Pandasだけでここまでできる:実務で使う15の処理レシピ
はじめまして、
株式会社dotConfにて、AIエンジニアをしている古菅(こすげ)です!
この度、会社としてZennでの発信をスタートすることになりました。
私たちは、「テクノロジーを民主化する。」というミッションのもと、AIソリューション事業とAI教育事業を行っている会社です。

Pandasだけでここまでできる:実務で使う15の処理レシピ
1. Pandasとは?
PandasはPythonの代表的なデータ分析ライブラリです。
Excelのように表形式のデータを扱えるだけでなく、より効率的・柔軟に処理できるのが特徴です。
しかし実務ではこんな悩みをよく耳にします👇
そこで本記事では、実務でよく使うPandasの処理を15個、コピペでそのまま使える「レシピ集」として整理しました。
2. なぜ処理レシピが重要なのか
データ分析の現場では「一度やったけど忘れてしまう処理」が山ほどあります。
とくにPandasは書き方が独特なため、調べる時間が増えてしまいがちです。
本記事では以下の2ステップで整理しています👇
- 【基本編】毎日使う定番処理(8選)
- 【実践編】業務でよくある処理(7選)
「今すぐ使いたい処理」を見つけやすいように構成しています。
3. Pandasでよく出会う3つの課題
Pandasを使っていると、以下のポイントでつまずきやすいです👇
-
データの読み込み
→ 文字化け・型の誤認識がよく起こる -
前処理(欠損・重複・条件分岐)
→ どうやって一括処理するのか分からない -
加工・集計
→ groupbyやsortの書き方が覚えにくい
環境準備
import pandas as pd
import numpy as np
# バージョン確認
print(f"pandas version: {pd.__version__}")
【基本編】 毎日使う定番処理(8選)
1. データフレームの生成
- データ分析に必要な元となるデータフレームを準備します。
import pandas as pd
# サンプルデータ
data = {"name": ["A", "B", "C"], "score": [80, 90, 70]}
df = pd.DataFrame(data)
2. CSVの文字化けを防ぐ読み込み
- 日本語を含むCSVファイルでよくある文字化け問題を解決します。
# Shift-JISのファイルを読み込む
df = pd.read_csv('data.csv', encoding='shift-jis')
# UTF-8 with BOMの場合
df = pd.read_csv('data.csv', encoding='utf-8-sig')
# エンコーディングが不明な場合は自動検出
import chardet
with open('data.csv', 'rb') as f:
result = chardet.detect(f.read())
df = pd.read_csv('data.csv', encoding=result['encoding'])
3. データの確認
- 作成または読み込んだデータの様々な情報を確認することができます。
print(df.shape) # (行数, 列数)
print(df.head()) # 先頭5行
print(df.tail()) # 末尾5行
print(df.sample()) # ランダム1行
print(df.dtypes) # データの型確認
print(df.info()) # データフレームのサマリー情報
4. 欠損値を含む列の処理
- データに欠損がある場合、欠損値を削除したり、補完することができます。
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
'A': [1, 2, None, 4],
'B': [5, None, None, 8],
'C': [9, 10, 11, 12]
})
# 欠損値の確認
print(df.isnull().sum())
# 欠損値が50%以上の列を削除
threshold = len(df) * 0.5
df_cleaned = df.dropna(thresh=threshold, axis=1)
# 前の値で補完(時系列データに有効)
df_filled = df.fillna(method='ffill')
5. データ選択・抽出
- 特定の列や行を取り出したり、条件を満たすデータだけを抽出することができます。
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
'Name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie', 'David', 'Eve'],
'Age': [24, 27, 22, 32, 29],
'Score': [85, 90, 70, 88, 95]
})
# 特定の列を選択
print(df['Name']) # 単一列
print(df[['Name','Age']]) # 複数列
# インデックス番号で行を抽出
print(df.iloc[0]) # 0行目
print(df.iloc[1:3]) # 1〜2行目(スライス)
# ラベルで行を抽出
print(df.loc[0]) # インデックス0の行
print(df.loc[0:2, ['Name','Score']]) # 0〜2行目、NameとScore列
# 条件で抽出
print(df[df['Age'] > 25]) # Ageが25より大きい行
print(df[(df['Age'] > 25) & (df['Score'] >= 90)]) # 複数条件
6. データ加工
- データフレームから新しいカラムを追加したり、削除、カラム名の変更等が可能です。
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie', 'David'],
'age': [24, 27, 22, 32],
'city': ['Tokyo', 'Osaka', 'Nagoya', 'Fukuoka']
})
print(df)
# 11. カラム追加
df['age_plus_10'] = df['age'] + 10
print(df)
