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【TDM】セキュリティ対策カードゲーム「CyberDefense」

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セキュリティ対策カードゲーム「CyberDefense」ルールブック

ゲーム概要

プレイヤー数: 2人
プレイ時間: 30-45分
対象年齢: 14歳以上

OSI参照モデルの7階層を防御壁とした、リアルなサイバーセキュリティ攻防戦を体験するカードゲームです。


ゲーム目標

攻撃側は相手の3つの資産すべてを攻撃成功させることで勝利。防御側は自分の資産を守り抜くことで勝利します。


ゲームコンポーネント

カードの種類

  • 攻撃カード(60枚): 特定の階層を攻撃するカード
  • 防御カード(60枚): 攻撃を防ぐカード
  • 検知カード(30枚): 事前配置で攻撃を無効化するカード

資産ボード

各プレイヤーは3つの資産を持ち、それぞれにOSI 7階層の防御壁があります:

  1. 物理層(Layer 1)
  2. データリンク層(Layer 2)
  3. ネットワーク層(Layer 3)
  4. トランスポート層(Layer 4)
  5. セッション層(Layer 5)
  6. プレゼンテーション層(Layer 6)
  7. アプリケーション層(Layer 7)

初期セットアップ

  1. デッキ構築: 各プレイヤーは攻撃カード30枚、防御カード25枚、検知カード5枚でデッキを構築
  2. 手札: 各プレイヤーは7枚の手札でゲーム開始
  3. 検知カード配置: ゲーム開始前に、検知カード最大3枚を任意の階層に裏向きで配置可能
  4. 先攻決定: じゃんけんで先攻を決定

ゲームの流れ

ターンの構成

  1. ドローフェーズ: 山札から1枚ドロー
  2. メインフェーズ: 攻撃カードまたは検知カード配置を実行
  3. エンドフェーズ: 手札上限8枚を超えた場合は破棄

攻撃フェーズの詳細

攻撃カードの実行

  1. 攻撃宣言: 攻撃カードを出し、対象の資産と階層を宣言
  2. 遅延効果の確認:
    • 対象階層の一つ前の階層が突破済みの場合のみ攻撃有効
    • 例:Layer 3を攻撃する場合、Layer 2が突破済みでなければ無効
    • Layer 1への攻撃は常に有効
  3. 検知カード確認: 対象階層に検知カードがある場合
    • 検知カード公開
    • 攻撃は3ターン無効化
    • 検知カードは破棄
  4. 防御機会: 防御側は対応する防御カードで防御可能
  5. 攻撃成功判定: 防御されなかった場合、階層突破

防御カードの効果

各防御カードには有効階層範囲が記載されています:

  • 汎用防御: 全階層対応(効果は弱い)
  • 専門防御: 特定の階層群に特化(効果は強い)
  • 最適防御: 特定階層に最適化(最も効果的)

防御の有効性判定:

  • 攻撃対象階層が防御カードの有効範囲内なら防御成功
  • 範囲外なら防御失敗、階層突破

カード例

攻撃カード例

【ARPスプーフィング】

  • 対象階層: Layer 2(データリンク層)
  • 効果: MACアドレステーブルを汚染し、通信を傍受
  • カードテキスト: "偽装ARP応答でスイッチを騙し、通信の中間者となる"

【SQLインジェクション】

  • 対象階層: Layer 7(アプリケーション層)
  • 効果: データベースへの不正アクセス
  • カードテキスト: "入力欄に悪意あるSQL文を注入し、データベースを操作"

【DDoS攻撃】

  • 対象階層: Layer 3-4(ネットワーク・トランスポート層)
  • 効果: 複数階層同時攻撃
  • カードテキスト: "大量のトラフィックでサーバーを麻痺させる"

【BGPハイジャッキング】

  • 対象階層: Layer 3(ネットワーク層)
  • 効果: ルーティング情報の改ざん
  • カードテキスト: "偽のルート広告で通信経路を乗っ取る"

防御カード例

【ファイアウォール】

  • 有効階層: Layer 3-4
  • 効果: ネットワーク・トランスポート層の攻撃を防御
  • カードテキスト: "パケットフィルタリングで不正通信を遮断"

【IDS/IPS】

  • 有効階層: Layer 2-7(全階層)
  • 効果: 全階層対応だが効果は限定的
  • カードテキスト: "異常パターンを検知し、攻撃を警告・遮断"

【WAF(Webアプリケーションファイアウォール)】

  • 有効階層: Layer 7
  • 効果: アプリケーション層攻撃に特化した強力な防御
  • カードテキスト: "HTTPトラフィックを詳細検査し、Webアプリケーションを保護"

