Gemini Enterprise登場!「Gemini at Work 2025」最新速報
Google「Gemini at Work 2025」最重要発表まとめ:「職場AIの新たな入口」Gemini Enterpriseが拓く未来
GoogleのAIソリューションをご検討中、ご利用中の皆様へ向けたイベントとして、2025年10月10日 AM2時(日本時間)より、「Gemini at Work 2025」がオンラインで開催されました。
本稿では、当イベントでの発表内容を速報としてご紹介いたします。(本稿の内容は、2025年10月10日時点での情報となります。)
Googleの新しい企業向けAIブランド「Gemini Enterprise」
Googleの新しい企業向けAIブランド、その名も「Gemini Enterprise」がついに発表されました!
ここからは少し担当者の感想ですが、この発表には心からワクワクさせられました。というのも、昨年末に発表され進化を続けてきた「Agentspace」の機能が、このGemini Enterpriseの中核に採用されたのです。これはもう、単なるお利口なAIチャットの時代は終わり。AIが自分で考えて、他のAIと連携しながら自律的に仕事を進める「AIエージェント」が主役の時代が本格的に始まる、というGoogleからの力強いメッセージだと感じています。
これからAIエージェントのエコシステムがどう発展していくのか、期待大です!
前置きが長くなりましたが、この「Gemini Enterprise」が私たちの働き方をどう変えるのか、発表された興奮冷めやらぬ5つの重要ポイントを解説していきます!
1.0 はじめに:職場におけるAIの新たな入口
ビジネス界におけるAIの進化は、もはや止まることを知りません。昨日までの最先端が、今日には当たり前になる。そんな目まぐるしい変化の最中、Googleが次の一手を打ち出しました。
先日開催された「Gemini at Work 2025」イベントにて、Googleは「Gemini Enterprise」と名付けられた新プラットフォーム(旧Google Agentspaceの技術を中核として統合)を発表。これを「職場におけるAIの新たな入口」と位置づけました。
本記事では、この重要なイベントで発表された内容の中から、ビジネスパーソンが知っておくべき最もインパクトのある5つのポイントを、単なる要約に留まらず、その戦略的意図まで深く掘り下げてお届けします。
2.0 「単なるツールの寄せ集め」ではない、完全なプラットフォームの登場
イベント全体を貫く最も強力なメッセージは、Gemini Enterpriseが単なるAIモデルやツールの寄せ集めではなく、包括的で統合された「プラットフォーム」であるということでした。
Google CloudのCEOであるトーマス・クリアン氏は、その核心をなす6つのコンポーネントを挙げました。
- Geminiモデル(頭脳):Googleの最先端AIがインテリジェンスを提供
- ノーコードワークベンチ:非技術者でもカスタムエージェントを構築可能
- 構築済みエージェントのタスクフォース:即戦力となるGoogle製エージェント群
- 企業データへの接続(コンテキスト):社内情報に基づいた的確な応答を実現
- 中央集権的なガバナンス:すべてのエージェントを一元管理・保護
- パートナーエコシステム:広範なパートナーネットワークとの連携
このプラットフォームというアプローチは、市場に溢れる断片的なAIツールに対するGoogleの明確な回答と言えます。多くの企業が直面する「導入したツール群を自社で複雑に連携させなければならない」という深刻な課題に対し、Googleは「AI部品の詰め合わせ」ではなく、「ビジネストランスフォーメーション・エンジン」そのものを提供しようとしているのです。これは、部分的な効率化ではなく、ビジネス全体の真の変革を目指す企業にとって極めて重要なシグナルです。
一部の企業はAIモデルとツールキットを提供していますが、それはプラットフォームではなく、部品を手渡しているにすぎません。すべてを繋ぎ合わせる作業は、あなたのチームに委ねられてしまいます。しかし、変革を断片的な部品から繋ぎ合わせることはできないのです。
— トーマス・クリアン氏
3.0 AIエージェント開発は、もはや開発者だけのものではない
Gemini Enterpriseが目指すのは、企業内におけるAI開発の「民主化」です。これまで専門的なスキルを持つ開発者の領域だったAIエージェントの構築が、すべての従業員に開かれます。
その中核となるのが、ビジュアルビルダーを備えた「ノーコードワークベンチ」です。これにより、マーケティング、財務、人事といった部門の非技術的なユーザーが、自身の業務に特化したカスタムエージェントを直感的に作成できます。例えば、マーケティング担当者が市場トレンドを分析するエージェントを作ったり、財務担当者が予算モデリングを自動化するエージェントを構築したりすることが可能になります。
一方で、開発者向けには「Gemini CLI」やオープンソースの「Agent Development Kit (ADK)」といった高度なツールも用意されています。特にGemini CLIのデモは圧巻でした。開発者のテイラー氏は、自然言語で「この設計書に従って在庫管理エージェントを作りたい。計画を立てて」と指示するだけで、AIが計画を立案し、コードを生成、そしてデプロイまで実行してみせたのです。
