプラインから、より高度なUniversal Render Pipeline (URP) やHigh Definition Render Pipeline (HDRP) まで、Unityで利用可能なレンダリングパイプラインの違いとその選択がプロジェクトに及ぼす影響について説明します。
グラフィックスの質とパフォーマンスのバランスを取る方法を学ぶことで、開発者は目的に合った最適なパイプラインを選択できるようになります。

最後に、UnityにおけるC#スクリプティングへと進みます。
ここでは、UnityEngineとUnityEditorの間の重要な違いを理解し、ランタイムとエディタのコンテキストでのファイルシステムの使い分け、アセットの管理方法について学びます。
また、ガーベージコレクションの概念とそのゲームパフォーマンスへの影響も触れ、効率的かつ効果的なゲーム開発のためのスクリプティングの基礎を固めます。

本記事を通じて、読者はゲーム開発におけるテクニカルな側面に対する堅固な理解を築き上げることができるでしょう。
これらの知識を基に、読者は自信を持ってUnityを用いたゲーム開発プロジェクトに取り組むことができるようになります。

CPUとGPU

CPU(Central Processing Unit):中央処理装置

  • 役割:コンピューターの「脳」とも言える部分で、プログラムの命令を解釈・実行し、データの計算や処理を行います。
  • 特徴:多様なタスクをこなせる汎用性が高いプロセッサです。一度に少数の計算処理を高速に行います。
  • 用途:オペレーティングシステムの実行、アプリケーションの動作、一般的なプログラミングタスクなど。

GPU(Graphics Processing Unit):グラフィックス処理装置

  • 役割:画像やビデオの処理を専門に行う部分で、3Dグラフィックスの生成や画像処理を高速に行います。
  • 特徴:単純な計算処理を並列に大量に行うことができるため、特に画像や動画のレンダリングに適しています。
  • 用途:ビデオゲーム、映像編集、3Dモデリング、深層学習などのグラフィックス重視の処理。

CPUとGPUの違い

  • 処理の種類:CPUは汎用的な計算に優れ、さまざまな種類のタスクを処理できます。GPUは画像処理や3D計算など、特定の種類の計算を並列で大量に処理することに特化しています。
  • 並列処理能力:CPUは一度に数個から数十個のスレッドを処理することができますが、GPUは数千から数万のスレッドを同時に処理する能力があります。
  • 使用される場面:CPUはシステム全体の指示を処理し、基本的な計算やタスクの実行に使われます。GPUは主に画像処理や計算処理の負荷が高いタスクに使われます。

Unityを使う際には、特にGPUの性能が3Dグラフィックの描画速度や品質に大きく影響します。そのため、3Dゲームやアプリケーションを開発する場合、良いGPUを搭載したパソコンを使うことが推奨されます。

それぞれの役割

CPUとGPUがどのように協力してグラフィックスを処理するかを理解するには、レンダリングパイプラインというプロセスを知る必要があります。レンダリングパイプラインは、3Dモデルを画面上に表示するまでの一連のステップです。このプロセスの中で、「Draw Call」や「Set Pass」などの用語が登場します。これらの用語を中心に、具体的な処理とワークフローについて説明しましょう。

レンダリングパイプラインの基本

  1. アプリケーションステージ(CPU側)

    • 3Dオブジェクトの準備:ゲームエンジン(Unityなど)がCPUに指示を出し、シーンに含まれる3Dオブジェクトのデータを準備します。
    • Draw Callの発行:CPUはGPUに対して、特定の3Dオブジェクトを描画するための命令(Draw Call)を発行します。Draw Callには、使用するテクスチャ、メッシュデータ、シェーダーなどが含まれます。
  2. ジオメトリステージ(GPU側)

    • 頂点処理:GPUの頂点シェーダーが各頂点の位置、色、法線などを計算します。
    • テッセレーション(任意):より細かいジオメトリへの分割を行います。
    • ジオメトリシェーダー(任意):頂点データに基づいて新たな形状を生成します。
  3. ラスタライゼーションステージ(GPU側)

    • ラスタライゼーション:ジオメトリ(形状)データをピクセルデータに変換します。このプロセスで、どのピクセルが画面に表示されるかが決定されます。
  4. フラグメントステージ(GPU側)

    • ピクセルシェーダー/フラグメントシェーダー:各ピクセルの最終色を計算します。ライティング、テクスチャマッピング、シャドウなどがここで処理されます。
  5. 出力マージステージ(GPU側)

