Devinを使う時は、プロジェクトの使用頻度で Devin machineのセットアップを判断しよう
この記事では、Devinを実際に動かしてみての体験とCognition公式の数値を基に、リポジトリセットアップの判断基準を解説します。ACU消費を最適化したい方は、ぜひ参考にしてください。
Devin AIを使用する際に表示される「This repository is not set up on Devin's machine」というメッセージ。リポジトリセットアップを行うかどうかは、月の使用回数とセットアップ時間の関係で判断できます。
実際のデータに基づくと、セットアップに5分かかる場合、月4回以上使用するならリポジトリセットアップが有利になります。これは15分のアクティブなDevin作業で約1ACU($2.25)を消費するという公式数値から計算されています。
リポジトリセットアップとは何か?
Devin AIでリポジトリを使用する際、「This repository is not set up on Devin's machine. Devin will need to clone the repo, install dependencies, and configure tests during each new session which will consume more ACUs.」というメッセージが表示されることがあります。
これは「このリポジトリはDevinのマシン上にセットアップされていません。Devinは新しいセッションごとにリポジトリのクローンを作成し、依存関係をインストールし、テストを構成する必要があるため、ACUの消費量が増加します」という意味です。
セットアップの仕組み
リポジトリセットアップを行うと、VS Codeを使用してDevinがリポジトリで作業するために必要なすべてのツールと依存関係をセットアップします。この手順の後、Devinは追加のインストール手順なしに必要なすべてのコマンド(lint、test、buildなど)を実行できるようになります。
リポジトリ設定完了後、仮想マシンのスナップショットが保存されます。今後のDevinセッションはこのスナップショットから開始され、セットアップ過程中にインストールしたツールや依存関係が含まれます。
ACU消費量の実際のデータ
DevinのACU(Agent Compute Unit)は、仮想マシン時間、モデル推論、ネットワーク帯域幅など、Devinがタスクを完了するために使用するコンピューティングリソースの正規化された測定単位です。
Cognition公式によると、各ACUのコストは$2.25で、15分の「アクティブなDevin作業」は約1ACUに相当します。
ACU消費ペースのイメージ
弊社での使用例では、4つのシンプルから中程度のタスクを2つのリポジトリで実行し、合計7つのDevinセッションで46.47ACU($92)を消費しました。これには、リポジトリアクセス確認やオンボーディング用の追加セッション2つ、Devinがクラッシュしたための追加セッション1つが含まれています。
各タスクは平均11.5ACU、つまり$23、約172.5分(2.9時間)でした。
セットアップ時間の計算例
通常のセットアップ時間が5分の場合、1ACUの約3分の1(約$0.75相当)を毎セッション消費します。月に4回使用する場合、セットアップなしでは約$3のコストがかかります。
一方、初回セットアップで同じ5分かかったとしても、それ以降はセットアップ時間がゼロになるため、月4回以上使用する場合は初回セットアップが有利になります。
リポジトリセットアップが必要な場面
複雑な依存関係を持つプロジェクト
ビルドツールやテストツールなどをインストールし、パッケージ依存関係(npm install、pip install -r requirements.txtなど)をインストールする必要がある場合、毎回のセットアップ時間が長くなります。
場合によっては、「sudo apt update」「sudo apt install -y php php-cli php-mbstring unzip curl」などのインフラ・ミドルウェア側のコマンド実行も必要です。これらを毎回実行する必要が出てくると、セットアップ時間が大幅に増加します。
頻繁に使用するリポジトリ
Devinのワークスペースは、すべてのセッション開始時に保存されたマシン状態にリセットされます。デフォルトでは、このマシン状態にはapp.devin.ai/workspaceで追加・設定したすべてのリポジトリが含まれます。
継続的に使用するリポジトリでは、初回セットアップの投資が回収しやすくなります。特に開発期間が長期にわたるプロジェクトでは、セットアップの効果が高くなります。
チームでの共同作業
複数のメンバーが同じリポジトリを使用する場合、一度セットアップしておくことで、チーム全体のACU消費を抑制できます。Devin公式でも「Devinのワークスペースを設定することで、コードベースでのDevinのパフォーマンスが大幅に向上します」と言及されています。
リポジトリセットアップが不要な場面
シンプルな構成のプロジェクト
依存関係が少なく、特別な環境設定が不要なプロジェクトでは、毎回のクローンとセットアップでも時間的コストは低く抑えられます。静的サイトやシンプルなスクリプト、HTMLとCSSのみのプロジェクトなどがこれに該当します。
一時的な使用
短期間のテストや実験目的でのみ使用する場合、セットアップの投資コストが回収できない可能性があります。プロトタイプ開発や一回限りの作業、学習目的での使用では、都度セットアップする方が経済的です。
