iOSDC 2025で登壇した理由を赤裸々に語りつつ、振り返ります。
iOSDC 2025のスポンサーセッションで登壇してきました!
僕はAndroidエンジニアでiOSDCに参加したことがない上に、そもそも登壇へのモチベーションが全くない人でした。
そんな僕がiOSDCという大舞台で登壇をしました。不思議です。自分でもまだ少し不思議です。
iOSDCでの登壇のことをブログに書こうと考えた時に、登壇者がなぜ登壇したのか、ましてや僕みたいに、登壇する気のなかった人が登壇した理由は、あまり語られていないと思いました。
僕の事例の共有が、
「登壇や社外アウトプットに興味があるけど踏み出せない人」
「エンジニアの社外アウトプットの文化を作りたい人」
の参考になる気がしたので、登壇した理由とやってみて感じたことを書いてみます。
登壇を意識したきっかけ
登壇を意識したきっかけは「DevRelチームが登壇の呼びかけをめちゃくちゃ頑張っていたから」です。
弊社のDevRelチームはプロダクトやサービスの広報だけでなく、開発組織の文化醸成や社外へのブランディングも担当しています。その取り組みの中には「外部登壇を増やすことでエンジニアのレベルアップにつなげる」「社外との交流を通じて組織カルチャーの強化につなげる」「テック企業としての認知を拡大してブランディングを高める」といったものがあります。
そんなDevRelから今年の6月の部会の時に、エンジニアに向けて外部登壇の呼びかけがありました。DevRelは弊社で利用している言語やフレームワークのことを学び、それに関連したカンファレンスなどのイベントを調査し、採択されているプロポーザルの傾向を分析して、サマリーを共有してくれました。
そこから、登壇初心者向けのLT枠について紹介してくれたり、登壇に興味のあるエンジニアが集まって社内でプロポーザルを一緒に考えたりブラッシュアップする企画を提案してくれました。
登壇経験のあるエンジニアメンバーもコメンターとして巻き込んで、「スライドが10枚あれば、LTに参加できますよ!」と呼びかけをしていました。 これを見ていた僕は「本気でエンジニアに登壇してほしいんだな」と感じていました。
登壇を決めるまで
DevRelからの呼びかけで社外発信を意識し始めた一方で、アプリエンジニア採用がなかなかうまくいかないことに課題感を感じていました。応募数やカルチャーマッチなど諸々の課題がある中で、弊社の認知を高めることは解決の一歩になるのではと考えていました。そこでDevRelからの呼びかけがあったので「僕も社外のLTぐらいには挑戦してみようかな」と考えるようになりました。
少し時は流れ7月、DevRelからアプリエンジニア向けにiOSDCのスポンサーセッション枠登壇の呼びかけがありました。国内最大のiOSエンジニア向けのイベントですから、登壇したら多くのアプリエンジニアにディップを認知してもらえる期待が持てます。
自分はAndroidエンジニアだし、iOSDCにも行ったことがないし、初めての登壇で20分枠に挑戦するのは正直しんどいし、登壇するのは自分じゃないなと考えていました。
しかし、前述した採用への課題感からDevRelの勢いに乗っかりたい気持ちもありましたし、次にこういう機会がいつあるのかもわからないので、腹を括って登壇を決めたというのが経緯です。
登壇を決めてから登壇するまで
登壇したくてプロポーザルを出しても採用されない人がたくさんいることは知っていましたし、iOSDCは技術や物作りが好きなエンジニアの方がたくさん集まるお祭りです。スポンサーセッションで貴重な1枠をいただいて話すことに、正直めちゃくちゃプレッシャーを感じていました。
お祭りである一方で、認知の向上とか採用の成功とか、目論見を持って登壇することに少し負い目もありましたが、自分にできる最良のアウトプットのために準備を始めました。
元々、担当したアプリリニューアルの取り組みはアウトプットのネタになるかもしれない思っていたので、それを軸に登壇資料を作りました。
アーキテクチャ、テストコード、宣言型UI、AIツールの利活用と、トピックはありきたりといえばありきたりなのですが、現場目線の活きた情報はきっと参考になると考えて
「参考になってくれ〜〜〜頼む〜〜〜」
と念を唱えながら作りました🔮🙏
そして出来上がったのが「テストコードすら書けなかったレガシーアプリがAIと上手に協働できるようになるまでの軌跡」です。
7月から9月にかけては仕事もプライベートも忙しく、準備は正直かなり大変でした。初登壇だし、チーム外に向けた発表の経験もほぼなかったので、どれだけ推敲しても良いものができているのか不安でした。
「登壇後は大量のマサカリでズタズタになるんだろうなハハハ」とネガティブが止まらず、食事も喉を通りませんでした。「人間って本当に食事が喉を通らなくなるんだな」と妙に関心したことが印象に残っています。
iOSDC本番
スライドをスクリーンに映すことすら不安でいっぱいだったので、登壇の前日に接続確認をさせてもらいました。ルームにいたスタッフさんから「前日に接続確認する人は初めて見ました」というコメントをいただきました。
あまりにも不安がっている僕に、緊張の対策になる「パワーポーズ(足を開いて腰に手を当てて胸を張る)」をアドバイスしてくれたり、とても親切にしていただきました。
当日のセッション開始時は、声優の立木文彦さんの声で名前を呼んでもらいました。(呼ばれたというより叫ばれた)
しかし、パワーポーズも虚しく緊張で頭がいっぱいだった僕は、立木文彦さんの声をまったく噛みしめることができませんでした。気持ちが弱すぎる…🫠
