創業期PdMの覚悟 - 不確実性との向き合い方
はじめに
創業1年目のスタートアップでPdMをしています。
スタートアップとしては2社目、0→1フェーズは2回目のチャレンジです。
参画してから1年が経過したので、これまでの活動を振り返ってみようと思い、執筆しています。
日々、何かしらの判断を迫られ、正解かどうかなんて後からしか分からない、でも、決めなきゃいけない…。
そんな日々を過ごす創業期のPdMのリアルをお伝えします。
1. 毎日が判断の連続
<ある1週間のログ>
- 月曜日:全社定例。OKR週次目標の共有。3チーム分の目標設定。
- 火曜日:唯一まとまった時間を取れる日
- 水曜日:海外のパートナー企業との定例
- 木曜日:PMF Meeting(顧客の声からプロダクトロードマップを策定)
- 金曜日:新規/既存のプロダクトの設計会議。全社OKR週次目標の達成度の共有。
月曜日にチームの目標を立て、水曜日には商談があり、木曜日にはプロダクトのロードマップを決める重要な会議があり…。あれよあれよという間に金曜日に…。
創業期の決めなければいけないことが大量にある時期に、ひとつのものごとに目一杯時間を使うということはできませんでした。
もちろんこれまでの社会人生活でも似たような状況はありましたが、その比ではありませんでした。
今までの考え方、思考法ではとても速度が追いつきません。
<判断を迫られる場面>
対外的にも判断を求められることがある一方で、社内でも意思決定の連続です。
CEOとすり合わせながらプロダクトの方向性は決めていきますが、100%詳細まで詰められておらず
開発中に以下のような質問が出てきます。
- エンジニアA「ここの仕様どうしましょう?」
- 私「ここはXXXという理由で、YYYにしましょう」
- エンジニアB「このパターン考慮できていなさそうです。」
- 私「すみません!AAAのパターンは現時点では非対応でOKです!」
- エンジニアC「この方針で進めていいですか?」
- 私「基本的には問題ないと思うのですが、その判断に至った理由を教えて下さい!」
このような細かい判断も日々あり、仕様を伝える段階でもう少し丁寧にお伝えできていたら…と思うことばかりでした。
この状況下でどうしたのか??
2. 足りない中の意思決定に立ち向かう
このように情報、時間、リソースと様々なものが足りない中で、意思決定をしていかなければなりません。足りないことを言い訳に「できない」と諦めるのではなく「どうすればできるのか?」を考えていく必要がありました。
<情報が足りないことに立ち向かう>
全員が忙しい中で物事を前に進めていく必要があります。日々状況は変化していくため、最新情報を正しく把握する必要があります。
手元に判断に足る材料がなければ、正しい意思決定はできません。当たり前ですが、手元になければ取りにいく必要があります。
とにかく変化のスピードが速いので、一週間に一度完璧な(と思われる)情報を共有するでは、全く足りませんでした。
その情報が完璧かどうかはその時点では判断できず、共有して初めて判明するためです。
迅速に、かつ、その場でできる判断はその場で下し、それが脳のリソースを圧迫しないように処理する必要がありました。
具体的には以下を意識していました。
- 完璧な整理ではなく、迅速な共有を心がける
- 最低限必要となるQCDを先にすり合わせる
- これらを定例化、形式化する
<リソースが足りないことに立ち向かう>
判断に足る情報が手元に集まっても、次はリソースが足りません。なんとか期日に間に合わせるために、自分が手を動かしてなんとかする…という手段を取ると、さらに逼迫します。
足りないことは所与の条件として立ち向かいます。リソースがないので目標を達成できませんでした、という言い訳をしないための工夫が必要です。
できる/できないというAll or Nothingではなく、どこまでだったらできるのか?で議論し、不足をどうすればカバーできるかを考えました。
プロダクトの機能をリリースする場合、はじめから完璧ではなくとも、段階的に価値を提供することで、顧客のニーズをある程度満たせるようになります。
また、将来同じように逼迫しないための施策も同時に考えて実践していました。
まとめると以下のようなことを意識していました。
- できる / できないの2択ではなく、途中の着地点を考える
- 手戻りしづらい開発プロセスの策定
- 将来のリソースを守るために資産化する
3. 不確実性と向き合う
創業期はとにかく何も決まっていないため、日々何かしら判断をしながら事業を前に進めていく必要があります。
もちろん、できる限り良いと思われる判断を下していくという気持ちはある一方で、常に正しい判断を下すのは非常に困難でした。
<決めることから逃げない>
誤った判断を下すこともありましたし、それにより工数を無駄にしてしまうこともありました。
そんな中で私が大事にしてきたことは、先がどうなっているかはわからないが、この瞬間・断面として自分が信じられる道をみんなに示すこと、そしてできる限りの説明を行うことでした。
それが創業期PdMの私の覚悟でした。
結果として、うまくいかないかも知れないが、意思決定を下した責任を取り、決めることから逃げないことを常に意識していました。
(もちろん、ひとりよがりな判断はNGです。会社として全体調和が取れたものである必要があるため、経営、他部門とのすり合わせは必須です)
<結果責任を取る>
ただし、すべて一人で責任を取って「抱える」という意味ではありません。
自身が下した判断に伴う結果に対して、真摯に向き合うということです。
もしうまく言ったのであればチームの成果として称え、失敗したのであればどこがだめだったのか振り返り、次に備える、この繰り返しを実行するようにしていました。
<チームを守る>
もうひとつ重要視していたこととしては、チームを守るということです。
困難な状況になったときに、不要なプレッシャーがかかり本来発揮すべきクリエイティビティが阻害されないように立ち回ろうとしていました。(そうできていたかは別)
ただし、お互いプロなので必要以上の配慮は不要だとも考えていました。
まとめ
創業期のPdMとして1年間、様々な判断を重ねてきました。
完璧な判断はありませんが、判断を重ねることで私自身も組織も成長し、プロダクトも進化してきました。
まとめると特に重要視していた行動指針は以下です。
- 決めることから逃げない
- 判断を先送りにしない
- 必要な情報は能動的に集める
- 決断の理由を言語化する
- 結果責任を取る
- 成功/失敗の原因を明確にする
- チームの失敗を自分の責任として受け止める
- チームを守る
- 外圧からの防波堤になる
- 失敗を学びに変換する文化を作る
もし次回があれば、このマインドセットを基に、より具体的なお話をお伝えできたらと思います。
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