使用頻度が低いプロジェクト
月に1-2回程度しか使用しないプロジェクトでは、セットアップのACU消費が無駄になる場合があります。メンテナンス頻度の低いプロジェクトや、不定期にしか触らないコードベースでは、都度セットアップの方が合理的です。
セットアップするかどうかの判断方法
セットアップ時間の測定
まず、セットアップ時間の実測を行いましょう。Devin公式ドキュメントでは「新しいターミナルをVS Codeで作成して設定をテストできます」と記載されています。
実際にローカル環境で「git clone」から「npm install」(または必要な依存関係インストール)までの時間を測定してみてください。DevinのマシンはUbuntu 22.04 (x86_64)で動作しているため、Linux環境での実行時間が参考になります。
使用頻度の見積もり
プロジェクトの期間と作業の頻度を考慮して、月何回Devinを使用するかを見積もります。開発の初期段階では使用頻度が高く、保守フェーズでは頻度が下がる傾向があります。
チーム全体での使用を考慮する場合は、メンバー全員の使用頻度を合算して判断する必要があります。
段階的にはじめてみる
まず1-2回使用してみて、実際のセットアップ時間とACU消費量を確認することをおすすめします。この段階で、プロジェクトの特性と自分の使用パターンを把握できます。
使用頻度が想定より高い場合は、その時点でリポジトリセットアップを検討しましょう。Devin公式では「Devinのワークスペースを設定することで、コードベースでのDevinのパフォーマンスが大幅に向上します」と推奨されています。
コスト管理のポイント
Devinの使用量は「Settings」の「Usage & Limits」ページで確認できます。ここで、使用したACU数、残りのACU数、DevinセッションごとのACU使用量の内訳を確認できます。
定期的にACU消費量をモニタリングし、想定以上に消費している場合は設定を見直しましょう。特に、Devinは約0.1ACUの非アクティブ状態の後、自動的にスリープするため、無駄な消費を避けられます。
まとめ
Devin AIのリポジトリセットアップは、使用頻度とセットアップの複雑さによって判断すべき機能です。公式データによると、15分のアクティブな作業で約1ACU($2.25)を消費するため、セットアップ時間が5分で月4回以上使用する場合はセットアップが有利になります。
継続的に使用するプロジェクトや、複雑な依存関係を持つプロジェクトでは、初回のACU投資によって長期的なコスト削減が期待できます。一方、一時的な使用や軽量なプロジェクトでは、都度セットアップする方が経済的な場合もあります。
実際の判断は、プロジェクトの特性と使用パターンを考慮して行うことが重要です。迷った場合は、まず数回使用してみて、実際のセットアップ時間とACU消費量を確認してから判断することをおすすめします。
参考情報源一覧
Devin公式ドキュメント
-
Repo Setup - Devin Docs
https://docs.devin.ai/onboard-devin/repo-setup -
Billing - Devin Docs
https://docs.devin.ai/billing -
Pricing | Devin
https://devin.ai/pricing
ユーザー体験記事
-
Devin - First Impressions - by Zhu Liang - The Ground Truth
https://thegroundtruth.substack.com/p/devin-first-impressions -
Devinのワークスペースにリポジトリを追加する方法
https://zenn.dev/hamworks/articles/fcc519bab3dab5
ニュース・分析記事
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Devin, the viral coding AI agent, gets a new pay-as-you-go plan | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/04/03/devin-the-viral-coding-ai-agent-gets-a-new-pay-as-you-go-plan/ -
Devin 2.0 is here: Cognition slashes price of AI software engineer to $20 per month from $500 | VentureBeat
https://venturebeat.com/programming-development/devin-2-0-is-here-cognition-slashes-price-of-ai-software-engineer-to-20-per-month-from-500/
料金・コスト分析記事
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Unlock AI Coding Power: Devin AI Unveils Affordable Pay-As-You-Go Plan
https://bitcoinworld.co.in/devin-ai-pay-as-you-go/
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