緊張はしましたが、スライドの投影も問題なく行えましたし、ガチガチに用意した原稿テキストと事前練習のおかげで発表も事故らず、トラブルなく終えることができました。本当によかった…
登壇終了からiOSDC終了まで
登壇後、僕のセッションを聴いて声をかけてくれた方が何人かいました。「参考になった」「励みになった」という感想をもらえたり、ソフトウェアの品質向上についての意見交換ができたり、とても嬉しかったです。
似た課題を抱えている皆さんのお話を聞けたことで、僕の励みにもなりました。モチベーションと活力を分けてもらいました。
皆さん本当にありがとうございました🙇
登壇する場がiOSDCだったのも良かったです。スピーカー、参加者、スタッフみんながリスペクトし合う雰囲気の中で登壇できたことを、とても嬉しく思います。
初登壇で気持ちが入りすぎていたこともあり、エンディングではちょっと涙ぐんでしまいました🥲
演出で飛んできた銀テープは持ち帰って保管してあります。本当にいい思い出です。
登壇してみて
プレッシャーと緊張まみれの初登壇でしたが、チャレンジしてみてよかったです。
資料作成では自分のやったことをおさらいしつつ学びを深める必要があり、レベルアップにつながった手応えがあります。
セッション後の「1分間フィードバック」では49件ものフィードバックが届きました。「いよいよマサカリが飛んできたか…」とめちゃくちゃビビりながら薄目で読みました。予想に反して前向きで好評なコメントばかりでした。泣きました。
特に、テストを書く習慣の定着の部分で「参考になった」という声が多かったです。
テストを書くハードルをとにかく下げつつ、テストコードの生み出す価値が最低限担保されるよう、色々考えながら取り組みを設計した部分でした。参考になったという声が聞けてとても嬉しいです!😭🙌
採用への効果についてはまだ未知数です。他社さん曰く「登壇の効果はじわじわ現れてくる」「登壇の1年後とかに、登壇がきっかけで面談や選考に応募が来たりする」とのことで、長い目で見る必要がありそうです👀
反省点ももちろんあります。
定期的に学びを振り返って何らかのテキストでまとめておけば、資料の作成はもっと楽にやれただろうなとか、チーム規模や改善効果のデータなどはもっと具体的に説明したら参考にしてもらえたなとか...普段サボっていたところや自分に足りない部分を色々突きつけられたなぁと感じています。
社外発信に関わらず、これらはエンジニアリングの質をさらに上げるために改善するべき課題だと思います。今後改善を意識しようと思います。
登壇を考えている方へ
プレッシャーと緊張がすごくて食事も喉を通らなかったとか、しんどかった部分も正直に書きました。
しかし冒頭に記載した通り「登壇や発表の行動につなげたいけど踏み出せない人の参考になる気がした」のでこの記事を書いています。
なぜしんどかったかを考えると「登壇経験がないのにいきなり大舞台で登壇することになった」という点が大きいと感じています。
なので、登壇や発表をしたい人は、まずは5分ぐらいのLTで登壇をしてみてはいかがでしょうか。自分の実践したこととその学びを10枚のスライドにまとめられればバッチリ登壇できると、今の僕なら断言できます。
また「用意したネタがウケるかわからない」というのも不安でした。これについては、誰に何を届けたいかというターゲットとゴールを明確化することで不安が和らぎました。
聴きにくる全員が満足するものを目指しても僕には無理なので、「ここまでできたらヨシ」というラインを決めておくのが良いと思います。
僕の場合は
「レガシーコードの解消や宣言型UIの導入に課題を感じている人が、何かしら参考になったらヨシ」
「コード品質に課題がなくて宣言型UIも使いこなせている人は多分来ないから考えなくてヨシ」
と決めて資料を作っていました。ここが曖昧だと、オーディエンスを無限に想定して無限に悩みますし、無限に資料を作り込むことになってしんどいかなと思います。
そもそも、イベントの趣旨に沿っていればOKな話なので、変に考えすぎなくて良いよなとも思います。それでも気になるという人向けに参考になれば幸いです。(僕は気になってしまう人です😇)
(ちなみにiOSDCはトークテーマの自由度かなり高いと思います)
失敗について考えると怖くなりますが、小さく取り組めば失敗の痛みも小さいです。発表者が練習として参加することを歓迎するイベントもあります。コミュニティにはチャレンジを讃える空気感もあると肌身で感じたので、登壇への興味を生殺しにせず、思い切って一度LTからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
経験を積んでおけば、ある時大きな舞台で登壇することになっても、美味しくご飯を食べながら登壇準備をして、本番も成功させられるはずです🍚✨
最後に
たった一度登壇しただけの僕ですが、その経験を通じて感じたことを色々と書かせていただきました🙇
相変わらず社外発信はプレッシャーを感じて緊張するので、この記事も深刻な緊張感の中で公開ボタンを押すことになるでしょう...誰かの参考になってくれ頼む〜〜(再)
レガシーコードと戦う皆さん、新しい技術の導入にチャレンジする皆さん、社外発信にチャレンジしようとしている皆さん、健闘を祈ります。僕も引き続き頑張ります。
グッドラック...👍
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