IaaS17選を徹底比較|導入メリット・デメリットやその他特徴
昨今では、IT化による利便性が非常に高まっています。日本の人口減少にともない、労働者人口も比例して減少傾向にあります。そのため、今までと同様の仕事の進め方では人材不足の観点からも、従来の仕事のやり方ができないなど、会社運営において破綻している事象もあるのです。
また、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からもリモートワークを導入している企業も多数存在しています。従来であれば、会社に出勤してパソコンでデータ作成などを行うことができましたが、リモートワークでは個人のパソコンから会社のデータにアクセスすることが困難である状況が想定されます。そこで、データのクラウド共有化などの対策を講じることにとよって、リモートワークに対して適切な対応をしているところもあるのです。
このように、企業が「人材不足の解消」および「労働者の多種多様な仕事スタイルに対応」するためには、IT化の推進が喫緊の課題となっているのです。
本記事では、そのような背景を踏まえてIaaSの概念や導入に伴うメリットおよびデメリットを解説します。
デジタル化に関する日本の動向
企業へのIT化推進が喫緊の課題となっていることから、日本政府としても今の事態を重く受け止めています。2021年9月には、日本政府においてデジタル庁が発足されました。デジタル庁の組織体制は、約600人で構成されています。内数は、各省庁等から集められた人員約400名と民間出身者約200人で構成されています。デジタル庁は、内閣府および11の他省庁には属していないため、多数に展開されている各省庁間において横断したデジタル改革を視野に入れています。
デジタル庁の発足とは、日本政府がデジタル化を重要な課題であると認識していることの表れであり、さまざな施策等は民間会社である大手企業を中心として中小企業にも大きな影響を与えることが想定されます。
具体的な施策として、令和4年(2022年)6月7日に新しい重点計画が閣議決定されました。デジタル庁において今後の日本が目標としている「デジタル社会」の姿と、それを実現することを目的として必要な考え方や取組を提示しているものが、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」なのです。本計画では、目標としているデジタル社会の実現に向けて、日本政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策が記載されており、デジタル庁を中心として各府省庁が構造改革や個別の施策に取り組み、それを世界に発信・提言する際の羅針盤となるものとして位置付けられています。
なお、具体的な方針は次のとおりです。
- 1.デジタル化による成長戦略
- 2.医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化
- 3.デジタル化による地域の活性化
- 4.誰一人取り残されないデジタル社会
- 5.デジタル人材の育成・確保
- 6.DFFTの推進を始めとする国際戦略
このように、デジタル社会に関しては日本政府も着目していることから、今後の動向も注視しなければなりません。
IaaSとは
IaaSとは「Infrastructure as a Service」の略称となっています。これらの頭文字を採用して「IaaS」と表記しており、「イァース」もしくは「アイアース」と発音します。
情報システムの稼動に必要となる仮想サーバなどの各種機材およびネットワークなどのシステムインフラを、インターネット活用したサービス提供として受けることができます。
従来におけるホスティングサービスと称されているサービスと提供範囲区分は同様となっていますのが、IaaS においてはサーバを利用するときに必要となるハードウェアのスペックおよびOSをユーザーがチョイスして、ネットワーク経由で利用可能となるのです。
IaaSとPaaSおよびSaaSの違いについて
IaaSとは似て非なるものとして、PaaSやSaaSといったものがあります。混同してしまいがちですが、これらはIaaSとは別物となっています。ここからは、PaaSとSaaSについて解説します。
SaaSとは
SaaSとは、「Software as a Service」の略称となっています。これらの頭文字を採用して「Saas」と表記しており、「サース」と発音します。従来はパッケージ製品として提供されていたソフトウェアを、インターネット経由でサービス提供および利用できる形態となっています。
SaaSの大きな特徴は、データをインターネット上に保存することができることです。そのため、パソコンなどの固有単体に限定されるのではなく、パソコン・スマホ・タブレットといった各種端末からデータにアクセスすることができます。オフィスだけでしか作業できなかったものが、外部からでもインターネットを活用してアクセスすることが可能であるためデータの活用性は大幅に向上しています。
また、たくさんのユーザーが同じデータを共有して編集することが可能ですので1つのデータをブラッシュアップする際にも役立てることができます。
PaaSとは