    • 最終画像の合成:計算されたピクセルデータを組み合わせ、最終的な画像をフレームバッファに出力します。

Draw CallとSet Passについて

  • Draw Call:GPUに対する描画命令のことで、これによりGPUは特定のメッシュを描画します。Draw Callはコストが高い操作なので、これらを最小限に抑えることがパフォーマンス向上につながります。
  • Set Pass:シェーダーやマテリアルの切り替えを指します。例えば、異なるマテリアルを持つオブジェクトを描画する際、GPUは新しいマテリアルの設定(Set Pass)が必要です。Set Passの回数もパフォーマンスに影響するため、効率的なマテリアルとシェーダーの管理が重要です。

CPUとGPUの間でのこのような処理とワークフローが、3Dグラフィックスのレンダリングの基本を形成しています。Unityでは、これらのプロセスが

背後で効率的に行われるよう最適化されているため、開発者はよりクリエイティブな部分に集中できます。

レンダーパイプラインとは?

Unityでは、ゲームやアプリケーションのグラフィックスをどのように描画するかを管理するために、「レンダーパイプライン」という仕組みが使われています。Unityには主に3種類のレンダーパイプラインがあります:ビルトインレンダーパイプライン、URP(Universal Render Pipeline)、HDRP(High Definition Render Pipeline)。それぞれの目的と特徴を初心者にもわかりやすく説明します。

レンダーパイプラインは、3Dシーンを画面上に描画するための一連のステップを定義します。
これには、モデルの読み込み、ライティングの計算、シェーダーの適用、最終的な画像の出力などが含まれます。
Unityの異なるレンダーパイプラインは、これらのプロセスをどのように実行するかについて異なるアプローチを提供し、それぞれ特定のタイプのプロジェクトやパフォーマンス要件に最適化されています。

ビルトインレンダーパイプライン

  • 概要:Unityのデフォルトのレンダーパイプラインです。長年にわたってUnityに組み込まれてきた伝統的なレンダリング方法で、様々なプラットフォームでバランスの取れたパフォーマンスを提供します。
  • 特徴:幅広いハードウェアに対応していますが、最新のグラフィックス機能や最適化技術をフルに活用することはできません。

URP(Universal Render Pipeline)

  • 概要:さまざまなプラットフォーム(モバイル、PC、コンソール)で高品質なグラフィックスを実現しつつ、パフォーマンスを向上させるために設計されたレンダーパイプラインです。
  • 特徴
    • パフォーマンスと可搬性に優れています。
    • シンプルで使いやすい設定が特徴です。
    • 2D、3Dの両方に対応しており、特にモバイルやVRの開発に適しています。

HDRP(High Definition Render Pipeline)

  • 概要:高い品質のビジュアルを求めるPCやコンソールゲーム、VRアプリケーション向けに設計されたレンダーパイプラインです。
  • 特徴
    • 高度なグラフィックス技術(リアルタイムレイトレーシングなど)をサポートしています。
    • 詳細な物理ベースのレンダリング、美しいライティング、リアルなマテリアル表現が可能です。
    • 設定や管理が複雑で、高性能なハードウェアが必要です。

URPやHDRPを選択することで、Unity開発者はプロジェクトのニーズに合わせて最適なグラフィックス品質とパフォーマンスのバランスを選択できます。また、これらのレンダーパイプラインはカスタマイズ可能で、特定のグラフィカルな要求に合わせてさらに調整を行うことが可能です。

メモリーとストレージ

Unityを起動してプロジェクトを作業する際、PCのメモリ(RAM)が活用されます。
ここで、メモリとストレージの関係について説明します。

メモリ(RAM: Random Access Memory)

  • 役割:メモリは、コンピュータがアクティブに使用しているデータやプログラムを一時的に保存するためのものです。Unityを含むアプリケーションが実行されるとき、そのプログラムのデータや作業中のプロジェクトファイルなどがメモリにロードされ、高速にアクセスできるようになります。
  • 特徴:メモリはアクセス速度が非常に速く、プロセッサ(CPU)が直接、迅速にデータにアクセスできるように設計されています。しかし、電源が切れるとその中のデータは失われます(揮発性)。

ストレージ(HDD/SSD)

