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輪読会でAI導入が加速した話──スタートアップで成果を出す「ゆるくて強い」仕組みづくり

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はじめに

今年の1月にDress Code株式会社にジョインをして、およそ5ヶ月が経過しました。
スタートアップならではの熱量と変化に圧倒されながらも日々楽しく仕事をできています。

輪読会を始めて2ヶ月ほど経ったので振り返りも兼ねて、工夫や得られた成果について共有します。
成長の手段としての輪読会、より効果高く成果を出すための工夫の1つとして参考になれば幸いです。

得られた成果

輪読会を始めたことでこんな成果が出ました、の例。

  • 個人が課金していたCursor、会社負担になった
  • CursorのProject Ruleの整備が猛烈な勢いで進んだ
  • 社内でNotebookLMに知見が蓄積され始めた
  • Gemini Code AssistがPRをレビューするようになった

動機

輪読会を始める動機はきっとさまざまでしょうけれど、大体共通しているのは知識を増やすとか、共有知を増やすとか個人・組織の成長にピンが止まっていることが多いと思っています。

特にAI関連の情報は日々更新されているのに、

  • 個人のキャッチアップに依存している
  • 知識が平準化されていない
  • 足並みが揃ってないからアクションに繋げづらい

といった課題がありました。

これらを解消する手段として輪読会を選択しました。

定着のための3つの工夫

個人の感想ですが輪読会は自然解散しがちな施策No.1だと感じています。
発端がどうであれだんだん参加者が集まらなくなり、参加者が少ないから開催されなくなる。あるいは忙しさを理由に参加しなくなり、足が遠のく経験がある人もきっと少なくないのではないでしょうか。
せっかくみんなで学習するできる機会、非常に独善的なことを言うと、他人の脳みそを使って学べるチャンスを棒に振るのももったいないですよね。

いくつか方針を決めて運用をしてみました。

  • 属人化させない
  • 極力人の手を介在させない
  • 強制しない

現時点の輪読会は基本的に会話を通して学びを最大化することに重きをおいています。
「読んでお仕舞い」な輪読会は個人で読むのと変わらず集まってする意味がないとまで思っています。
読んだ記事・本から得た洞察を共有・議論することで学びを深化させる営みにこそ価値があると信じています。

属人化させない

特に輪読会は主催者の熱意によって運営されることが多いと感じています。
熱意があるうちはうまく回るんですが、主催者がギャップを感じてしまうととたんに立ち消えてしまう原因にもなりかねません。

属人化を排除するためには主催者がいなくても回る仕組みにすることが肝要です。
具体的な施策は次のとおりです。

  • ファシリテーターは毎回ランダムに決定する
    • 毎回参加者だけのルーレットを使って決定
    • ルーレットはWebに転がっているもののうち状態を共有できるものを選定
  • 進め方、テーマはファシリテーターに全て一任する
    • 縛られるのが苦手なかたもいるでしょうし、テーマによってやりやすい進め方があるはず
  • ファシリテーターに一任するが、モデルケースを用意する
    • なんでもやっていいよ、という状況に困る人もいるだろうということでモデルケースを用意した
      • 17:00 ~ 17:10: 各自黙読
      • 17:10 ~ 17:15: 各自Fun/Done/Learnの記入、投票
      • 17:15 ~ 17:30: 話し合い、次回のファシリテーター決定
      • 時間は記事のボリュームや話したい内容によって多少前後
    • 結局ほとんど全ての回でこのやり方を踏襲しているので一つの解だろうとも思っている

極力人の手を介在させない

弊社はナレッジの共有にNotionをゴリゴリ使い倒しています。
輪読会では、読んだ内容だけでなく、他者の感想や経験、今後挑戦したいこともナレッジとして共有しています。

こんな感じのテンプレートを用意し、輪読会のなかでそれぞれを蓄積していくような形にしています。

蓄積したそれぞれの学びはこんな感じで集約されていきます。

テーマ決めにも困るだろうと言うことでみんなで議論したい記事を持ち寄って、同じ気持ちの人がいれば「いいね!」を押して迷いづらいようにして見てます。

さらに取り組みたい内容は記事の収集をもっと自動化(Slackから転記など)できないかってところと、ファシリテーターをもっと機械的に決められないかという点。

強制しない

強制されると途端に義務感のようなものが生じて、忌避感を覚えること。あると思います。
活用したい人だけが活用できるようになっていれば十分だよねって思ってます。

「強制しない」という観点においては、事前に資料を読み込んでまとめると言う業務感強めな事前作業も含まれます。
やり方の一つに担当者が事前に読み込んでみんなに共有するスタイルや、全員で読み込んで議論を交わす方法もあるかと思います。
いずれにしても参加へのハードルが高く、突発で参加しづらくなったり、主催の負荷が強すぎて止める動機を与えかねません。

これらを排除することが長く続き秘訣かもしれません。

効果

毎週2回、各回30分を確保していますが休日を除いて非開催は今のところ1日もないです。
全16回開催できていて、Fun/Done/Learnの数は200を超えています。

AI関連にテーマを絞ったおかげで、以下のようなアクションも発生し、実際に実現に漕ぎ着けられています。

  • 個人が課金していたCursor、会社負担になった
    • 取り扱ったテーマを元に議論の内容に稟議あげられないかと言う話題になりそのまま経営層へ上申
  • CursorのProject Ruleの整備が猛烈な勢いで進んだ
    • Cursorが会社負担になったこと契機とし、輪読会のテーマでもProject Rule活用の記事を読み込みいくつかネクストアクションを設定
  • 社内でNotebookLMに知見が蓄積され始めた
    • 輪読会でNotebookLMの記事を取り上げ威力を実感
  • Gemini Code AssistがPRをレビューするようになった
    • Google I/Oのまとめを輪読し、ネクストアクションとして設定

これらの取り組みの間接的な成果として社内の雰囲気としてAIを積極的に活用する流れが醸成されました。
これのおかげかはわかりませんが。Devinの導入も決まり、新入社員として受け入れられています。

終わりに

色々工夫を施しているものの全てを載せきれなかったので興味がある方はどこかでお話ししましょう。

「強制しない」ことを出発点に、自分たちなりの輪読会をつくっていくことができれば、
それはきっとチームの力になるはずです。

輪読会を通して皆様の学びが最大化されることを祈っています 🫰

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