[PR]2023年KEEB_PD的自キ総括
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みなさん、KEEB_PDはなんなのか知ってますよね?
知らない方はググってください😁
KEEB_PDと言えば写真ですが、私のキーボード撮影機材は、
カメラ:EPSON R-D1xG
レンズ:Voigtlander Nokton Classic 35mm F1.4Ⅱ MC
です。マニュアルフォーカスのレンジファインダーカメラなのですが、レンズがF1.4なのです。撮影用の照明などがないので開放にしてギリギリ撮れる感じのシャッタスピードになってしまい、とんでもなく被写界深度が浅くて基本的に手ブレしまくりです😅 なので、しょうがなくスマホで撮影して投稿することも多いです。それでも、このカメラで撮りたいのでこだわって使っています。
新しいキーボードを組んだ時は、テンションが上がっていて、割とKEEB_PDに投稿をすることが多いんですが、いつもいつも構図が同じになってしまうので、自分で見ても同じキーボードに見えてしまう写真ばかりになってしまいます。「いいね!」の数は気にはなりますが、1位を取れたことはありません😁
2023年は、年初に想定していたよりも、多くの時間をキーボード作成に費やした1年になりました。年初の目標としては「年内に自設計キーボードを1台作って頒布する」を掲げていたのですが、サリチルさんの頒布している「GL516」というキーボードケースに装着することを前提にしたキーボードを設計する、キーボード設計用テンプレートを使うと、簡単にキーボード設計が出来てしまうので、気がついたらあれよ、あれよと、5台も作ってしまっていました。
その5台のキーボードを中心に、KEEB_PDに投稿した写真を振り返ってみたいと思います。
Coron47Plus
2023年に最初にKEEB_PDへ投稿したのは、Aki27さんの「Coron47Plus」でした。
もともと、2022年の頭にCocot46-lpを入手し使ってみたのですが、トラックボールのボールが小さいことと、私の身体がカラムスタッガードを受けつけなかったため、使わなくなっていました。
ところがXwitterで、ロースタッガード+25mmトラックボールという、夢の組み合わせとも言えるキーボードのプロトタイプを、Aki27さんがポストしているのを見つけました。これを見た時は、もうこれでエンドゲーム出来ると確信しました(出来なかったのですが)。きっとこのキーボードは争奪戦になると思い頒布開始日をチェックしていたのですが、生憎と頒布開始時間は外出の予定が入っていました。しかし、スマホで争奪戦に参加しなんとか勝利する事が出来ました。
このキーボードのトラックボールは25mmのボールを使うのですが、この25mmのボールは通常では入手が困難で、キーボードキットには1インチ(25.4mm)のビリヤードボールがオマケで付いてきました。
私のキットには緑のビリヤードボールが付いて来たのですが、どうも緑はトラックボールのセンサーが全く読み取れないらしく、マウスカーソルがピクリともしません。なので、黒マジックで塗りつぶしてみたところ使えるようにはなるのですが、ビリヤードボール自体がデコボコになっていてボールの回転が全くスムーズでないのと、黒マジックが指に着いてしまうという欠点がありました。
そこで某Discordで「POM球を染めるといい」という情報を貰ったので、Amazonで25mmの真っ白なPOM球と、「SDN」という染料の青を購入し、このSDNでPOM球を1時間ほど煮ました(ものすごい化学臭が家中に充満するので、家の中では煮るのはオススメしません…)。その結果、スムーズに廻るボールが完成したのですが、その直後にAmazonで25mmのトラックボール用ボールが単品販売されたので、即効でポチって、すぐにそれに入れ替えました。当然と言えば当然なのですが、こちらのほうが使い心地、見た目、共に比べ物にならないくらい良好でした😁
TReK GT40 DONUMCOELI
理想的な配列にも近いし、トラックボールも付いているので、このままCoron47Plusでエンドゲームするかなと思ったのですが、しばらく使っていると右手側のキーが窮屈なことに気が付きます。
ここでちょっと、話を2021〜2022年に戻します。
2021〜2022年は、自分のキーボードの好みや、どんなキーボードが合っているのかなどが分かっていなかったので、とりあえず手当たり次第に気になった自作キーボードキットを組んで使ってみました。それらの、使ったキーボードの種類を大雑把に分類すると、
- ロースタッガード
- カラムスタッガード
- オーソリニア
- アリス
という感じになりました。この4種類のキーボードを、それぞれある程度の時間をかけてじっくり使ってみたところ、私の好みや生理的に受け付けられない事などが分かってきました。それが以下になります。
- キーボードは一体型で、キーの物理配置が左右に分かれている形がいい
- 「F」キーの人差し指を曲げたところに「C」キーがないとタッチタイプ出来ない
- 「B」キーを打つ手が決まっていないので、「B」は両手側に欲しい
特に(2)に関しては、カラムスタッガード・オーソリニア共に、「F」キーの真下には、ほぼほぼ「V」キーが鎮座しているので、普通にタッチタイプをしようとすると誤打しまくります。もうそうなると、キーボードを自設計する上で、ロースタッガード以外の選択肢が完全に消滅しました。