# 12. カラム削除
df = df.drop(columns=['city'])
print(df)
# 13. カラム名変更
df = df.rename(columns={'name': 'Name', 'age': 'Age'})
print(df)
# 14. カラムごとの関数適用
df['Age_squared'] = df['Age'].apply(lambda x: x**2)
print(df)
# 追加例: 条件による新しい列
df['is_adult'] = np.where(df['Age'] >= 20, True, False)
print(df)
7. データ集計・整形
- データを並べ替えたり、グループごとに集計したり、一意な値を確認するなど、データの要約や整形が可能です。
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie', 'David', 'Eve'],
'age': [24, 27, 22, 32, 29],
'city': ['Tokyo', 'Osaka', 'Tokyo', 'Fukuoka', 'Osaka'],
'score': [85, 90, 70, 88, 95]
})
# グループ集計
# city ごとの平均年齢
print(df.groupby('city')['age'].mean())
# 行方向の集計
# 各行の合計
print(df.sum(axis=1))
# ピボット集計
# city × age の平均スコア
pivot = df.pivot_table(
values='score', # 集計対象
index='city', # 行方向
columns='age', # 列方向
aggfunc='mean', # 集計関数
fill_value=0 # 欠損値を0で補完
)
print(pivot)
8. データのエクスポート
- 作成・加工したデータをCSVやExcelなどの外部ファイルに保存することで、共有や再利用が容易になります。
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie'],
'score': [85, 92, 78]
})
# CSVファイルに出力
df.to_csv('output.csv', index=False, encoding='utf-8')
# Excelファイルに出力
df.to_excel('output.xlsx', index=False)
# JSON形式で出力
df.to_json('output.json', orient='records', force_ascii=False)
【実践編】 業務でよく使うパターン(7選)
9. データのソートと並び替え
- データを昇順・降順に並べ替えることで、上位・下位のデータを簡単に確認できます。
- 実務では「売上が多い順」「年齢が若い順」などのランキングを出すときによく使います。
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie', 'David', 'Eve'],
'age': [24, 27, 22, 32, 29],
'score': [85, 90, 70, 88, 95]
})
print(df)
# 年齢で昇順にソート(若い順)
print(df.sort_values(by='age'))
# スコアで降順にソート(高い順)
print(df.sort_values(by='score', ascending=False))
# 複数列でソート(スコア降順 → 年齢昇順)
print(df.sort_values(by=['score', 'age'], ascending=[False, True]))
10. 複数のDataFrameを効率的に結合
- 異なるデータフレームの情報を一括で扱いたい場合などに有効です。
# 顧客マスタ
customers = pd.DataFrame({
'customer_id': [1, 2, 3],
'name': ['田中', '鈴木', '佐藤']
})
# 注文データ
orders = pd.DataFrame({
'order_id': [101, 102, 103],
'customer_id': [1, 2, 1],
'amount': [10000, 15000, 8000]
})
# 内部結合
result = pd.merge(orders, customers, on='customer_id', how='left')
# 複数キーでの結合
df1 = pd.DataFrame({
'year': [2024, 2024, 2023],
'month': [1, 2, 12],
'value': [100, 200, 300]
})
df2 = pd.DataFrame({
'year': [2024, 2024],
'month': [1, 2],
'target': [150, 180]
})
merged = pd.merge(df1, df2, on=['year', 'month'], how='left')
11. カテゴリ変数のエンコーディング
- 文字列データを数値やダミー変数に変換することで、機械学習モデルや集計処理で扱いやすくなります。
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
'city': ['東京', '大阪', '東京', '名古屋', '大阪'],
'grade': ['A', 'B', 'A', 'C', 'B']
})
# ラベルエンコーディング
df['city_code'] = pd.Categorical(df['city']).codes
# One-Hotエンコーディング
one_hot = pd.get_dummies(df['grade'], prefix='grade')
df = pd.concat([df, one_hot], axis=1)
# 順序付きカテゴリ
df['grade_cat'] = pd.Categorical(
df['grade'],
categories=['C', 'B', 'A'],
ordered=True
)
12. 時系列データの処理
- 日付や時刻を適切に扱うことで、リサンプリング・移動平均・トレンド分析などが可能になります。