これは、専門家から現場の担当者まで、あらゆるスキルレベルの従業員が同じプラットフォーム上でAI開発に参加できることを意味します。このアプローチは、組織全体の従業員が自らの手でワークフローを自動化し、現場の課題を解決する力を与えるという点で、非常に大きな意味を持ちます。
4.0 あなたのビジネスの「文脈」を理解するAI
Gemini Enterpriseの大きな焦点の一つは、AIの応答やアクションを、企業固有のデータという「現実」に根ざさせる(グラウンディングする)能力です。
このプラットフォームは、Google WorkspaceやMicrosoft 365、SharePointといった生産性ツールはもちろん、Oracle、SAP、Salesforce、Slack、ServiceNow、Workday、Jira、Confluenceといった基幹業務アプリケーション、さらにはBigQueryのようなデータストアまで、企業が利用するおよそ全てのデータソースに安全に接続できます。
※接続できるデータソースの一例。社内のあらゆる場所にあるデータを横断検索することが出来ます。
この緊密な連携により、AIエージェントは一般的な知識に基づく回答ではなく、企業の文脈を深く理解した、的確で信頼性の高い結果を提供することが可能になります。これは、AIが単なる便利なチャットボットから、真に信頼できるビジネスパートナーへと進化するための決定的な一歩と言えるでしょう。
真の変革とは、単なるチャットボットを超えることを意味します。あなたのコンテキスト、ワークフロー、そして人々と繋がる、包括的で安全な統合プラットフォームが必要なのです。
— サンダー・ピチャイ氏
5.0 「エージェントエコノミー」の夜明け
イベントでは、さらに未来を見据えた「エージェントエコノミー」という概念も示されました。これは、異なる開発者や企業によって作られた専門的なAIエージェント同士が、互いにコミュニケーションを取り、取引を行う世界のビジョンです。
Googleは、この未来のエコシステムを育むための土台作りとして、オープンで標準化されたプロトコルを導入しています。具体的には、エージェント間のコミュニケーションを標準化する「Agent2Agent Protocol (A2A)」と、安全な金融取引を可能にする「Agent Payments Protocol (AP2)」が発表されました。
※Gemini Enterpriseから、他の場所にいるエージェントを呼び出すことも可能です。
特に注目すべきは、AP2がAmerican Express、Mastercard、PayPal、Visaといった決済大手や、Salesforce、ServiceNowといったエンタープライズの巨人を含む100以上のパートナーと共同で開発された点です。これは、Googleが単一の製品を構築しているのではなく、標準化によってデジタルビジネスの全く新しい市場、すなわち「エージェントエコノミー」という巨大な生態系そのものを創造しようとしていることを示唆しています。
6.0 労働力のスキルアップへの大規模な投資
テクノロジーの発表と並行して、Googleは人材育成への大規模な投資も明らかにしました。これは、エンタープライズAI導入における最大の障壁が、テクノロジーそのものではなく「人材とスキルのギャップ」であることをGoogleが深く理解していることの表れです。
その一環として、Gemini EnterpriseからGoogle DeepMindまで、Google全体のトレーニングを無料で提供する新プラットフォーム「Google Skills」が発表されました。さらに、新たに100万人の開発者がエージェントを構築・展開できるように支援する野心的な教育プログラム「Gemini Enterprise Agent Ready (GEAR) program」も始動します。
加えて、最も複雑な課題に取り組む顧客を支援するために、GoogleのAIエンジニアで構成されるエリート集団「Team Delta」の提供も発表されました。これは、大規模なスキルアップ(GEAR)と、専門家によるハイタッチなコンサルティング(Team Delta)という両面からエコシステムを育成する、極めて戦略的な一手と言えるでしょう。
7.0 まとめ:真の変革が、ここから始まる
「Gemini at Work 2025」で示されたのは、AIがチャットの相手から、ビジネス全体を動かす「自律的なAIチーム」へと進化する未来でした。Googleは、Gemini Enterpriseをその入り口と位置づけ、私たちの働き方を根本から変えようとしています。
もし、あなただけの超優秀なAIエージェントチームを作れるとしたら… 仕事における、どんな面倒な作業を自動化させたいですか?
私たち電算システムは、Gemini Enterpriseを始めとしたGoogleのAIソリューションを幅広く取り扱っています。単なる構築支援やトレーニングに留まらず、AIを実際のビジネスにどう活用していくか、企業組織にどうAI文化を根付かせていくか、などなど、課題解決に向けてお客様に寄り添ったご支援を提供いたします。
GoogleのAIソリューションについてのご相談、ぜひお待ちしております。
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