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Difyを最大限活用するためにはプロンプトエンジニアリングが必要不可欠!

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はじめに

「ノーコードでAIアプリが作れる!」
そんな魅力からDifyを使い始めた人は多いはずです。

しかし、実際にアプリを動かしてみると——

  • 思ったように回答してくれない
  • 出力が安定しない
  • データを渡しても正しく参照してくれない

といった課題にぶつかることがあります。

実は、その差を決定づけるのが 「プロンプトエンジニアリング」 です。
この記事では、Dify×プロンプト設計の実践ポイントを、実例を交えながら解説します。

プロンプトとは?

プロンプト(Prompt) とは、
AI(特に大規模言語モデル)に対して与える指示文のことです。

例えば次の2つの例を比較してみましょう。

プロンプト 出力の違い
「文章を要約してください。」 抽象的な要約が生成されるが、粒度や文体が安定しない。
「以下の文章を200文字以内で3行構成に要約し、です・ます調で統一してください。」 読みやすく整った要約が生成される。

同じモデルを使っても、プロンプトの設計 によって結果の品質は大きく変わります。
つまり、プロンプトとは AIの出力を導く設計図 と言えます。

質の高いプロンプトに共通する5つの要素

質の高いプロンプトは以下の5つによって構成されています。

要素 説明
役割(Role/Persona) モデルに役割を与えることでトーンや専門性が安定 「あなたは採用担当者です。」「人事のプロフェッショナルとして回答してください。」
命令(Instruction) モデルに実行してほしい具体的なタスクや行動指示 「新卒採用の応募者に送る面接案内メールを作成してください。」
文脈(Context) 背景情報や条件を提供し、出力の一貫性を高める 「当社はITスタートアップで、採用職種はエンジニアです。社風はフラットでカジュアルです。」
入力データ(Input Data) モデルが処理すべき具体的な対象 「以下が応募者の情報です。・氏名:佐藤花子・応募職種:フロントエンドエンジニア」
出力指示(OutPut Instruction ) 出力の形式・長さ・文体などを明示 「件名と本文を含むメール形式で出力してください。」「敬語で丁寧なトーンにしてください。」

https://www.promptingguide.ai/jp/introduction/elements

プロンプトエンジニアリングとは?

プロンプトエンジニアリング(Prompt Engineering) とは、AIに対して最適な出力を引き出すために、プロンプト(指示文)を 設計・改善・最適化する技術 のことです。
最適なプロンプトを設計するためには、そもそもの業務理解が必要であり、それを的確に言語化してプロンプトに落とし込むことができる能力が必要です。

プロンプトエンジニアリングの重要性

重要性 説明
AIの性能を最大限に引き出すことができる AIへの指示が曖昧だと、意図した結果を得ることが難しいです。プロンプトを最適にすることで、正確かつ関連性が高い、有益な出力をAIに出力させることができます
業務効率と生産性の向上 質の高い出力を得ることで、後処理の修正や手直しにかかる時間を大幅に削減できます。これにより、業務効率が向上し、生産性が高まります
ユーザー体験の向上 顧客対応チャットボットなどでは、プロンプトを最適化することで、顧客の意図を正確に汲み取り、誤解のない的確な回答を提供できます。これにより、顧客満足度の向上につながります
AIの安全な利用 AIを悪用する指示を検知・防御するためにもプロンプトエンジニアリングが重要になります。より安全なAI活用には不可欠なスキルです

プロンプトエンジニアリングのテクニック

少数ショット学習(Few-shot)

AIに正解例を少数提示して、出力の方向性を明確にする手法です。

以下のようなトーンで面接案内メールを作成してください。
【例1】
件名:面接のご案内(エンジニア職)
本文:〜(丁寧・親しみやすいトーン)
【例2】
件名:面接日程のご連絡
本文:〜(フォーマルで簡潔)

上記を参考に、次の応募者向けメールを作成してください。
応募者名:佐藤花子
職種:データアナリスト

思考の連鎖(Chain-of-Thought)

AIに推論のステップを明示させることで、より一貫した結論を導く手法です。
「理由を説明してから結論を出すように」と促すことで精度が上がります。

次の応募者が当社の文化にマッチしているか評価してください。
まず理由を3つ挙げ、その後に総合判断を「高・中・低」で示してください。

自己整合性(Self-Consistency)

AIに複数の回答案を生成させ、その中から最も一貫性のある出力を選ばせる手法です。
同一プロンプトで複数候補を生成させ、最も自然なものを採用するように設計します。

応募者への一次面接案内文を3パターン生成し、
一番自然で好印象なものを選んで提示してください。

構造化(Structuring)

プロンプトを「#(シャープ)」や「*(アスタリスク)」などの記号を使うことで、見出しや箇条書きなどを表現します。
「役割」「目的」「入力」「出力形式」などを段階的に整理すると、回答の一貫性が向上します。
単純なタスクの場合は、構造化してもしなくても大きな差は出ませんが、複雑なタスクや多要素を含む指示では特に効果的です。

# 面接案内メール作成

## 役割
あなたは人事担当者です。

## 目的
応募者に一次面接の案内を送る。

## 入力
- 氏名:佐藤花子
- 面接日時:11月5日 14:00〜
- 面接形式:オンライン(Zoom)

## 出力形式
- 件名と本文を含むメール形式
- 丁寧かつ親しみやすいトーン

フィードバック(Feedback)

AIの出力を評価・修正し、再学習的に改善させる手法です。
前回の出力を参照して「より良い案」を生成できます。

前回のメール文面は丁寧すぎたため、
もう少しカジュアルなトーンで再作成してください。

追加情報を与える(Provide Additional Context)

ChatGPTやGeminiなどの生成AIモデルは、リリース時点までの情報 を学習しており、
リアルタイムで新しい知識を自動更新しているわけではありません。
そのため、最新の情報や社内特有のナレッジをプロンプト内で与えることが、
正確で文脈に沿った回答を得るための重要なポイントとなります。
またDifyのナレッジ機能や外部データ接続(API・スプレッドシート・Notionなど)を活用することで、最新の情報をプロンプト内に動的に挿入することが可能です。

ChatGPTは2023年9月までの情報で学習されています。
以下の最新情報を考慮して、応募者評価コメントを作成してください。

【企業概要(2025年10月更新)】
- 事業内容:AIソリューション開発
- 最新プロダクト:「AI採用支援プラットフォーム Dify Recruit」
- ミッション:テクノロジーで採用のミスマッチをなくす

【評価基準(2025年度版)】
- データリテラシー:★★★
- プロジェクト推進力:★★
- チームワーク:★★★

まとめ

DifyはノーコードでAIアプリを構築できる強力なツールですが、
その真価を引き出す鍵はプロンプトエンジニアリングにあります。

  • プロンプトはAIの出力を導く設計図
  • プロンプトエンジニアリングとは その設計を最適化する「技術」
  • Difyではこの技術が、アプリの品質・再現性・拡張性を決定づける

AIに正確に考えさせるための設計力こそ、これからの開発者の必須スキルです。
Difyで開発を進める際は、ぜひ「プロンプトをデザインする意識」を持ってみてください。

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