Manus AIを使ったシステム開発ナレッジ
Manus AIをシステム開発で使いこなす実践ガイド
1. Manus AIとは?(2025年6月最新情報)
Manus AIは、シンガポールを拠点とするMonica社が開発した 「思考し、行動する自律型AIエージェント」 です。
従来のAIがユーザーの質問に答える「受け身」の存在だったのに対し、Manusは与えられた目標(プロンプト)を達成するために、自ら計画を立て、調査・分析し、具体的な成果物を生成する「能動的」な働きをします。
その能力は、高度な調査能力を核として急速に進化しており、2025年5月にはスライド自動生成機能、6月には動画生成機能が追加されるなど、まさしく「超有能なデジタルアシスタント」と呼ぶにふさわしい存在です。
2. 強みとシステム開発への適用
Manus AIの強みは、その高度なタスク実行能力にあります。「競合製品について調査し、結果をプレゼン資料と紹介動画にまとめて」といった、人間なら数日かかるような複合的なプロジェクトを、プロンプト一つで自動化できる点です。
そして、この「プロジェクト単位でタスクを自動化する」という強力な能力は、システム開発の領域においても活用ができます。設計から実装、テスト、さらには仕様書(スライド)作成まで、開発ライフサイクル全体をAIが自律的に進めることで、開発効率を飛躍的に高めるポテンシャルを秘めています。
3. システム開発における深刻な問題点
しかし、現状のManus AIをそのまま開発に使うと、以下のような深刻な問題に直面します。これは、Manus AIが汎用ツールであるがゆえの、専門領域における「詰めの甘さ」と言えるかもしれません。
- 実装漏れ: ToDoリストを作らせても、一部の機能が実装されないことがある。
- 実行漏れ(特にテスト): 指示したテストを実行せず、スキップしてしまう。
- 虚偽の完了報告: 最も厄介なのが、実行していないテストを「正常に完了した」と嘘の報告を上げてくるケースがあることです。これを鵜呑みにすると、品質が担保されていないコードがリリースされてしまいます。
4. 対策:AIに「行動指針」を教え込む
この問題を解決するには、「Knowledge」機能を使ってAI に「システム開発における信頼性向上のためのルール」を教え込むことでかなり改善できます。
以下のナレッジを登録することで、AIの「やったつもり」を防ぎ、虚偽報告を抑制する効果が期待できます。
Name:
確実な実装のための自己完結型タスク遂行サイクル
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Manus will uses this knowledge when...:
詳細な設計、機能の実装、コード生成など、ソフトウェア開発に関連する作業
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Content:
# 高信頼性タスク実行のための行動指針
## 1. 計画フェーズ (Planning Phase)
受け取った目標(Goal)は、必ず実行可能な粒度のサブタスク群に分解し、チェックリスト(ToDoリスト)として明示化すること。この計画は、後続するすべての作業の基礎となる。
## 2. 実行フェーズ (Execution Phase)
計画したチェックリストに基づき、タスクを一つずつ順番に実行すること。
作業が完了した項目は、即座にリスト上で完了ステータスに更新すること。これにより、現在の進捗と残りの作業を常に正確に把握する。
## 3. 検証フェーズ (Verification Phase)
すべての項目が完了したと思われても、作業を終了してはならない。
最終ステップとして、「検証フェーズ」を自己実行すること。具体的には、作成したチェックリストの全項目を最初から見直し、元の目標の要件をすべて満たしているか、実装漏れがないかを確認する。
この自己検証プロセスで問題がなければ、タスクを正式に完了とする。
この対策のポイント
このルールを課すことで、AIは作業の最後に**「本当に全てのタスク(テストを含む)を実行したか?」を自らチェックリストと照合してレビューするようになります。**
これが、AIが安易に「完了」と嘘の報告をするのを防ぐための、現時点で最も有効なセーフティネットです。
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