R6年秋 応用情報技術者試験に合格した話
はじめに
はじめまして。現在大学4年生の とうふ です。
今回は6回目のZenn投稿になります。
この記事では、少し今更ですが、私が大学3年生のときに応用情報技術者試験に合格した体験談を共有します。
Web系のインターンを大学2年生の時から継続しており、より幅広く体系的なIT知識を身につけたいと考えたのが受験のきっかけです。
当時の自分のレベル感としては、インターンや長期バイトを通じて約1年間Webアプリケーション開発の経験があり、基礎的なプログラミングやGit、Dockerなどにはある程度慣れていました。また、大学2年生の時に基本情報技術者試験に合格しています。
そんな私がどのように試験対策を行い、どの教材を使って、どんな工夫をしたかについて具体的にお話ししていきます。これから受験する方の参考になれば幸いです。
試験概要のざっくり解説
応用情報技術者試験は、情報処理技術者試験の中で中級レベルに位置付けられる国家試験です。
ITエンジニアとして幅広い分野の知識が問われるため、**「ミニ基本情報 × 3倍の深さ」**のようなイメージを持ってもらえるとわかりやすいかもしれません。
試験形式
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午前試験:マーク式・四肢択一(80問)
- 時間:150分
- 内容:広範囲の基礎知識が問われます(選択問題なし)
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午後試験:記述式・問題選択(11問中5問を選択)
- 時間:150分
- 内容:長文問題に対して記述で回答。実務的な読解・設計力も問われる
出題範囲
- テクノロジ系:アルゴリズム、ネットワーク、データベース、セキュリティなど
- マネジメント系:プロジェクト管理、サービスマネジメントなど
- ストラテジ系:経営戦略、法務、会計など
合格基準
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午前・午後ともに60点以上(100点満点)で合格
- 一方の得点が高くても、もう一方が60点を下回ると不合格となる
難易度感・基本情報との違い
- 基本情報技術者試験よりも出題範囲が広く、深掘りもされる
- 午後試験が記述式になり、「文章を読んで理解し、要点をまとめる力」や「業務を意識した判断力」が強く求められる
- アルゴリズム・セキュリティなどのコア技術に加えて、経営・法律分野の知識も必要
- 実務経験やインターン経験がある人には、「あ、あのときのあれだ」と思える問題もあり、現場感のある出題が特徴的
この試験は単なる知識の暗記ではなく、「得た知識をもとに実務の中で応用・判断ができるかどうか」 を測る内容だと感じました。
単に正しい知識を持っているだけではなく、状況に応じて適切に使いこなせる応用力や読解力が問われる場面が多かったです。
合格までの勉強スケジュール
私は 2024年7月頃から本格的に勉強を始め、試験までの約3か月間で対策を進めました。
基本情報技術者試験はすでに取得しており、実務経験を通じてデータベース・ネットワーク・セキュリティといった分野の基礎知識や実践的なスキルもある程度身についている状態でした。
平日と休日の勉強時間
7月後半は大学のテスト期間、8月頭から10月頭までは夏休み、その後は後期授業が始まりました。
それぞれの時期で生活スタイルが異なったため、勉強時間の平均を分けて記します。
1. 7月(授業期間)
- 平日:授業やアルバイトの合間を使って、平均30分〜1時間程度
- 休日:テスト勉強と並行して、平均2〜3時間程度
2. 夏休み(8月〜10月初旬)
- 8月:部活の合宿や試合が多く、平均1〜2時間程度
- 9月:時間に余裕があり、平均4〜5時間程度
3. 10月(後期開始〜試験日まで)
- 平日:授業の合間に勉強時間を確保し、平均1〜2時間程度
- 休日:過去問演習を中心に、平均3〜4時間程度
空き時間を活用したり、SNS・動画視聴を控えめにするなどして、勉強を日々の生活の中にうまく取り込む工夫をしていました。
