[Haskell] 型クラスについて
モナドについて調べていたところ、型シグネチャと型変数と型クラスについても理解する必要があることがわかり、調べてみた。
💠 型シグネチャと型変数
🔹 型シグネチャ
変数や関数に対して、型が何であるかを示すもので、基本的には以下の形式で型を定義します。
名前（変数名 or 関数名） :: 型
変数と関数のそれぞれの型シグネチャは以下のようになります。
変数
x :: Int
x = 5
name :: String
name = "type"
関数
add :: Int -> Int -> Int
add x y = x + y
result = add 1 2 -- 結果: 3
🔹 型変数
型変数について、例えば以下のような、単純に2つの引数を受け取って、最初の値を返す関数があるとします。
first :: a -> a -> a
first x y = x
first 1 2 -- 結果: 1
first "first" "second" -- 結果: "first"
この例の「a」が型変数にあたります。
「a」については、Intや、String、など任意の型を表すことができます。
また、以下の様に、一度に複数の型変数を使用できます。
first :: a -> b -> a
first x y = x
first 1 "second" -- 結果: 1
first "first" 2 -- 結果: "first"
💠 型クラス
型クラスとは、他の言語のinterfaceに似たもので、共通の関数を持つデータ型の集まりを定義するものです。（個人的には、Rustのtraitに似ていると思っています）
🔹 既存の型クラス（Num）
例えば、定義済みの型クラスとして、Numという型クラスがあります。
:infoコマンドでNumの定義を出力すると以下のように表示されます。
:info Num
type Num :: * -> Constraint
class Num a where
(+) :: a -> a -> a
(-) :: a -> a -> a
(*) :: a -> a -> a
negate :: a -> a
abs :: a -> a
signum :: a -> a
fromInteger :: Integer -> a
{-# MINIMAL (+), (*), abs, signum, fromInteger, (negate | (-)) #-}
-- Defined in ‘GHC.Num’
-- ==== ここまでが、Num型クラスが持つべき関数の定義(A) ====
-- ==== これ以降は、Num型クラスに所属するデータ型(B) ====
instance Num Double -- Defined in ‘GHC.Float’
instance Num Float -- Defined in ‘GHC.Float’
instance Num Int -- Defined in ‘GHC.Num’
instance Num Integer -- Defined in ‘GHC.Num’
instance Num Word -- Defined in ‘GHC.Num’
まず(B)の部分について、こちらはNum型クラスに所属しているデータ型になります。Double、Float、Int、Integer、Wordが、Num型クラスに所属していることになります。
次に(A)の部分について、これはNum型クラスに所属するために必要な関数の一覧です。DoubleやIntなどのデータ型は、これらの関数を実際に実装することでNum型クラスのメンバーになることができます。
そのため、以下の様に「+」や「-」で計算することができます。
a = 1.0
b = 3.2
c = a + b -- 結果:4.2
🔹 型クラスの定義方法
型クラスは、以下の様にすることで定義することができます。
-- 定義
class 名前 型変数 where
関数名 :: 型シグネチャ
関数名 :: 型シグネチャ
-- 例
class Shape a where
height :: a -> Int
width :: a -> Int
また、上記型クラスにデータ型を所属させる場合、以下の様にすることで所属させることができます。
-- データ型
data Rectangle = Rectangle Int Int
-- 実装
instance Shape Rectangle where
height (Rectangle h w) = h
width (Rectangle h w) = w
🔹 型クラスの利点
型クラスの利点は、以下があります。
- 既存のデータ型に対して、後から制約をつけることができる
- データ型に関係なく、同じ関数名で処理できる
それぞれの例について、記載します。
既存のデータ型に対して、後から制約をつけることができる
MyNum型クラスを作成して、Intに対してadd関数を追加する
class MyNum a where
add:: a -> a -> a
instance MyNum Int where
add x y = x + y
a:: Int
a = 100
b:: Int
b = 200
main = do
putStrLn $ show $ add a b -- 300
データ型に関係なく、同じ関数名で処理できる
Shape（図形）型クラスを作成して、TriangleとRectangleにそれぞれcalculateArea関数を実装する
-- 三角形（底辺, 高さ）
data Triangle = Triangle Int Int deriving Show
-- 四角形（幅、高さ）
data Rectangle = Rectangle Int Int deriving Show
-- 図形型クラス
class Shape a where
calculateArea:: a -> Int
-- 実装
instance Shape Triangle where
calculateArea (Triangle base height) = (base * height) `div` 2
instance Shape Rectangle where
calculateArea (Rectangle width height) = width * height
-- 使用例
triangle::Triangle
triangle = Triangle 2 4
rectangle::Rectangle
rectangle = Rectangle 2 4
main = do
putStrLn $ show $ calculateArea triangle -- 結果: 4
putStrLn $ show $ calculateArea rectangle -- 結果: 8
💠 参考
🔹 型シグネチャと型変数
🔹 型クラス
Discussion