# サンプルデータ
date_rng = pd.date_range(start='2024-01-01', end='2024-01-10', freq='D')
df = pd.DataFrame({
'date': date_rng,
'sales': [100, 120, 90, 150, 130, 170, 200, 180, 160, 190]
})
# 日付をインデックスに設定
df = df.set_index('date')
# 月単位にリサンプリング(合計)
monthly = df.resample('M').sum()
# 移動平均(3日間)
df['rolling_mean'] = df['sales'].rolling(window=3).mean()
# 期間フィルタリング(2024-01-05以降)
filtered = df.loc['2024-01-05':]
13. 欠損値の高度な処理
- データ分析や機械学習の前処理として、欠損値を適切に補完・除去することで精度を高めることができます。
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
'age': [25, np.nan, 30, 28, np.nan],
'score': [85, 90, np.nan, 70, 95],
'city': ['東京', '大阪', '東京', None, '名古屋']
})
# 欠損値の確認
df.isnull().sum()
# 平均値で補完
df['age_fill_mean'] = df['age'].fillna(df['age'].mean())
# 特定の値で補完
df['city_fill'] = df['city'].fillna('不明')
# 複数条件で補完(例:列ごとの中央値)
df = df.apply(lambda col: col.fillna(col.median()) if col.dtype != 'object' else col)
14. データの可視化
- Pandasの
plotメソッドを使うことで、データの傾向や分布を手軽に確認できます。 - Matplotlibを内部的に利用しており、折れ線・棒グラフ・ヒストグラムなど様々な可視化が可能です。
import matplotlib.pyplot as plt
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
'month': ['1月', '2月', '3月', '4月', '5月'],
'sales': [100, 120, 90, 150, 200],
'profit': [20, 25, 15, 40, 60]
})
# 折れ線グラフ
df.plot(x='month', y='sales', kind='line', marker='o', title='売上推移')
plt.show()
# 棒グラフ
df.plot(x='month', y=['sales', 'profit'], kind='bar', title='売上と利益の比較')
plt.show()
# ヒストグラム
df['sales'].plot(kind='hist', bins=5, title='売上分布', alpha=0.7)
plt.show()
15. データの自動プロファイリング(pandas-profiling)
- データの基本統計量や分布、相関関係を自動でレポート化してくれる便利ツール
- 探索的データ分析(EDA)の初期段階で、データの全体像を素早く把握できます。
# インストール(必要に応じて)
# pip install ydata-profiling
import pandas as pd
from ydata_profiling import ProfileReport
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({
'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie', 'David', 'Eve'],
'age': [24, 27, 22, 32, 29],
'city': ['Tokyo', 'Osaka', 'Tokyo', 'Fukuoka', 'Osaka'],
'score': [85, 90, 70, 88, 95]
})
# プロファイルレポートの生成
profile = ProfileReport(df, title="Pandas Profiling Report", explorative=True)
# HTMLとして出力
profile.to_file("report.html")
# Jupyter Notebook上で直接表示する場合
profile.to_notebook_iframe()
まとめ
本記事では、Pandasを使った実務でよく使う15の処理レシピを紹介しました。基本的な処理から応用的なテクニックまで、幅広くカバーしています。
重要なポイント
-
✅ データの基礎操作
DataFrame の生成・確認・加工・抽出など、データ分析の前提となる操作は必ず押さえておく。 -
✅ 欠損値と整形処理
欠損値の単純補完から列ごとの条件付き処理まで、多様な方法を使い分ける。
並び替えや集計、結合・マージを駆使することで、分析に適した形に整えられる。 -
✅ カテゴリ・時系列データの扱い
カテゴリ変数のエンコーディングは機械学習前処理で必須。
時系列データはリサンプリングや移動平均を活用して傾向を読み取る。 -
✅ 集計と可視化
groupbyやpivot_tableによる柔軟な集計で、ビジネスに即した指標を取り出せる。
plotを使えば、数行のコードで売上推移や分布などをグラフ化できる。 -
✅ データの入出力
CSV・Excel・JSONなど形式に応じて適切に保存・共有することで、実務での再利用性が高まる。
👉 これらのレシピを組み合わせれば、データの「読み込み → 整形 → 分析 → 可視化 → 出力」まで一連の流れを Pandasだけで完結 できます。
実務でも研究でも強力な武器になりますので、ぜひ自分のプロジェクトに当てはめて活用してみてください。
参考リンク
最後に
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