私のタイピングスタイルでは、ロースタッガードでなければストレスなく使えないという事が判明してから、ただひたすらロースタッガードのキーボードキットを、買っては組んで、買っては組んで、を繰り返しました。その中で特にイイな!と思ったのが、Cerbekosさんの「BROOKTEN」と、今年最初に購入しKEEB_PDにもポストした前述の「Coron47Plus」です。これらのキーボードはきっちりとロースタッガードで、キーブロックも左右に分割されており、なお且つ両手側に「B」が配置出来るようになっています(かなり重要)。これは、だいぶ理想に近いです。Coron47Plusは、左右のキーブロックの間に、25mmのトラックボールも配置されており、もうこのキーボードだけで入力装置は完結してしまう状態でした。
また、BROOKTENで、両掌(りょうてのひら)の位置にロータリーエンコーダーを設置すると便利なことが分かりました。
しかーし、BROOKTEN、Coron47Plus共に、このblogに書いた「両手側とも1段が6キー」に1キーだけ足りません!右手側2段目が、5キーなんです。Coron47Plusの右手側が窮屈な理由がこれでした。ここが6キーだったら、おそらく自分でキーボードを設計しようなんて思わなかったかもしれません。それこそ、完全にこの2台のキーボードでエンドゲームしていた可能性すらあります。しかし、幸か不幸かエンドゲームすることがなかったので、キーボードを自設計する決意を固めることが出来ました。
そこで、2023年初頭、自分の理想の物理配列キーボードの設計をしようと、一念発起します。キーボード設計をしようと決断出来た要因としては、2022年の冬コミで、さりちるさんの「キーボード設計ガイド」が頒布され、それを購入したことと、「GL516デザインガイド」を読んだことで、「これは…キーボード設計出来るかもしれない…?」と実感出来たことが、かなり大きい要因になりました。
それでは、キーボードの設計をするということは決めましたが、問題はキーボードの名前です。ロータリーエンコーダーが3つあり、GL516互換で、40%キーボードという事から、
- ロータリーエンコーダーが3つ→Triple Rotary encoder
- GL516でテンキーレスの40%→GL516 Tenkeyless 40%
となり、これを繋げると、
Triple Rotary encoder Keyboard GL516 Tenkeyless 40%
となり、これのアクロニムで、
TReK GT40
とすることにしました。
そして出来たのが、TReKシリーズ第一弾キーボード「TReK GT40 DONUMCOELI」でした。
KEEB_PDに投稿した「TReK GT40 DONUMCOELI」は以下の3つです。
いろいろなキーボードを2年間使ってきた経験から、自分に合った物理配列は、
- 両手側とも「6列3段+親指3キー」
- ロータリーエンコーダーが3つ
- 全体的に軽く逆ハの字
と決まっていたので、このDONUMCOELIで「物理配列」はエンドゲームしました。
しかし、Xwitterで「GRIN配列」というものを見てしまい、その美しいキーの配置を真似してみたくなりました。
TReK GT40Plus GRINIUM
このキーボードにもご覧の通り、ロータリーエンコーダーが3つ載っていますが、GPIOピンが足りなくなったため、3本のGPIOピンで3つのロータリーエンコーダーを動かすという、かなり実験的な設計をしたキーボードになります。Self Made Keyboard in Japan(以下「SMKiJ」)などで質問したところ、ある特定のロータリーエンコーダーを使うとこの方法が使えるらしいという情報を元に製造してみました。実験の結果は惨敗で、どれかのロータリーエンコーダーがクリック位置の途中で止まっていると、残りのどちらかのロータリーエンコーダーが反応しなくなってしまうという現象が出てしまいました(ダメだったというのはSMKiJで報告させていただきました)。
このキーボードはElecrowに製造をお願いしたのですが、PCBとスイッチプレートが7枚づつ届いたのですが、最初にテストで組んだ1台だけで残りの6台分はお蔵入りになってしまいました(組んだ1台もほとんど使わず仕舞いでした)。
TReK GT40Plus PARALLAX
KEEB_PDには2枚の画像をアップしていました。1枚目の画像は、キーボードが完成し、あまりの嬉しさに居ても立っても居られず、すぐにキーボードを撮影し投稿した画像で、2枚目は、このキーボードを「キー部5%」に持っていったは良いけれど、結局一回もカバンからは出さずに帰ってしまったのを後悔して投稿した画像です😁
私の考えるミニマムな配列の最適解は、先述したように両手側とも「6列3段+親指3キー」というもので、それをKLEで図にしてみると、
上図のような感じになるのですが、この「PARALLAX」は片手側が「7列3段+親指3キー」になっています。これは、片手側が「7列×3行+親指3キー」あると、ちょっとした機能を中央のロータリーエンコーダー周りにマッピングすることが出来て便利なのでは?と思ったのか思わなかったのか忘れましたが、キーボードの中央がちょっと寂しかったので、7列3段で設計して製造したという感じです。