使用した教材・参考書・ツール
使用したツールや教材を以下に書いていきます。
午前対策
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過去問道場
スマホからでもサクッと解けて、解説も見やすく、スキマ時間の活用にとても役立ちました。 -
応用情報技術者 合格教本(令和07年 春期・秋期)
各分野を体系的に学び直せる一冊です。図解も程よくついており、レイアウトも見やすくて理解しやすい参考書でした。 -
達人に学ぶDB設計徹底指南書 第2版
データベース分野に元々興味があったこともあり、試験対策と並行して読んでいました。
正規化などの基礎的な内容に加えて、パフォーマンス、アンチパターンや現場でありがちな設計ミスへの理解も深まる内容で、応用情報の勉強だけでなく今後の実務にも活かせる一冊だと感じました。
午後対策
午後対策では、特別な参考書は使わず、過去問をひたすら解いて出題形式や傾向に慣れることを重視しました。
また、単に合格を目指すだけでなく、実務や普段のプログラミングにも活かせるように、それぞれの分野に関連する専門書を意識的に読むようにしていました。
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達人に学ぶSQL徹底指南書 第2版 初級者で終わりたくないあなたへ
SQLの基本から応用までを体系的に学べる一冊で、特にデータベース分野で頻出の結合やEXISTS術後などについて詳しく解説されている点が非常に役立ちました。
基本構文の理解だけでなく、実務を意識した視点で「なぜそう書くのか」をしっかり説明してくれる内容なので、応用情報の対策にもとても役立つ一冊でした。 -
SQL 100本ノック(日本語版・前処理編)
実際にSQLを書きながら取り組める問題集で、実務を意識したデータ操作やクエリ設計の力を養うことができました。
上記で紹介した『達人に学ぶDB設計徹底指南書』と合わせて活用することで、応用情報だけでなく、日常の業務にも役立つ知識が身についたと感じています。 -
問題解決力を鍛える!アルゴリズムとデータ構造
午後試験のアルゴリズム分野対策として非常におすすめの一冊です。
私自身、もともと競技プログラミングを少しだけ経験していたこともあり、以前から読んでいた本ですが、基本的なアルゴリズムを図やコード付きで丁寧に解説してくれるため、試験対策としても非常に有用でした。
アルゴリズムに苦手意識がある方でも、本質的な考え方を理解するのに役立つ一冊だと思います。
午前試験対策のコツ
午前試験は選択式(マークシート)で、出題範囲が非常に広く、知識の量とバランスが問われる試験です。
全ての分野を完璧にカバーするのは難しいため、私はまず自分の苦手分野を見極めて重点的に対策することを意識して取り組みました。
エンジニアとしてインターンをしていた経験や、以前から興味を持ってコンピュータシステムに関する知識を自主的に学んでいたこともあり、テクノロジ系の分野には比較的自信がありました。
そのため、試験対策ではマネジメント系やストラテジ系などの文系寄りの分野に特に力を入れて勉強しました。
用語の覚え方や理解のコツ
テクノロジ系の分野では、実際に手を動かして学ぶことが理解の近道だと感じました。
たとえばデータベースであれば、正規化を自分で紙に書いて整理してみたり、SQLクエリを実際に書いて実行してみたりすることで、単なる暗記ではなく仕組みや意図を理解することができました。
このように、用語や仕組みを実際に操作・体験してみることで、知識がより深く定着しやすくなると感じています。
マネジメント、ストラテジ系の分野では、用語の意味や概念をしっかり理解し、選択肢の違いを正確に見分けられるようにすることが重要だと感じました。
具体的には、似たような用語の違いを整理して覚えるように意識しました。
また、抽象的な概念も多いため、過去問を解きながら「なぜこの選択肢が正しいのか/誤っているのか」を言語化するトレーニングが非常に効果的でした。
単なる暗記ではなく、「その知識がどう活用されるのか」「どのような文脈で問われやすいのか」を意識して学習することで、実際の問題でも迷いにくくなりました。