PaaS とは、「Platform as a Service」の略称となっています。これらの頭文字を採用して「PaaS」と表記しており、「パース」と発音します。アプリケーションソフトを稼動するために必要なハードウェアやおよびOS などのプラットフォーム一式を、インターネット活用したサービス提供として受けることができます。エンドユーザに対して、オンラインでサービス提供しているSaaSがありますが、それをより一層幅広くサポートする形態となっています。プラットフォームに対して大規模データセンターなどを確立して外部開放しており、メインとしては企業などのユーザーがその上にサービス開発する形態です。
開発者に対してのメリットとしては、システム設計に沿う手法にてアプリケーションを開発できますので、ローコストおよび迅速にシステム開発を行うことができる点となっています。
IaaS・SaaS・PaaSとは
IaaS・SaaS・PaaSでは、アプリケーション・ミドルウェア・OS・サーバー・ネットワークにおいて、領域区分に違いがあります。
IaaSのメリット6選について
IaaSでは、使用するに際しての環境を最適に構築することができます。IaaSでは、環境構築の部分についてはユーザーで検討できる自由度が非常に高いため、カスタマイズ性が高いと言えるのです。CPUおよびストレージといったのスペックについても、ユーザーが必要だと判断したタイミングで必要な分だけをカスタマイズすることも可能ですので、費用面においても優れていると言えるでしょう。
ここからは、具体的なIaaSのメリットについて解説します。
サーバー不要
オンプレミスサーバーでは、自社に物理的なサーバーを設置する必要がありました。しかし、IaaSはインターネットを活用してサーバーを利用することが可能であるため、自社に物理的なサーバーを設置しなくて良くなったのです。自社に物理的なサーバーを設置しなければならない従来のケースでは、サーバーを設置するスペースを確保しなければならないことから自社のオフィススペースを圧迫する原因となっていました。
IaaSでは物理的サーバーを設置しなくても良いため、オフィススペースも別の用途に活用することができるでしょう。また、自社で物理サーバーを設置するとなると設定などを行わなければ本格的に稼働させることはできませんが、IaaSでは契約したあとはすぐにOS周りのインフラが整備された環境となっていますので、迅速性を持って稼働させることができます。本体は、クラウドサービスの提している供会社が管理クラウドサービスにいて展開されています。従って、高いセキュリティが構築されているデータセンター等の安全性が確保された環境にサーバーが置かれていることも安心材料の1つです。
イニシャルコスト削減
上述したように、オンプレミスサーバーでは物理的サーバーを自社に置く必要がありました。しかし、IaaSでは物理的サーバーを設置する必要がありませんので、イニシャルコストとして必要であったサーバー購入費を削減することができます。
また、サーバー設置スペースを考慮したオフィススペースでは、オフィススペースの拡大に伴ってイニシャルコストかせ必要となります。物理的サーバーが不要であるからこそ、イニシャルコストを大きく削減することができます。
ランニングコスト削減
オンプレミスサーバーでは、サーバーの老朽化などに伴って修理をすることやサーバー増設などに伴うシステム改修などの多額のランニングコストが必要となります。
しかし、IaaSでは自社にとって最低限必要なサービスに対して従量課金制で支払うこととなりますので、ランニングコストはオンプレミスサーバーを使用することと比較すると比較的安価に抑えることができます。
また、急な障害が発生した場合においても復旧するためハードウェアを追加購入することに伴うシステム改修費用などのランニングコストも必要ないことから、経費を格段に抑えることができるでしょう。
システム規模の自由度
IaaSでは、自社の事業規模に応じてシステム拡張およびシステム縮小を簡単に行うことができます。システム規模に関する自由度の最大のメリットは、システム拡張することよりもシステム縮小が簡単に行えることであると言えるでしょう。システム拡張は、単純にCPU・メモリ・ストレージ容量などを追加すれば可能です。
しかし、システム縮小するとなると現在使用していたCPU・メモリ・ストレージ容量などが無駄になってしまうのです。
そのため、契約開始後も自社の事業規模に応じて必要なだけCPU・メモリ・ストレージ容量などの拡大および縮小が簡単にできることは非常に大きなメリットであると言えます。
1つの事例として、IaaS利用開始時は利用ユーザーがあまり多くないためある程度小さい構成として運用する場合では、仮想サーバー1台とCPUおよびメモリも最小限のもので開始することができます。その後、事業拡大に伴って利用ユーザーが順次増加したタイミングにおいて必要なだけCPU・メモリ・ストレージ容量などの拡大を行うものです。
このように、非常に柔軟性を持った対応をすることができます。
環境構築性の高さ
IaaSでは、環境構築性が非常に高く、自社にカスタマイズした自由な環境を構築が可能です。IaaSの特徴として、OSおよびネットワークなどのインフラだけが限定的にサービス提供されていますので、自社に合わせたプラットフォームおよびアプリケーションを自由に選択することが可能です。
具体的には、OSの種類(Windows/RedHat/CentOS等)・CPU・メモリストレージ・ネットワーク・バックアップ世代などが選択可能です。それらをベースとして、次の項目について自由に構築することができます。
