詠唱破棄でこの威力...!プロダクト設計は命名が95%
tl;dr
- 日本から世界へ展開する製品を英語ファーストで設計中
- プロダクト設計は命名が95%
- より良い名前にたどり着くための方法その1:複数言語で、名前をつける
- より良い名前にたどり着くための方法その2:AIに説明から単語を探させる
日本から世界へ展開する製品を英語ファーストで設計中
私は、DRESS CODEという製品の設計をしています。初期リリースの段階から、日本をはじめ、アジア各国での提供が始まっており、グローバルな製品です。FigmaでのUI設計は、意識的に、日本語でなく、英語で行っています。当初は、グローバルにやっていく気概から始めたことです。しかし、続けていく中で、第二言語であっても英語ファーストに設計することは、理にかなっていると実感に変わってきています。この感覚を、タイムリーに(それゆえに拙速ですが)、この記事にまとめます。
プロダクト設計は命名が95%
命名こそが設計である、と言ってしまっては過言ですが、それほど重要であると考えています。本稿でいう名前は、製品名だけでなく、製品の中に登場するあらゆる要素を表現する名前すべてのことを指します。具体例では、画面の名前やカラム名、ボタンラベルなど。SaaSにおいてのあるあるは、routeにあたるページを、home, overview, portal, topなどのうち、何と命名するか、などなど。
作る側にとっては残酷な話ですが、ごく少数のヒトしか説明書は読まないし、UI上のDescriptionも読みません。つらつらと長くなくとも、前置きや注意書き、補足説明などは、なかなか読んでもらえないです。ならば、Titleになるような名前に魂を込めて、補足のテキスト情報がなかったとしても、伝わるように努めることが健全です。自分も多分に漏れず、ほとんど読みません。
名前の重要性は、ユーザー向かいだけでなく、設計や実装に携わるチーム内における共通認識、コードのクオリティ(Readabilityなど)という点においてもあります。また、AIの時代においては、日本人の拙い英語で書かれたコードは、AIが正しく理解できない可能性もありそうです。ユビキタス言語として使っていても、命名のクオリティが低かったら……
名前が重要であることは、疑いの余地がないですが、設計の工程でその重要に見合うリソースは投下されていない現場が多いのではないでしょうか。属人的であり、感覚的なものとして扱われてしまって、負のループになってしまいそうです。
なので、プロダクト設計は命名が95%とまで、言い切ってしまって、肝に銘じていきたい所存です。
95%の元ネタはこちら。
英語版には、資料リンクがあります。
より良い名前にたどり着くための方法その1:複数言語で、名前をつける
"Those who know nothing of foreign languages know nothing of their own."
外国語を知らないものは、自分の母語についても何も知らない。
Johann Wolfgang von Goethe (ゲーテ)
私自身、米国大学で学士を取った経験から、身に沁みています。英語ファーストに設計する効能として、日本語の命名のクオリティも上がります。日本語だけでなく、英語でも概念/シニフィエを捉えられるので、より深い理解につながります。
英語の命名をするためのリサーチの副産物として、グローバルに異なる商習慣も把握することもできます。これは、データベースの設計に向けても重要なインサイトにもなります。
より良い名前にたどり着くための方法その2:AIに説明しながら対話的に単語を探す
日本語の単語を伝えて翻訳させていては、いつまで経っても良い名前にたどり着けません。命名の対象を文章で描写して、それに該当する単語を探してもらう方が良いです。質の良い翻訳が、コンテンツを機械翻訳するだけでなく、異文化のコンテクストを埋めてくれることと同じ。
質問や探索を繰り返し、対話を重ねることで、英語も日本語も再考を重ねます。多少の英語の心得があれば、ひたすら類義語を並べさせると、合格点にはすぐたどり着けると思います。命名が難しいようなモノは、対話的に探さないと良い名前にたどり着けないです。
簡単めな具体例を挙げます。DRESS CODEにおいては、いわゆる台帳画面が異なるリソースに対して複数存在します。日本語では、「XX一覧」と呼べばすむ画面も、英語では集合名詞で表現したり、複数形で表現したりできます。例えば、デバイス一覧はInventory、連携一覧はIntegrations、在籍者はWorkforce、など。
概念的で難しかった名詞の例で、1番検討したのは、「業務 / Business Operation」です。
他にも、まだリリースされていないですが、AIのおかげで、難しく気持ちの良い命名をたくさんやれていると思います。
おわりに
今後も、大量の設計をしていく必要があるので、引き続き良い命名の方法を探っていきます。90番台の詠唱破棄も難なくこなせるように。
もしくは、BLEACHや呪術廻戦のように思わず唱えたくなっちゃうような、詠唱的説明をしたため、美しいTypographyで届けたい。
余談ですが、Typographyに対する意識に関しては、The Futur AcademyのDesign Critiqueがためになりました。
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