  • 役割:ストレージは、長期的にデータを保存する場所です。アプリケーションのインストールファイル、ドキュメント、メディアファイルなどがここに格納されます。Unityプロジェクトのファイルも、作業が終わった後にここに保存されます。
  • 特徴:ストレージはメモリよりもアクセス速度が遅いですが、電源が切れてもデータを保持できる(非揮発性)ため、長期保存に適しています。HDD(ハードディスクドライブ)は従来のストレージの形式で、SSD(ソリッドステートドライブ)はより速いアクセス速度を持つ新しい形式です。

UnityとPCリソースの利用

Unityを起動すると、そのアプリケーション自体がストレージ(HDD/SSD)からメモリにロードされます。さらに、開いているプロジェクトのアセットや現在編集中のシーンなどのデータもメモリに一時的に格納され、迅速なアクセスと処理が可能になります。Unityでの作業中には、メモリの使用量が増加することが一般的です。大きなプロジェクトや複雑なシーンを扱う場合、十分なメモリ容量が必要となります。作業を終えてプロジェクトを保存すると、そのデータは再びストレージに書き戻されます。

メモリとストレージの違いとそれぞれの役割を理解することは、Unityをはじめとするアプリケーション開発において重要です。それによって、効率的な作業フローの計画や、必要なPCリソースの見積もりが可能になります。

はい、Unityを起動して開発を進める際にHierarchyにインスタンスされている情報も、Unityアプリケーションと同様にPCのメモリ(RAM)を使用しています。Unityエディタやゲームのランタイムでのメモリの使い方には確かに違いがあります。これらの違いについて具体的に説明しましょう。

開発中のUnityエディタでのメモリ使用

  • Unityエディタを使用している間、シーンにあるオブジェクト、アセット、スクリプトなどのすべての情報はメモリにロードされます。これにより、リアルタイムでの編集やプレビューが可能になります。
  • Hierarchyにインスタンスされているオブジェクトもメモリ上に存在しており、これによってUnityエディタはオブジェクトの状態を追跡し、変更をリアルタイムで反映できます。
  • エディタ中には、デバッグ情報や開発ツールなど、追加のメモリが使用されることがあります。これは開発の便宜を図るために必要なメモリ使用であり、ランタイム時には必ずしも必要ではありません。

ゲームのランタイム時のメモリ使用

  • ゲームが実際にプレイされる時(ランタイム)、Unityは必要なアセットやオブジェクトのみをメモリにロードします。このとき、エディタで使用されるデバッグ情報や開発ツールはロードされません。
  • ランタイムでは、メモリの使用が最適化され、ゲームのパフォーマンスや効率が重視されます。例えば、使用されていないアセットはメモリからアンロードされることがあります。
  • ゲーム開発中にUnityエディタで使用するメモリ量と比べ、ランタイムではメモリの使用量を抑えるためにさまざまな最適化が施されます。これには、アセットバンドリング、オブジェクトのプーリング、遅延ローディングなどのテクニックが含まれます。

開発とランタイムのメモリ使い分け

  • 開発時:Unityエディタは開発の便宜を図るために多くのリソースをメモリにロードします。開発者が迅速に作業できるようにするため、多くの情報がリアルタイムでアクセス可能な状態に保たれます。
  • ランタイム時:ゲームやアプリケーションのパフォーマンスと効率を最大化するため、必要最小限のアセットと情報のみがメモリにロードされます。不要なリソースはメモリから積極的にクリアされ、メモリ使用量の最適化が図られます。

このように、Unityエディタでの開発時とゲームのランタイム時ではメモリの使い方が異なり、それぞれの状況に最適な形でリソースが管理されます。開発者はこの違いを理解し、特にパフォーマンスが重要なゲームやアプリケ

ーションを開発する際には、メモリの最適化に注意を払う必要があります。

ガーベージコレクションとは

ガーベージコレクション(GC)は、プログラムが動的に確保したメモリ領域のうち、もはや使用されなくなった部分を自動で検出し、解放する仕組みです。これにより、プログラマがメモリ管理を手作業で行う負担が軽減され、メモリリークや不正なメモリアクセスによるバグを減らすことができます。Unityを含む多くの高レベル言語やフレームワークでは、このガーベージコレクションが重要な役割を果たしています。

ガーベージコレクションの基本的な仕組み

  1. 到達可能性分析(Reachability Analysis)

