プログラマーでも知っておきたい基礎英語
動機
コードレビューやコード解析をしていると、不自然な英語を見かけることがよくあります。これらの不自然な表現は、コードの可読性や理解を妨げる原因になることもあります。ここでは、コードを書く際に意識した方がよい英語の基本ルールについて解説します。
品詞
「品詞」という言葉に抵抗を感じる方もいるかもしれません。品詞を意識しないと、不自然な英語表現になりやすいです。英語に苦手意識がある方ほど、ぜひ意識してみてください。
英語には10種類の品詞があると言われていますが、コードを書く上で特に重要な3つの品詞に絞って説明します。
名詞
名詞は、人、物、概念、または名称を表す語句です。変数名やクラス名は通常、名詞、あるいは形容詞+名詞、名詞+名詞という形で構成されます。
名詞には以下の2種類があります:
- 可算名詞:数えられる名詞。複数形にすることができます。
- 不可算名詞:数えられない名詞。複数形にできません。
コードを書く際は、基本的に可算名詞を使用することを推奨します。不加算名詞を複数形にすると、不自然な英語になります。
// 可算名詞
user
item
// 不加算名詞
data
information
動詞
動詞は、「動作」や「状態」を表す語句です。英語では、1つの文につき動詞は1つしか使えませんが、プログラミングではTrySave
のように動詞を2つ組み合わせることもあります。
ただし、動詞を複数使用すると、意味が不明瞭になったり、不自然な表現になることがあります。そのため、特定のパターンや慣例に従うことをお勧めします。プログラミングでよく使われる動詞パターンについては、こちらの記事が参考になります。
形容詞
形容詞は、名詞を修飾し、その意味を具体化する語句です。単独で使うことはなく、名詞と一緒に用いられます。プログラミングでは、特にis+形容詞
の形式で使われることが一般的です。
isEmpty
isValid
defaultConfig
文法
中学・高校で英語の授業といえば「文法」と言うほど、多くの時間が費やされます。そのため、文法が苦手だと感じる方もいるかもしれません。しかし、プログラミングで必要な文法知識は最小限です。分詞について知っていれば十分だと思います。
分詞
分詞は、動詞を元に作られる形で、文中では主に形容詞の役割を果たします。分詞には次の2種類があります。
現在分詞:進行中の動作を表す(例: ~している)。
過去分詞:動作の完了や受動的な状態を表す(例: ~された)。
プログラミングでは、分詞を用いて変数名やメソッド名に「動作」や「状態」を簡潔に表現することがよくあります。
現在分詞
現在分詞は、動詞+ingの形をとり、「~している」という進行中の動作を表します。プログラミングでは、分詞を名詞の前に置いて使うことが多いです。
以下のように使います。
readingFile // ファイルを読んでいる
loadingData // データをロードしている
過去分詞
過去分詞は、動作が完了した結果や受動的な状態を表します。こちらも、プログラミングでは分詞を名詞の前に置いて使うことがほとんどです。
以下のように使います。
receivedMessage // 受信したメッセージ
updatedProfile // 更新されたプロフィール
現在分詞と過去分詞の違い
現在分詞と過去分詞の違いは、名詞に対して動詞がどのように修飾しているかにあります。
現在分詞:名詞がV(動詞)する
(例: loadingData → データを読み込んでいる)
過去分詞:名詞がV(動詞)される
(例: loadedData → データが読み込まれた)
例:
データを読み込む場合 → loadingData
データが読み込まれた場合 → loadedData
Discussion