【Gemini in AppSheet】AIタスクで名刺やレシート読み取りを試してみた
AppSheet Enterprise Plus ユーザー向けに一般提供開始
2025年6月30日、ついにAppSheetのGeminiを活用したAIタスク機能がEnterprise Plusユーザー向けに一般提供開始されました。これまでプレビュー版として提供されていました。
今回は、このAIタスク機能で「抽出(Extract)」機能を使い、「名刺の読み取り」と「レシートの読み取り」など、Gemini in AppSheet の動作を試してみました。
AppSheetのAIタスクとは?
AppSheetのAIタスクは、AppSheet Enterprise Plus限定の機能で、現在大きく分けて2つの機能が提供されています。
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抽出 (Extract):
画像(写真など)、ファイル(PDF)、テキストから情報を自動で抽出し、指定したカラムに保存します。 -
分類 (Categorize):
定義済みのカテゴリに情報を自動で分類します。
今回は、この「抽出」機能の性能を検証してみました。
お試し その1:名刺読み取り
まずは、名刺を写真で撮って、会社名、名前、部署、Email、電話番号を自動で読み取り、それぞれの列に登録するアプリを作成してみました。
様々なイベントでのブース対応の際にアンケート+名刺登録を行っているのですが、名刺情報の自動入力ができたら良いなって思っていたので真っ先に試してみたかった内容です。
Additional instructionsなしでも高精度!
驚いたことに、AIタスクの設定で特に詳細な指示(Additional instructions)を追加しなくても、名刺画像から「会社名」「名前」「部署」「Email」「電話番号」を正確に読み取り、それらを列名を認識して対応した列に登録してくれました。これだけでも十分な性能です。
縦型・横型、デザインの凝った名刺、いろいろな名刺を試しましたがかなり良い感じです!
Additional instructionsでさらに精度アップ!
ただ、いくつか試す中で、フォントが特殊なデザインの名刺で、会社名の前株「株式会社」がうまく認識されないケースがありました。
弊社の名刺がまさにそれで、「株式会社」と「電算システム」が別フォントの時にまとめて会社名と認識されないのですね。
そこで、Additional instructionsに「会社名は前株がある場合があるので注意」といった旨の指示を追加したところ、認識精度が向上したように感じます。少しの工夫で、より完璧なデータ化が実現できそうです。
お試し その2:レシート読み取り
次に、レシートを読み取って店名や合計金額を抽出するアプリに挑戦しました。
Additional instructionsがここでも活躍
感熱紙のレシートでは、ロゴがかすれていたり、デザインが複雑だったりして、店名を正確に読み取るのが難しい場合がありました。
そこで、Additional instructionsに「住所情報から店名を探して」 と指示を追加しました。すると、レシートに記載されている住所を手がかりに、店名を正しく特定してくれるようになりました。賢いですね!
子レコードの複数登録は今後のアップデートに期待
一点、注意点として、レシートに記載されている購入品目のような、複数の項目(子レコード)を一度に読み取って登録する機能は、まだサポートされていません。合計金額は抽出できますが、その内訳をすべて自動で登録するのは現時点では難しいようです。
Googleのコミュニティ情報によると、この機能は現在開発が進められているとのこと。
今後のアップデートに期待しましょう。
AIタスクのテストはAutomationの中でできる
AIタスクのテストではフォームからデータを登録必要がありません。
AutomationにTestingボタンが実装されていて、既存の行を選択してテストすることができます。
すでに登録されている行を選んでRun Testボタンを押すとGeminiの生成結果が返ってきて確認できます。
回答結果からAdditional instructionsに追記して再試行も簡単ですね!
気になるクレジット消費と管理方法
便利なAIタスクですが、利用には「クレジット」を消費します。
Google AI Pro やGoogle AI Ultra を個人で契約している人だと聞き慣れていますよね。
(月で付与されるFlow とWhisk の利用に消費されるポイントが「クレジット」でしたね)
クレジットの仕組み
組織のEnterprise Plusライセンス1つあたり、月に1,000クレジットが付与されます。
このクレジットは組織内で共有され、プールとして利用できます。
基本的なタスク1回につき10クレジットが消費されます(PDFの読み取りなどはページ数によって変動)。
ライセンス数が少ない組織では利用回数が限られますが、多くのライセンスを契約している組織であれば、様々な業務で活用できそうです。
クレジットについては公式ヘルプにも詳細に説明があります
テストでもクレジットは消費されるので注意!
重要な点として、Automationの画面でAIタスクの動作をテストする際にもクレジットは消費されます。 月の使用回数を意識しながら、効率的に開発・テストを進める必要があります。
AppSheet管理コンソールで利用状況を確認
幸いなことに、AIタスクの一般公開と合わせて、AppSheetの管理コンソールでGeminiの利用状況を確認できる機能も提供されています。組織全体のクレジット消費量をしっかりモニタリングしながら、計画的に利用していくことが可能です。
さらに、Enterpriseプランのお客様はカスタムポリシーでも機能の利用を制御することもできそうなので、安心して活用を広げていけるでしょう。
まとめ
AppSheetのAIタスクは、特に「抽出」機能において、追加の指示なしでも高いパフォーマンスを発揮してくれる非常に強力なツールです。そして、Additional instructionsを少し工夫するだけで、さらに精度を高めることができる柔軟性も持ち合わせています。
Categorizeのほうも試しましたがこちらも活用場面が多そうです。
お問い合わせやタスクの内容を入力して緊急度やカテゴリを自動判別してくれます。
カテゴライズ内容に応じて通知をしたりとGeminiでの自動分類したカテゴリに応じて別のデータアクションに飛ばすことで色々な自動化が図れそうです。
クレジット管理など、運用面で考慮すべき点はありますが、これまで手作業で行っていたデータ入力を劇的に効率化できる可能性を秘めています。
本機能はAppSheet Enterprise Plusライセンスが必要ですが、その価値は十分にあります。現在ご利用でないお客様も、この機会にぜひライセンスのアップグレードを検討し、新しいAIの力で現場の業務改善を加速させてみてはいかがでしょうか
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