    • GCは「到達可能性分析」という手法を用いて、プログラムから到達可能な(つまり、プログラムが実行中に参照している)オブジェクトを特定します。プログラムのルートセット(グローバル変数、アクティブなスタックフレーム内の変数など)から開始して、参照をたどり、到達可能なオブジェクトをマークします。
  2. メモリの解放

    • マークプロセスが完了すると、マークされていないオブジェクト(つまり、プログラムから到達不可能と判断されたオブジェクト)は不要と見なされ、GCによってメモリが解放されます。これにより、解放されたメモリ領域は再利用可能となります。

ガーベージコレクションの動作タイミング

GCは、メモリが不足した時、あるいは定期的に実行されるタイミングで動作することが多いです。その動作は、実行環境や設定によって異なります。例えば、.NET環境(Unityで広く使われている)では、GCは自動的にも手動でのトリガーも可能です。

ガーベージコレクションの影響

  • メリット:自動的なメモリ管理により、開発者はメモリリークを心配することなく、アプリケーションロジックの開発に集中できます。
  • デメリット:GCの実行中は、それが完了するまでアプリケーションの他の部分の実行が停止することがあります。この「停止時間」は、特にリアルタイム性が求められるアプリケーションでは問題となることがあります。

Unityにおけるガーベージコレクション

Unityでは、C#言語が使われるため、.NETのガーベージコレクションが利用されます。ゲーム開発において、GCによる停止時間を最小限に抑えるために、不要なメモリ割り当てを避ける(例:ループ内での新規オブジェクトの生成を避ける)、プールシステムの利用などのテクニックが推奨されます。

ガーベージコレクションは、メモリ管理を大幅に簡単にする一方で、その動作には理解と注意が必要です。特に、ゲームやリアルタイムアプリケーション

を開発する際には、GCの動作がパフォーマンスに与える影響を把握し、適切な最適化戦略を立てることが重要です。

.NET(ドットネット)とは

.NET(ドットネット)は、Microsoftが開発したプログラミングフレームワークで、アプリケーションの開発と実行をサポートする一連のツール、ライブラリ、言語機能を提供します。Windowsプラットフォームに特化していた時代もありましたが、現在では.NET Core(後に.NET 5以降として単に.NETと呼ばれるようになった)の導入により、クロスプラットフォームでの開発が可能となりました。これにより、WindowsだけでなくLinuxやmacOSでの実行もサポートされています。

.NETの主な特徴

  • 言語の多様性:C#、VB.NET、F#など、複数のプログラミング言語をサポートしており、開発者は得意な言語を選択してアプリケーションを開発できます。
  • クロスプラットフォーム:.NET Core(現.NET 5以降)により、Windows、Linux、macOSでのアプリケーション実行をサポート。これにより、さまざまな環境での開発が可能になりました。
  • 統合開発環境(IDE):Visual Studioという強力なIDEを利用することで、コードの編集、デバッグ、GUIデザイン、バージョン管理など、アプリケーション開発に必要な作業を一貫して行えます。
  • 豊富なライブラリ:.NET Frameworkや.NET Core/.NET 5以降は、ネットワーク、データベースアクセス、グラフィックス処理など、アプリケーション開発に必要な豊富な機能をライブラリとして提供しています。
  • ガーベージコレクション:メモリ管理を自動化するガーベージコレクション機能を提供し、開発者がメモリリークなどの問題を心配することなく、よりビジネスロジックに集中できる環境を提供します。

Unityと.NET

Unityでの開発においても.NETは大きな役割を果たしています。UnityのスクリプティングはC#で行われ、.NETのライブラリや機能を活用してゲームやアプリケーションのロジックを記述します。Unityは特定の.NETバージョンに対応しているため、Unityで使用できる.NETの機能やライブラリには制限がありますが、ガーベージコレクションやLINQ、タスクベースの非同期プログラミングなど、多くの便利な機能を利用することができます。

.NETを使用することで、Unity開発者は強力なプログラミング言語と広範なライブラリのサポートを享受でき、ゲームやアプリケーションの開発を効率的に行うことが可能です。

C#スクリプティング(プログラミング)

Unityでのスクリプティングは主にC#(シーシャープ)で行われます。C#は、Microsoftによって開発されたオブジェクト指向のプログラミング言語で、.NETフレームワークと密接に関連しています。Unityでは、C#を使用してゲームオブジェクトの振る舞いを定義したり、ゲーム内のロジックを記述したりするための主要な言語として採用されています。