- データベース
- プログラム言語
- アプリケーションソフトウェア
- ウイルス対策ソフト
- 監視ソフトなど
IaaSを活用することにより、柔軟性の高いプラットフォームおよびアプリケーションの構成を決定し、自社の事業規模拡大などを視野に入れたペースでシステム構築およびシステム稼働が可能となっているのです。
PaaSおよびSaaSなどのクラウドサービスでは実現性が難しい事象についても、IaaSであれば対応可能となるでしょう。
負担の軽減
システムを運用するためには、必ずシステム管理者が必要となります。
システムの各種管理を行うシステム管理者には、業務においてさまざまな負担が強いられる可能性があります。しかし、IaaSを導入することによってシステム管理者の負担を軽減することができるのです。システム管理部門において、最も負担が大きいとされるOSおよびインフラの運用を信頼できるベンダーに委託することができますので、負担軽減率は非常に大きなものとなります。
IaaSにおいて、ペンタ―に委託できる具体的な項目は次のとおりです。
- 定期的なOSのアップデート
- プロトコル監視
- Pingなどのネットワーク疎通確認
- OSおよびネットワークにおけるダウン時対応
- ネットワークサービスの急な不具合対応
- 安定稼働のための定期的な再起動とメンテナンス
これまでシステム管理者が行っていた、システムメンテナンスなどは自社でシステムが稼働していないときに行う必要があるため、休日や夜間にて対応せざるを得ませんでした。これらのOSアップデートおよびパッチ適用などをペンタ―に委託することが可能となるのです。このように、IaaSを導入することに伴うシステム管理部門の負担軽減は非常に大きいと言えるでしょう。
最適なBCP計画の構築
IaaSを導入することにより、BCP対策が容易となります。なお、BCPとは事業継続計画のことであり、企業にとって非常に重要な項目となっています。上述したように、IaaSのクラウド環境を構成しているサーバー本体は、セキュリティレベルの高く安全性が確保されたデータセンターなどに設置されています。
例えば、過去1400年間を見ると約100~200年の間隔で蓄積されたひずみを解放する周期となっており、M8~M9クラスの大地震が30年以内に、70%~80%の高確率で発生すると言われている南海トラフ地震などがあります。
また、近年で発生が顕著となっている大型台風による被害など自然災害による影響は非常に大きなものとなっています。これらの発災に伴って、会社の事業継続が困難となってしまう可能性も否定できません。
BCPの考え方としてはこれらの自然災害などの被害を受けたとしても業務が停止してしまわないよう対策を講じることが極めて重要なのです。
そのため、サーバーに被害が出ることによって業務に支障を及ぼさないように対策を講じることが必要です。そこで、BCP対策専用のサーバーを本番環境システム設置のデータセンターと分散設置することによって、自然災害などによって1つのサーバーがダウンしたとしても、もう1つのサーバーを活用することによって業務が停止することを防ぐことが可能です。
このように、IaaSを導入することによってリスク分散することが可能ですので、適切なBCPを構築することができます。
IaaSのデメリット3選について
IaaSを導入することによるメリットは非常に大きなものばかりです。しかし、IaaSにはメリットだけでなくデメリットが存在することも忘れてはいけません。
ここからは、具体的なIaaSのデメリットについて解説します。
システム担当者に求められる専門性の高さ
IaaSを導入するためには、システム担当者の配置が必要不可欠です。配置しなければならないシステム担当者において、ある程度専門性の高い知識が要求されることとなります。OSおよびネットワークといったインフラ周りについては、IaaSのサービス提供範囲内とされています。
しかし、自社にカスタマイズできるアプリケーション・プラットフォーム・プログラミング環境の構築などについては、自社で設定および構築する必要があるのです。そのため、データベースに関する知識およびプログラミング言語を熟知した人材が必要不可欠です。
また、OSおよびネットワーク設計も自社のシステム担当者で行うためパラメータに関する知識も必要となるでしょう。このように、システム担当者は適切にシステム運用できるようにシステム環境を構築さしなければならないのです。
なお、自社のシステム担当者が上述した内容に熟知していなければ必ずIaaSを利用できないという訳ではありません。その時は、信頼性が確保されているベンダーを選定するようにしましょう。
信頼性が確保されているベンダーでは、OSやプラットフォーム周りに関する設計および構築に関するアドバイスを受けることもできますので、必要に応じて相談するのも良いでしょう。
メンテナンスの多様性
IaaSでは、メンテナンスの範囲が非常に広くなっています。そのため、メンテナンス範囲の広さによる運用負荷がどうしても高い傾向にあります。
IaaSの大きなメリットとして、自社に特化したカスタマイズが可能であることから非常に柔軟性が高いことが挙げられます。
しかし、柔軟性が高いこととは言い換えると自社で管理する必要がある守備範囲が増えるということです。
具体的な管理範囲として挙げられる項目は、次のとおりです。
- OSのリソース管理(CPU、メモリ、ストレージ容量)
