MySQLのメモリ使用量調査
MAX_TOTAL_MEMORY
は、MySQLのPerformance Schemaにおいて、特定のSQLステートメントが実行される際に使用した最大メモリ量を示す指標です。この指標は、データベースのパフォーマンスを分析し、メモリ使用の最適化を行うために非常に重要です。
MAX_TOTAL_MEMORYの機能と意義
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最大メモリ使用量の特定:
MAX_TOTAL_MEMORY
は、統計が最後にリセットされた後またはデータベースインスタンスが再起動された後に、各クエリダイジェストごとに記録された最大メモリ使用量を示します。これにより、どのクエリが最も多くのメモリを消費しているかを把握することができます[1][3]。 -
パフォーマンスの最適化: この指標を利用することで、メモリを大量に消費するクエリを特定し、最適化の対象を絞り込むことが可能です。特に、メモリ使用量が高いクエリは、パフォーマンスのボトルネックとなることがあるため、注意が必要です[1][3]。
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メモリ不足の予防:
MAX_TOTAL_MEMORY
の値が高い場合、メモリ不足のリスクが高まります。この情報を基に、必要に応じてインスタンスのサイズを変更したり、クエリの見直しを行ったりすることができます[1][3]。
具体的な活用方法
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クエリの分析:
MAX_TOTAL_MEMORY
を用いて、特定のクエリがどれだけのメモリを消費しているかを分析し、最適化の対象を特定します。 -
パフォーマンスのトラブルシューティング: メモリ使用量が異常に高い場合、どのクエリが原因であるかを特定し、適切な対策を講じることができます。
このように、MAX_TOTAL_MEMORY
は、Aurora MySQLやMySQLのパフォーマンス管理において、メモリ使用状況を把握し、最適化を行うための重要な指標です。
SELECT
EVENT_NAME,MAX_TOTAL_MEMORY
FROM performance_schema.events_statements_summary_global_by_event_name
ORDER BY MAX_TOTAL_MEMORY;
メモリ関連パラメータの監視
Aurora MySQLの各パラメータ(max_allowed_packet
、temptable_max_mmap
、temptable_max_ram
、max_heap_table_size
、tmp_table_size
)について、具体的に監視すべき値や指標を、各パラメータの説明とともに以下に示します。
1. max_allowed_packet
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説明:
max_allowed_packet
は、サーバーとクライアント間で送信できる最大パケットサイズを設定します。この値が小さいと、大きなデータ(BLOBや長い文字列など)を扱う際にエラーが発生する可能性があります。 -
監視項目:
- エラーログ: エラーログに「Packet too large」などのエラーが記録されていないか確認します。
- クエリの失敗率: 特に大きなデータを扱うクエリの失敗率を監視し、失敗したクエリの数が増加している場合は設定を見直します。
2. temptable_max_mmap
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説明:
temptable_max_mmap
は、メモリマップドファイルを使用する際の最大サイズを設定します。このパラメータは、一時テーブルがメモリに収まらない場合に、ディスクにスワップされるデータのサイズを制御します。 -
監視項目:
- メモリ使用量: メモリ使用量がこの値に近づいているかどうかを監視します。
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一時テーブルの使用状況:
SHOW STATUS LIKE 'Created_tmp_disk_tables';
を使用して、ディスク上に作成された一時テーブルの数を確認します。
3. temptable_max_ram
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説明:
temptable_max_ram
は、一時テーブルが使用できる最大RAMを設定します。この値を超えると、一時テーブルはディスクにスワップされることになります。 -
監視項目:
-
一時テーブルのメモリ使用量:
SHOW STATUS LIKE 'Created_tmp_tables';
を使用して、メモリ内の一時テーブルの数を確認します。 -
ディスクへのスワップ:
SHOW STATUS LIKE 'Created_tmp_disk_tables';
を使用して、ディスク上に作成された一時テーブルの数を確認します。
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一時テーブルのメモリ使用量:
4. max_heap_table_size
-
説明:
max_heap_table_size
は、ヒープテーブルの最大サイズを設定します。この値を超えると、ヒープテーブルはディスクにスワップされることになります。 -
監視項目:
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ヒープテーブルのサイズ: ヒープテーブルのサイズが
max_heap_table_size
を超えていないかを監視します。SHOW STATUS LIKE 'Created_tmp_tables';
を使用して、作成されたヒープテーブルの数を確認します。 - メモリ使用状況: ヒープテーブルがメモリを大量に消費している場合、全体のメモリ使用量を監視します。
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ヒープテーブルのサイズ: ヒープテーブルのサイズが
5. tmp_table_size
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説明:
tmp_table_size
は、一時テーブルの最大サイズを設定します。この値を超えると、一時テーブルはディスクにスワップされます。 -
監視項目:
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一時テーブルのサイズ: 一時テーブルが
tmp_table_size
の制限を超えていないかを監視します。SHOW STATUS LIKE 'Created_tmp_tables';
を使用して、作成された一時テーブルの数を確認します。 -
ディスクへのスワップ:
SHOW STATUS LIKE 'Created_tmp_disk_tables';
を使用して、ディスク上に作成された一時テーブルの数を確認します。
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一時テーブルのサイズ: 一時テーブルが
AuroraMySQLでのカスタムメトリクス
- Created Tmp Disk Tables [Tables per second]
- ステートメントの実行中にサーバーによって作成されたディスク上の内部テンポラリテーブルの数
- Created Tmp Tables [Tables per second]
- ステートメントの実行中にサーバーによって作成された内部テンポラリテーブルの数
table_io_waits_summary_by_index_usage
は、MySQLのPerformance Schemaにおけるテーブルで、インデックスに関連するI/O待機イベントの統計情報を集約して提供します。このテーブルは、特にデータベースのパフォーマンスを分析し、インデックスの使用状況を把握するために重要です。
主な機能と構成
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I/O待機イベントの集約
table_io_waits_summary_by_index_usage
は、各インデックスに対するI/O待機イベントを集約し、どのインデックスがどれだけのI/O待機を引き起こしているかを示します。これにより、パフォーマンスのボトルネックを特定するのに役立ちます。 -
カラムの説明
このテーブルには、以下のようなカラムが含まれています:- OBJECT_SCHEMA: インデックスが属するスキーマ(データベース)の名前。
- OBJECT_NAME: インデックスが属するテーブルの名前。
- INDEX_NAME: インデックスの名前。
- COUNT_STAR: インデックスに関連するI/O待機イベントの総数。
- SUM_TIMER_WAIT: I/O待機にかかった合計時間。
- MIN_TIMER_WAIT: 最小のI/O待機時間。
- AVG_TIMER_WAIT: 平均I/O待機時間。
- MAX_TIMER_WAIT: 最大I/O待機時間。
使用例
このテーブルをクエリすることで、特定のインデックスがどれだけのI/O待機を引き起こしているかを確認できます。例えば、以下のようなクエリを実行することで、インデックスの使用状況を把握できます。
SELECT OBJECT_SCHEMA, OBJECT_NAME, INDEX_NAME, COUNT_STAR, SUM_TIMER_WAIT, AVG_TIMER_WAIT
FROM performance_schema.table_io_waits_summary_by_index_usage
ORDER BY SUM_TIMER_WAIT DESC;
このクエリは、I/O待機時間が最も長いインデックスを特定するのに役立ちます。
パフォーマンスの最適化
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インデックスの利用状況の分析
table_io_waits_summary_by_index_usage
を使用することで、どのインデックスが頻繁に使用されているか、または逆に使用されていないかを確認できます。これにより、不要なインデックスを削除したり、必要なインデックスを追加したりする判断材料になります。 -
ボトルネックの特定
I/O待機時間が長いインデックスを特定することで、クエリのパフォーマンスを改善するための具体的なアクションを取ることができます。例えば、インデックスの再構築や、クエリの最適化を行うことが考えられます。
結論
table_io_waits_summary_by_index_usage
は、MySQLのPerformance Schemaにおいて、インデックスに関連するI/O待機イベントの詳細な統計を提供する重要なテーブルです。この情報を活用することで、データベースのパフォーマンスを向上させるための適切な対策を講じることができます。