UnityとC#の関係

  • アクセス可能なAPI:UnityはC#で書かれた豊富なAPIを提供しており、これにより開発者はゲームオブジェクトの管理、物理演算の制御、アニメーション、オーディオ再生、ユーザー入力の取得など、幅広い機能を実装することができます。
  • スクリプティングの柔軟性:C#のオブジェクト指向機能を活用することで、再利用可能で保守しやすいコードの作成が可能になります。これにより、複雑なゲームの開発も管理しやすくなります。
  • .NETの利点:UnityでのC#プログラミングは.NETフレームワークの一部の機能にアクセスできるため、ガーベージコレクション、非同期プログラミング、LINQ(Language Integrated Query)などの高度なプログラミング概念とテクニックを利用することができます。

C#を選ぶ利点

  • 学習しやすい:C#は比較的学習しやすい言語であるため、プログラミング初心者にも理解しやすい構文を持っています。
  • 強力なツールのサポート:Visual Studioなどの強力な開発環境がC#の開発をサポートしており、デバッグ、コードの自動補完、リファクタリングなどの機能を利用できます。
  • コミュニティのサポート:C#は広く使われている言語であり、Unityを含めた多くの開発者コミュニティが存在します。これにより、学習資料やサンプルコードが豊富にあり、開発中の問題に対する支援を容易に見つけることができます。

Unityでの開発においてC#は非常に中心的な役割を担っており、ゲームロジックの実装、UIの操作、データ管理など、幅広い用途で使用されています。

UnityEngineとUnityEditor

UnityでのC#スクリプティングにおいて、UnityEngineUnityEditorは非常に重要な概念ですが、これらは異なる目的と機能を持っています。これらの違いを理解することは、Unityで効率的に開発を進める上で役立ちます。特にプログラミングが初めての場合、これらの基本を把握することは大切です。

UnityEngine

  • 概要UnityEngineは、Unityのゲームエンジン部分に関連するクラスと機能を提供する名前空間(またはライブラリ)です。このライブラリを使用することで、ゲームオブジェクトの操作、物理演算、コリジョンの検出、オーディオの再生、グラフィックスのレンダリング、ユーザー入力の取得など、ゲーム制作に必要なほとんどの機能にアクセスすることができます。
  • 用途:ゲームのランタイム中、つまりゲームが実行されているときに使用される機能やオブジェクトの操作に使われます。プレイヤーの動き、AIの挙動、シーンの変更など、ゲームの核となるロジックの実装に使用します。

UnityEditor

  • 概要UnityEditorは、Unityエディタ自体を拡張するためのクラスと機能を提供する名前空間です。このライブラリを使用することで、カスタムエディタウィンドウの作成、インスペクターのカスタマイズ、ビルドプロセスの自動化、エディタ上での操作の自動化など、Unityの開発環境をカスタマイズする機能を実装できます。
  • 用途:開発者がUnityエディタをより使いやすく拡張するためのスクリプトを書く際に使用します。この名前空間のコードは、ゲームのビルド時には含まれず、エディタ上での作業効率を高めるためだけに存在します。

二つの違い

  • ランタイム vs エディタUnityEngineはゲームの実行時(ランタイム)に関連する機能を提供し、UnityEditorはUnityエディタ内での開発プロセスを支援する機能を提供します。
  • 対象ユーザーUnityEngineはゲームプレイヤーに向けたゲーム内容の開発に直接関わります。一方で、UnityEditorはゲーム開発者が効率的に作業できるようにエディタを拡張するために使用されます。

プログラミングが初めての場合、最初はUnityEngineの機能に慣れることから始めると良いでしょう。ゲームの基本的な動作やロジックの実装に慣れた後、より効率的な開発を目指してUnityEditorによるエディタ拡張の知識を深めていくという順序が自然です。

ファイルシステム

Unityプロジェクトにおけるファイルシステムの扱い、特にランタイムとエディタ時でのファイルのロードやアセットの扱いには、いくつかの重要な違いと制限があります。これらを理解することは、効率的な開発プロセスとゲームの最適なパフォーマンスを確保する上で重要です。

