🦫

Data Cloud Calculated Insightsで実現するデータ活用の民主化 その1

2025/01/27に公開

TL;DR

Data CloudのCalculated Insights(計算済みインサイト)は、顧客に関するビジネスデータを集計・分析し、ビジネスに意味のある指標を簡単に作成できる機能です。ノーコードで使えるため専門知識が不要で、マーケティングやカスタマーサポートでの迅速な意思決定を支援します。リアルタイム更新や柔軟な設定機能により、競争力のあるスピーディな施策を実現します。

ビジネスデータを「すぐに使える指標」に変える機能

Data CloudのCalculated Insightsは、企業内に散在するさまざまなデータを取り込み、複雑な集計・分析を可能にします。たとえば、Data Cloud内で統合管理された顧客の購買履歴やウェブサイトの閲覧データ、メール開封率や問い合わせ履歴などを基に、「顧客ロイヤルティスコア」などの形で可視化できます。ビジネスに必要な複雑な指標を自動計算してくれることで、以下のような手間を解消できます:

  • 担当者がスプレッドシートに数値を手打ちして分析を行う作業
  • IT部門に依頼してSQLで集計処理をお願いするやりとり

これにより、意思決定や施策実行がスピーディになるのがCalculated Insightsの大きな魅力です。

ノーコードで高度な分析を実現


https://successjp.salesforce.com/article/NAI-001023
従来、こういった複雑な分析指標を算出するためには、SQLなどのプログラミングスキルを持ったアナリストに依頼し、専用の分析ツールやスクリプトを用意する必要がありました。レポートの作成依頼から実装、実行結果のレビューまでに数日から数週間かかることも珍しくありません。しかし、Calculated Insightsでは、あらかじめ用意されている分析用のコンポーネントを活用しながら、ノーコードで指標をカスタマイズできます。たとえばRFM分析(Recency, Frequency, Monetary)の顧客セグメント化のフレームワークも、ドラッグ&ドロップの操作でスコアリング設定ができるため、専門知識がなくても比較的容易に利用できます。これにより、従来のデータ分析プロセスを大幅に短縮し、ビジネス部門の担当者が自ら指標の作成・検証に主体的に取り組むことが可能です。

リアルタイムに指標が更新されるメリット

Calculated Insightsの大きな特徴の一つが「リアルタイム性」です。マーケティングキャンペーンを走らせている最中、顧客がWebサイトやECサイトでどんな行動を取っているかなど、最新の状況を素早く集計し、指標化することが可能です。従来の分析業務では、データソースが更新されるのは1日1回などのバッチ処理が一般的で、リアルタイム更新は困難なケースがあります。Data CloudはSDKやAPIなどのリソースを提供しており、データを即時処理できるため、時々刻々と変化する消費者の行動を理解しアクションにつなげることが可能です。(たとえば、顧客が特定の商品をN回以上閲覧した場合に、購買意欲を促進するプロモーションを提供する、など)

タイムリーなインサイトが生む新たな価値

こうした分析・集計がもたらす最大の恩恵は、ビジネスの最適化です。

  • マーケティング担当者は、顧客行動を分析することで、顧客ライフサイクル全体を理解し、適切なタイミングでアクションを起こすことができます。

  • ECサイト運営者は、顧客のサイト内での行動(閲覧履歴、購入履歴など)を分析し、顧客のニーズや関心を把握し、顧客にあった商品を推奨できます。

  • カスタマーサポート部門は、統合されたプロファイルに紐づくインサイトから得た情報を活用し、個々の顧客に対応したカスタマーサポートを提供できます。

Calculated Insightsの全体像

タイプ 特徴 ビジュアルエディター(ノーコード) SQL
バッチ 顧客に関連する複数のデータオブジェクトにまたがる複雑なクエリを実行できます。定期的な更新に適しています。
ストリーミング データは、Web SDK や Mobile SDK などのストリーミングデータソースから処理されます。
リアルタイム 顧客行動をトリガーにしてミリ秒単位で指標を生成します -

次回は、バッチ処理を用いたCalculated Insightsのノーコードによる設定方法をご紹介します。

※本記事は、私が所属する会社とは一切関係のない事柄です。

Discussion