このキーボードはロータリーエンコーダーの配置を、「DONUMCOELI」とは若干変えていて、両掌の位置に来る2つのロータリーエンコーダーを直径30mmのものにしました。狙ったわけではないですが、こうすることでロータリーエンコーダーを使う時に、手がホームポジションからずれる量を若干ですが抑えられる事が分かりました(親指で廻す前提です)。そして、左右のロータリーエンコーダーを、ブラウザのタブ移動と、上下スクロールにすることで、快適なWebブラウズが出来ることもこのキーボードで発見出来ました。
今のところ、この「PARALLAX」で採用している物理配列が、私の中での「40%におけるエンドゲーム物理配列」となっています(40%にしてはちょっとキーが多いですが)。
TReK 40Plus SYMMETRIA
某Discordで「ロースタッガードの物理配列って左手はそこそこ打ちやすいけど、右手がツラい」という書き込みを見て「言われてみればそうだな、右手側を左手側と同じようなズラし方にしたら使いやすくなるかも?」と脳裏をよぎったので、「PARALLAX」の右手のズレ方を左手側を反転した形のキーボード「SYMMETRIA」を作ってみました。
上が「SYMMETRIA」、下が「PARALLAX」なのですが、違いが分かりますか?🤔 「SYMMETRIA」は、左右シンメトリーになっています。通常のロースタッガードの場合、右手側の最上段は左へ0.25Uズレているのですが、これを右へ2.5Uズラす形にしています。こうすることで「Y」をタイプする時に、ホームポジションから大きく崩す事なく人差し指が「Y」に届くようになります。ただし、通常のロースタッガードでタッチタイプをマスターしている人は、この配列で打てるようになるにはちょっとだけ慣れの時間が必要になっています。
ちなみに、「SYMMETRIA」の設計は、「PARALLAX」のKiCADデータをちょこちょこっと修正して作っただけなので、「PARALLAX」のファームウェアがそのまま使えたりします(LEDの配置が全く違う(初めてフルキーバックライトにしました)ので、正しく光らせたい場合は「SYMMETRIA」専用のファームウェアを入れる必要があります)。
ただし、ProMicroの配置をGL516ケースに装着する事を前提としない位置にしているので、専用のボトムプレートを使う設計になっています(キーボード名称からも「GT」を外しています)。
TReK G70 CLAVIS
40%キーボードを使っている時は「数字キーなんていらないぜー!」などとイキっているのですが、やはり普段パソコンを使っているとモディファイアなしで数字を入力したくなる場面というのが割りと、結構、たまに、ちょくちょく出てくることがあります。そういう時のために、外付けのテンキーパッド(私はKeyfuda01を使っていました)を併用していたりするのですが、物理配列のキーブロックを左右に分割しているキーボードであれば、キーブロックとキーブロックの間にテンキーを配置したら、使いやすいのではないだろうか🤔 なんていう事は40%使いの方であれば、1度や2度は考えた事があるのではないでしょうか。しかーし、私はGL516サイズにこだわっているのですが、GL516の横幅にテンキーを入れようとすると、algさんのGuard58のようにカラムスタッガードにしないと収まらない事は、実は薄々気づいていました(以前に設計しようとしたことがあります)。
しかしある時、GL516対応のキーボードを眺めていた時に、キーボードの左右一番端のキーの、さらに外側に少〜しだけスペースがある事に気が付いてしまいました。であれば、最初に行うスイッチプレートの設計時に、スイッチプレートの端からキーキャップが少しハミ出るくらいに配置したとしても、PCBにスイッチソケットが実装出来る位置になっていれば、問題なくキーボードとして成立するのではないだろうか…?🤔 などという考えが脳裡をよぎりました。
そして、KiCADと格闘すること数ヶ月、なんとかロースタッガード+テンキーをGL516サイズに収める設計が完成しました。ただ、惜しむらくは4キーだけスイッチソケットを配置することが出来ず、Mill-Maxを使う事になってしまいました。ちょっと検索した感じだと、Mill-Maxを使ったソルダリングのMXスイッチフットプリントが見当たらなかったので、初めてフットプリントエディタで自作したのですが、実際に製造したPCBで試してみるまでは、Mill-Maxがちゃんと刺さって、ハンダ付け出来て、スイッチがハマって、スイッチが反応するのかドキドキでした。結果としては問題なく正しく動作することが分かって安心しました。
実際に組んで使ってみた感想ですが、40%ではなく縦5段の70キーで、ほぼ60%に近い配列にしてしまったのはいいのですが、もう40%配列が身体の芯まで染み込んでしまっているので、60%を使うのが難しく、しかもESCの上になにかしらキーがあると、それをESCだと身体が勝手に認識してしまい誤打しまくる事が分かったので、堕落猫さんがBOOTHで頒布しているスイッチブロッカーで、左上の1キー分を潰して使っています。
テンキーがあると便利なことは便利なのですが、ロータリーエンコーダーの位置が問題でした。最上部の中央に3つ並べてしまったのですが、ロータリーエンコーダーを使おうとする時に、手がホームポジションから完全に離れてしまうのが、かなりUXを低下させました。
上記の2点を踏まえて、縦を4段にして、ロータリーエンコーダーを左右掌の位置にしたテンキー付きキーボードを現在設計中です(製造はおそらく2024年になると思います)。
以上が、私の「2023年KEEB_PD的自キ総括」でした。
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