- データベース管理(アクセス、バージョンなど)
- プログラミング言語管理(バージョンなど)
- アプリケーションの利用管理
- アプリケーションのアクセス管理など
これらの項目について、自社にて管理する必要があることをご理解頂きたいと思います。
なお、採用するベンダーによっては、上記内容についての支援サービスを展開しているところもありますので、システム担当者への業務負担を軽減する観点からもそのようなベンダーを選択するのも良いでしょう。
セキュリティ対策
IaaSでは、インターネットを活用してシステムを構築するため、外部からの攻撃などを想定してセキュリティ対策を講じることが極めて重要です。そのため、自社で管理している範囲についてはセキュリティリスクを抱えているため、対策を講じなければならないのです。
クラウドベンダーにおけるセキュリティ担保とは、サービス提供しているインフラ周りに限定されます。そのため、OSの基本的なネットワーク監視はベンダーが実施していますが、自社で構築したプラットフォームやアプリケーションについてはベンダーは関与しません。それらの部分については、自社でセキュリティメンテナンスしなければならないのです。
自社で運営しているシステム環境から推測されるリスクがどこにあるのかを考慮し、どの項目に対してセキュリティを打字なければならないのかを判断するようにしてください。
IaaS運用時の注意点3選について
IaaSを導入して運用するにあたって、いくつか注意点があります。これらの注意点を事前に把握することによって、より適切なIaaSを導入することが可能となります。
ここからは、IaaS運用時の具体的な注意点について解説します。
セキュリティの依存性
IaaSの運用にあたり、セキュリティ対策とは極めて重要なポイントです。重要であるネットワーク通信に関するセキュリティについては、IaaSベンダーの守備範囲となっています。
そのため、自社でセキュリティ対策をするのではなく、ベンタ―にセキュリティを依存することになるのです。IaaSの特徴として、OS以上の領域に関するセキュリティはユーザー側で管理することになります。
インフラ部分における管理は、セキュリティを含めてベンダーに依存することになりますので、ベンターがどのようなセキュリティ対策を講じているのか事前に詳しく確認しておくべきでしょう。
サポート体制
IaaSの運用には、ベンタ―との契約締結が必要不可欠となります。そのため、不測の事態が生じた際にはベンタ―側で対応してもらうケースも少なからず存在します。
そこで重要となるのがベンタ―側のサポート体制です。一番良いのは、24時間365日対応してくれるサポート体制が構築されていることです。それが難しい場合でも、休日および夜間などにおいてもサポートしてくれる体制が構築されていれば良いでしょう。
このように、ベンタ―と本契約をする前にサポート体制がどこまで充実しているのか確認するようにしてください。
法律遵守
IaaSを導入するにあたって、法的リスクが内包されていることを理解しなければなりません。IaaSのクラウドサービスでは、海外で運営されているところもあります。海外のクラウドサービスでは、特にデータ保護に対して確認をするようにしましょう。そのリスクは、個人情報が海外で流出する可能性が懸念されるからです。
また、データを管理の主体が国外であれば、法的な要求も困難となります。海外のクラウドサービスでなく国内であったとしても、法律に則ってデータを適切に管理しているか確認する必要があります。データ管理をIaaSベンダーに一任していますので、ベンダーがユーザーに対して通知しなければセキュリティ違反を確認することもできません。
事前にどのようなポリシーに則って情報を取り扱うのか確認する必要があるのです。
IaaSサービス比較18選について
1.Azure IaaS
2.SmartConnect Cloud Platform 3.Oracle IaaS 4.Cloud Sigma 5.Google Cloud 6.楽天クラウド Red Hat OpenStack Platform 7.freebit cloud VDC Pro 8.KAGOYA CLOUD VPS 9.さくらのクラウド 10.Hyper Cloud 11.JGranz IaaS 12.S-Port Cloud Vシリーズ 13.Z.com Cloud 14.IDCFクラウド 15.FUJITSU Cloud Service 16.IBM Cloud 17.Alibaba CloudIaaSを導入しましょう
ここまで、IaaSの概念や導入に伴うメリットおよびデメリットについて解説しました。IaaSを導入することによるメリットはたくさんあります。しかし、デメリットや注意点があることも忘れてはいけません。それらを複合的に理解することにより、より自社に適したIaaS運用が可能となるでしょう。
IaaSを導入することにより恩恵は非常に大きなものとなっていますので、是非ともIaaSの導入を検討されては如何でしょうか。
本記事の内容は、https://digi-mado.jp/category/information-system/laas/
IaaS18選を徹底比較|導入メリット・デメリットやその他特徴から、抜粋したものです。
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