【合格体験記】Google Cloud Generative AI Leader 認定資格試験
はじめに
こんにちは!今年社会人2年目を迎える長田です。
近年の生成AIの進化は、社会や企業の在り方、人々の働き方を根本から変えつつあります。このような変革期において、単に技術を理解するだけでなく、ビジネスに活かせるリーダーの需要は高まっています。
私自身、アイディア出しや資料作成、要約などのタスクにおいて生成AIを活用することで作業効率が大きく向上することを実感しております。
この記事では、Google Cloudの「Generative AI Leader 認定資格試験(以後GAILという略称を使用します)」について、その概要から勉強方法、試験当日の体験談までご共有します。
Google Cloud Generative AI Leader 認定資格試験の概要
GAILとは
GAILは2025年5月14日(米国時間)に一般公開された新しい試験です。私が受験した時には英語版のみ提供されていましたが、8/5、8/6に開催されたGoogle Cloud Next Tokyo 2025では、受験言語に日本語が追加されたことが発表されました。
当試験はFoundationalレベルの資格であり、主に生成AIに関する基礎的な知識が問われ、一部Google CloudやGoogle Workspaceの生成AI関連サービス・機能の知識が問われます。また、Google Cloudの認定資格でありながら、非技術系のビジネスパーソンも対象としています。
試験概要
・試験時間 :90分
・言語 :英語、日本語 (2025年8月現在)
・試験の形式:50~60 問の多肢選択式問題
・受験方法 :オンラインまたはテストセンター
・登録料 :99$(税別)
出題範囲
公式試験ガイドから個人的に重要だと感じたポイントを抜粋しております。詳細は以下リンクをご参照ください。
参考:試験ガイド
生成AIの基礎(約30%)
このセクションでは、AI・生成AIに関する一般的な知識が問われます。
- AI、機械学習、生成AI、LLM、基盤モデルの基本的な概念
- データタイプの違い
- 機械学習の学習方法の違い
- 生成AIソリューションのレイヤー
への理解が求められます。
基盤モデルに関しては、Googleが提供する各モデル(Gemini、Imagen、Veo、Gemma、Chirp)も押さえておきましょう。
Google Cloudの生成AIサービス(約35%)
このセクションでは、Google Cloudが提供する主要な生成AI関連サービスについて問われます。
以下の三つは押さえておきましょう。
- Vertex AI
Vertex AIは、機械学習のワークフロー全体を支援するプラットフォームであり、MLOpsのための包括的な機能を提供しています。
また、Vertex AI Searchは近年話題に上がっているRAGを実現します。
- 自動化・最適化のためのサービス
Customer Engagement Suite with Google AIはAIによってカスタマーセンター業務を補助するサービス群です。主要なサービスとして、CCaaS (CCAI Platform)、Conversational Agents、Agent assistの各機能は押さえておきましょう。
Agentspaceは企業のデータを横断的に検索する機能、検索結果をもとにコンテンツを生成する機能、人間の代わりにタスクを行うエージェントを呼び出す機能を備えています。
- 特定タスク向けのAPI、サービス
Google Cloudでは特定のタスクに特化した学習済みのAPIやサービスを提供しています。
Document AIは、PDFや画像からテキストデータや構造化データを抽出するAIサービスです。
Natural Language AIは、テキストデータかの感情分析、エンティティ抽出、構文解析などを行うサービスです。
Speech-to-Text APIは、音声AIの基盤モデルであるChirpを使用して、音声データをテキストデータへと変換します。
これらはGoogle Cloudが提供するサービスの一例に過ぎず、要件に沿った適切なAPI、サービスを選択する必要があります。
AIモデルの出力改善テクニック(約20%)
このセクションでは「基盤モデルには限界があること」を理解する必要があり、適切なアプローチによって出力を改善する方法を問われます。
当記事では、基盤モデルの限界と、アプローチ手法の一つである「プロンプトエンジニアリング」についてご紹介します。
基盤モデルの限界
-
data dependency
モデルの性能が学習データに大きく依存する性質
bias、Fairness、Edge casesといった特徴もこの性質が大きく関わります -
the knowledge cutoff
モデルの知識は学習時点で止まっており、最新の情報に対応できない性質 -
hallucinations(ハルシネーション)
確率的な予測の繰り返しで文章を生成することによる、もっともらしいウソをつくことがある性質
プロンプトエンジニアリング
-
One-shot / Few-shot Prompting
プロンプト内に出力の例を与える手法。 -
Prompt Chaining
複雑なタスクを複数の単純なプロンプトに分割し、前のプロンプトへの出力を次のプロンプトの一部として利用する手法。 -
Chain-of-Thought (CoT)
複雑なタスクを解決する過程をモデルに与えて推論させる手法。 -
Metaprompting
モデルにプロンプトを生成させたり、解釈させることでプロンプト自体を最適化する手法。 -
Role Prompting
モデルに特定の役割を与えることで、出力のトーンやスタイル、推論の方向を制御する手法。
生成AIソリューションのビジネス戦略(約15%)
生成AIを導入する際に考慮することについて問われます。
導入アプローチ
トップダウンとボトムアップの双方向なアプローチが推奨されています。
経営層は明確なビジョンを示し、投資対効果やビジネス上のインパクトを検討します。
現場は具体的なユースケースや課題を特定し、継続的なフィードバックを返す必要があります。
責任あるAI(Responsible AI)
データの品質を担保し、学習データがBiasやFaienessといった影響をモデルに与えることを理解する必要があります。また、AIの出力を鵜吞みにせず、人間が最終的な意思決定をや品質のチェックを行う必要があります(Human-in-the-roop(HITL))。
Secure AI Framework(SAIF)
生成AIソリューションを安全に設計、開発、運用するためのフレームワークです。
参考:Secure AI Framework(SAIF)
学習方法
Google Cloudの認定資格試験では、上記の試験ガイドの他に、study guideや公式サンプル問題が用意されています。
参考:Certification exam study guide
参考:サンプル問題
これらの資料をGoogleが提供するGeminiやNotebookLMに読ませて、用語の解説やオリジナル問題を作成してもらうと効率的に学習できます。
まとめ
Generative AI Leader 認定資格試験は、単なる技術知識ではなく、ビジネス戦略や倫理的側面を問う実践的な内容でした。
技術系の方だけでなく、非技術系のビジネスパーソンの方々もぜひGenerative AI Leader資格の取得を目指してみてください。
Discussion