ファイルシステムの基本概念

  • アセット:Unityでは、画像、サウンド、3Dモデル、スクリプトなど、ゲームを構成するすべての要素を「アセット」と呼びます。これらはプロジェクトのAssetsフォルダ内に保存され、Unityエディタを通じて管理されます。
  • アセットのインポート:Unityにファイルを取り込む際は、「インポート」というプロセスを経てアセットとしてプロジェクトに追加されます。この過程で、Unityはファイルを内部形式に変換し、プラットフォームに適した最適化を行います。

ランタイム時のファイルの扱い

  • リソースのロード:ランタイム時に外部ファイルやアセットをロードする場合、UnityはResourcesフォルダやアセットバンドル、Addressable Assetsを使用した方法を提供します。これらの方法では、必要なリソースを効率的にロードし、メモリ使用量を管理することが可能です。
  • パスとアクセス:ランタイム時にファイルにアクセスする際は、ファイルのパス指定に注意が必要です。直接的なファイルパスの使用は、ビルド後の環境では機能しないことが多いため、Unityが提供するAPIを通じたアクセス方法を使用します。

エディタ時のファイルの扱い

  • エディタスクリプト:UnityEditor名前空間を使用したスクリプトは、エディタ拡張機能の開発に使われます。これらのスクリプトからは、プロジェクト内のアセットに対して、インポート、エクスポート、変換などの操作を行うことができますが、これらのスクリプトはビルドには含まれません。
  • アセットデータベース:UnityエディタはAssetDatabaseクラスを通じて、アセットの作成、読み込み、保存などの操作を行います。これにより、エディタ上でのアセット管理が可能になりますが、このクラスもランタイムでは使用できません。

決まり事や制限

  • ビルドサイズ:不必要なアセットはビルドサイズを増大させるため、使用されないアセットはプロジェクトから除外することが推奨されます。
  • パフォーマンス:特にモバイルデバイス向けのゲームを開発する場合、リソースのロード方法やタイミングを適切に管理することがパフォーマンスに大きく影響します。
  • セキュリティ:ランタイム時に外部からファイルをロードする機能を使用する場合は、セキュリティ上のリスクに注意し、信頼できるソースからのみファイルを取得するようにしてください。

Resources.Loadのデメリット

Resources.Loadメソッドの使用に関する懸念は、主にビルドサイズの増加とランタイム時のパフォーマンスに関連しています。これらの問題を理解するためには、Resourcesフォルダの動作原理を知る必要があります。

Resourcesフォルダの動作原理

  • 自動的なインクルードResourcesフォルダ内にあるすべてのアセットは、Unityがビルドを作成する際に自動的にビルドに含められます。これは、それらのアセットがランタイムにResources.Loadを通じて動的にロード可能であることを保証するためです。
  • アセットの明示的な参照が不要:この動作原理のため、Resourcesフォルダ内のアセットは、シーンや他のアセットから直接参照されていなくてもビルドに含まれます。

Resources.Loadの使用に関連する問題

  1. ビルドサイズの増加

    • Resourcesフォルダ内のすべてのアセットがビルドに含まれるため、必要ない、または使用されていないアセットがあってもビルドサイズが不必要に大きくなります。これは、特にモバイルデバイス向けのアプリケーションでは重大な問題となり得ます。
  2. ランタイム時のパフォーマンス

    • Resources.Loadを使用すると、要求されたアセットを見つけるために、ランタイム時にファイルシステムを検索する必要があります。これは、特に大量のアセットがResourcesフォルダ内にある場合、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
    • アセットのロードは同期的に行われるため、大きなアセットをロードする際にはフレームのドロップやハングアップを引き起こすことがあります。

代替方法

これらの問題を避けるために、Unityでは以下のような代替方法が推奨されています:

  • アセットバンドル:アセットバンドルを使用することで、必要なアセットのみを動的にロードし、不使用のアセットをビルドから除外することができます。アセットバンドルは、細かい粒度でのアセット管理を可能にし、ランタイムのパフォーマンスを向上させることができます。
  • Addressable Assets System:このシステムは、アセットバンドルの機能をさらに拡張し、アセットへのアクセス、管理、ロードを効率化します。特に大規模なプロジェクトや、アセットの動的な更新を頻繁に行うアプリケーションにおいて、このシステムの使用が推奨されます。

ResourcesフォルダとResources.Loadメソッドの使用には便利さがありますが、ビルドサイズとランタイムパフォーマンスの観点から、より管理が容易で効率的な代替方法の検討が推奨されています。

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