過去問の回し方
過去問は直近20年分(春期・秋期で計40回分)を繰り返し解きました。
1周目では、間違えた問題や**「なぜこの選択肢が正しく、他が誤りなのか」を説明できない問題**にチェックを入れ、2周目以降はその部分を中心に復習しました。
復習の際には解説を読むだけでなく、参考書に戻って該当箇所を読み直し、理解を深めることを意識しました。
単に正解することを目標にせず、「理由まで理解して答えられるか」を重視して取り組むことで、知識の定着と応用力が自然と身についたと感じています。
繰り返し演習を重ねることで出題パターンにも慣れ、本番でも落ち着いて対応することができました。
午後試験対策のコツ
午後試験は記述式で、問題文の読解力や、要点を押さえて簡潔に書く力が問われる試験です。
午前と比べて「知っている」だけでは対応が難しく、どの問題を選び、どう解答を構成するかが重要だと感じました。
問題選択の戦略
午後試験では、必須のセキュリティ問題1題と、任意で4題を選択する形式(計5題) になっています。
そのため、どの分野の問題を選ぶか、事前にしっかり戦略を立てておくことが重要です。
具体的な戦略としては、以下のような点を意識していました:
- 自分が得意な分野(例:データベース、アルゴリズムなど)を事前に決めておき、本番で迷わず選べるように準備しておく
- 各分野の過去問を複数年分解いて、頻出テーマや問われやすいパターンを把握しておく
- 出題傾向が比較的安定している分野(データベースやネットワークなど)を選ぶのも一つの戦略
- 選択肢が少ないと本番での対応力が下がるため、選ぶ問題を4つに絞りすぎず、予備としてもう1つ対策(計5分野程度)しておくと安心
こうした準備をしておくことで、本番で想定外の問題が出ても柔軟に対応できる選択肢を持てるようになります。
特に、複数の選択肢を確保しておくことの重要性は、私自身の本番での経験から強く実感しました。
私は「データベース」「アルゴリズム」「プロジェクトマネジメント」「組込みシステム」の4分野のみを対策していましたが、得意だと思っていたデータベースの問題が予想以上に難しく、かなり焦りました。
試験後に友人と話すと、「ネットワークは簡単だった」という声が多く、もう1分野対策しておけばよかったな……と少し後悔しました。
このように、「どの問題を選ぶか」で点数が大きく変わることもあるため、本番で柔軟に対応できるように予備の選択肢を持っておくことは非常に大切だと感じました。
過去問の進め方
過去問は実際に印刷して使用し、本番と同じように5題を通して時間を測りながら解くようにしていました。
なるべく試験本番に近い形式で練習するためで、まとまった時間が取れる土日を中心に取り組んでいました。
解いた過去問は直近5年分(春期・秋期あわせて計10回分) です。
ただし、復習にしっかり時間をかけるようにしていたため、多くの年度をこなすというよりは、1回1回の理解を重視して進めていました。
当日の流れと気をつけたこと
ここでは、試験当日の行動や気をつけたことについてまとめます。
本番は普段の力を出し切れるかどうかが重要なので、準備だけでなく当日の立ち回りも意外と大切だと感じました。
会場入りと持ち物
- 会場には1時間前くらいに到着。余裕を持って到着しておくことで、焦らずに行動できました
- 持ち物は以下を用意:
- 受験票
- 身分証明書(学生証など)
- 腕時計(会場に時計がないこともあるため)
- 黒ボールペン・鉛筆・消しゴム
- 飲み物・軽食(昼休憩用)
- 最後の確認用ノートや参考書
午前と午後の間の過ごし方
- 午前試験は、終了後に見直しを終えれば早めに退出が可能だったため、私は早めに退出し、昼休みは約1時間半ほど確保できました。
- 自分は試験直前に詰め込みをすると逆に不安になってしまうので、リラックスのために友人と一緒に会場周辺を散歩して気分転換をしていました。
- 午後の試験で眠くならないように、昼食は軽めにし、糖質を摂りすぎないように意識していました。
時間配分と集中力の工夫