【暗号化通信(TLS)】

  • 有効階層: Layer 6(プレゼンテーション層)
  • 効果: 盗聴・改ざん攻撃を防御
  • カードテキスト: "エンドツーエンド暗号化で通信内容を保護"

検知カード例

【SIEM監視】

  • 配置階層: 任意
  • 効果: 3ターン攻撃無効化
  • カードテキスト: "セキュリティ情報を統合分析し、脅威を早期発見"

【ハニーポット】

  • 配置階層: Layer 7推奨
  • 効果: 3ターン攻撃無効化 + 相手の手札1枚確認
  • カードテキスト: "囮システムで攻撃者を欺き、攻撃手法を分析"

【EDR(Endpoint Detection and Response)】

  • 配置階層: Layer 7
  • 効果: 3ターン攻撃無効化 + マルウェア系攻撃なら追加効果
  • カードテキスト: "エンドポイントの動作を監視し、悪意ある活動を検知"

高度なルール

多層攻撃

一部の強力な攻撃カードは複数階層を同時攻撃可能:

  • DDoS攻撃: Layer 3-4を同時攻撃
  • APT攻撃: Layer 1,3,7を同時攻撃
  • ランサムウェア: Layer 6-7を同時攻撃

各階層に対して個別に防御・検知判定を行います。

段階的露出効果

階層が突破されると、より深い階層への攻撃路が開かれます:

  • 突破階層数が多いほど、検知カードを迂回しやすくなる
  • 複数の攻撃路がある場合、検知カードが配置されていない階層を選択可能

連鎖攻撃

特定の攻撃カードは、成功時に追加攻撃を可能にします:

  • 権限昇格: Layer 7突破後、同じ資産の他階層への追加攻撃権
  • 横展開: 1つの資産完全突破後、他資産への攻撃ボーナス

勝利条件

攻撃側の勝利

相手の3つの資産すべてのLayer 7(アプリケーション層)を突破

防御側の勝利

以下のいずれかの条件:

  1. 攻撃側の山札が尽きる
  2. 制限ターン数(20ターン)経過
  3. 攻撃側が全資産突破できない

戦略とコツ

攻撃側

  • 段階的侵入: Layer 1から順番に攻撃して安全な侵入路を確保
  • 検知回避: 複数の攻撃路を確保して検知カードを迂回
  • 集中攻撃: 1つの資産に攻撃を集中して早期突破を狙う

防御側

  • 検知配置: 重要階層(Layer 3, 7)に検知カードを優先配置
  • 層別防御: 各階層に適した専門防御カードで対応
  • 遅延戦術: 攻撃を遅らせて山札切れを狙う

拡張ルール(上級者向け)

協調防御

複数の防御カードを組み合わせることで、より強力な防御を構築:

  • 多層防御: 同じ階層に複数の防御手法を適用
  • 連携防御: 隣接階層の防御カードが相互強化

動的脅威

ゲーム中に新たな脅威が出現:

  • ゼロデイ攻撃: 特定防御カードを無視する特殊攻撃
  • APT活動: 長期間潜伏し、後で大規模攻撃を仕掛ける

インシデント対応

攻撃成功後の対応フェーズ:

  • フォレンジック調査: 攻撃手法を分析して対策強化
  • 復旧作業: 突破された階層の復旧
  • 教訓活用: 同種攻撃への耐性向上

教育的価値

このゲームを通じて学習できる内容:

技術的知識

  • OSI参照モデルの理解
  • 各階層の脅威と対策
  • 多層防御の重要性
  • 実際のサイバー攻撃手法

戦略的思考

  • リスク評価と優先順位付け
  • 限られたリソースの効果的配分
  • 攻撃者の思考パターン理解
  • 防御戦略の立案

実務応用

  • インシデント対応の基礎
  • セキュリティ投資の判断
  • 組織のセキュリティポリシー設計
  • 継続的改善の重要性

補足: 専門用語解説

ARP(Address Resolution Protocol): IPアドレスとMACアドレスを関連付けるプロトコル

BGP(Border Gateway Protocol): インターネットのルーティング情報を交換するプロトコル

SQL(Structured Query Language): データベースを操作するための言語

DDoS(Distributed Denial of Service): 分散サービス拒否攻撃

SIEM(Security Information and Event Management): セキュリティ情報とイベント管理システム

EDR(Endpoint Detection and Response): エンドポイント検知・対応システム

WAF(Web Application Firewall): Webアプリケーション専用ファイアウォール

APT(Advanced Persistent Threat): 高度持続的脅威

TLS(Transport Layer Security): 通信を暗号化するプロトコル

このルールブックに従って、本格的なサイバーセキュリティの知識を楽しく学べるカードゲーム体験をお楽しみください!

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