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午前試験では、過去問の演習で時間が足りなくなったことはなかったため、本番でも焦らず、じっくりと解くことを意識しました。
わからない問題は飛ばさずにチェックを入れておき、最後に余った時間で見直せるように工夫していました。 -
午後試験では、開始直後に全体の問題をざっと見渡して、取り組みやすそうなものから着手することで、無駄に焦らず、集中を維持することができました。
当日は緊張もありましたが、事前に試験の流れをイメージしながら準備していたおかげで、落ち着いて取り組むことができたと感じています。
結果と振り返り
合格発表とスコア
私のスコアは以下の通りです:
- 午前試験:80点
- 午後試験:76点
合格基準はどちらも60点以上だったので、無事合格することができました。
勉強してよかった点
- ストラテジ系やセキュリティなど、これまで理解が曖昧だった分野を体系的に学び直せたことで、知識に自信が持てるようになった
- 実務でなんとなく使っていた知識を、「なぜその仕組みになっているのか」まで深く理解できた
- 毎日少しずつでも取り組むことで、学習を習慣化する感覚が身につき、今後の自己学習にも良い影響があった
反省点・もっとこうすればよかった
- 午後試験対策の本格的な取りかかりが遅れたため、直前に焦ってしまい、演習量がやや不足してしまった
- ストラテジ分野の用語は最初うろ覚えのまま進めてしまい、演習で苦労した時期があった
- 午後の対策の部分でも書いた通り、選択できる問題を増やしておくべきだった
合格までの一番の学び
応用情報は単なる暗記試験ではなく、実務やIT全体の構造を理解して応用する力を問われる試験だということを強く感じました。
だからこそ、「何のためにその知識があるのか?」を意識しながら学ぶことが、結果的に最短の学習法だったと思います。
これから受ける人へのメッセージ
応用情報技術者試験は決して簡単な試験ではありませんが、しっかり準備すれば着実に合格を目指せる試験です。
実務経験が浅くても、体系的に学ぶことで知識が繋がり、自信につながっていきます。
モチベーションの維持方法
- 応用情報は範囲が広いため、「完璧にしよう」と思うと疲れてしまいます。
なので、「今日はこの1テーマだけやる」「今日は午後1問だけ」といった小さな達成感を積み重ねることを意識していました。また、全範囲を完璧にするのは難しいので苦手を潰す意識でやることをお勧めします。 - SNSで勉強垢を作って学習記録を投稿したり、友人と進捗を共有したりすると、孤独にならずに継続できます。
「これだけはやっといて!」勉強法ベスト3
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過去問を繰り返すことが最重要!
直近5〜10年分をしっかり解いて、出題パターンに慣れるのが最短ルートです。 -
午後の記述対策は「書く練習」が必須!
読んでわかった気になるのではなく、自分の言葉で書いて添削することが合格への鍵です。 -
理解が曖昧な用語は、用語集や参考書に戻って原理から確認する
「なんとなくわかる」では通用しないのが応用情報。図解や例を交えて覚えると定着しやすいです。
おわりに
改めて、応用情報技術者試験に合格できたことをとても嬉しく思っています。
勉強を通して、今までなんとなく使っていた技術の背景や意味をしっかり理解できるようになり、知識がつながる感覚が得られました。
次のステップとしては、実務でのアウトプットを増やしつつ、必要に応じて高度試験(データベースに興味があるのでデータベーススペシャリスト)にもチャレンジしてみたいと考えています。
学ぶことがゴールではなく、「使える知識」として積み重ねていくことが大事だなと改めて実感しました。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
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誰かの学習の参考になれば、とても嬉しいです。
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