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Datadogのホスト課金と「高水位」について解説してみる

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Datadog Advent Calendar 2025 の3日目の記事です。
Datadog JapanでTechnical Support Engineerとしてサポートの中の人をしている たぬき と申します。
担当はインフラ関連の製品が多いです。


さて、Datadogを継続的に利用されている方であれば、一度は使用料について考えたことがあるのではないでしょうか。
特に ホスト監視 は多くのユーザーが利用する基本的な機能であると認識しており、課金に直結するため気になるポイントです。
参考: Pricing/インフラストラクチャー

今回は、Datadogのホスト監視における課金形態とホスト数のカウント方法、そして 「高水位 (High-Water Mark)」 という概念を説明します。

技術的な話というよりは “サービスの仕組みを理解するための知識” に近い内容です。
「そういう考え方なんだな〜」と思って読んでいただければ幸いです。

ホストとは何か?

まず前提として、Datadogにおける ホスト (Host) とは何を指すのでしょうか?
Datadogの課金単位として使われるホストは、以下のいずれかに該当するサーバーです。

  • Datadog Agent がインストールされ、メトリクスを送信しているサーバー
  • AWS / GCP / Azure などのクラウドインテグレーション経由でDatadogにデータを送っているサーバー

ちなみに、もし同じサーバーからAgentとクラウドインテグレーションの両方でデータを取得したとしても、Datadog側で自動的にデータを統合するため、課金は1ホストとしてカウントされます。
※されていない場合はお問い合わせください。

ホスト数はどうカウントされる?

Datadogの課金は 月締め で行われ、ホストについては 1時間ごとにホスト数を計測 しています。
2025/12/4 時点のドキュメントでは、次のように記載されています。

Datadogは、ホストとカスタムメトリクスの数を毎時間測定します。ホストの課金対象数は、その時間の使用量の下位 99% の最大数 (高水位) を用いて月末に計算されます。Datadog は上位 1% を除外することで、使用量の急上昇が課金に与える影響を軽減します。
参考: Billing - Datadog

ここで 高水位(High-Water Mark) の概念がでてきます。
このままだと少しイメージしづらい仕組みなので、解説していきます。

高水位 (High-Water Mark) とは?

監視しているホスト数は、運用状況によって一時的に増える場合があると思います。

  • 障害対応で急遽サーバーを増やした
  • Blue/Green デプロイで新旧環境が並存した
  • バッチ稼働のため一時的に台数が増えた

このような “短時間だけホスト数が上昇した” 状況を、そのまま課金に反映させてしまうと、利用の実態以上に請求額が上がってしまいます。

そのためDatadogは次の考え方を採用しています:
月間のうち「上位1%の時間」を除外し、それ以外の99%の時間の中で最もホスト数が多い時間を課金基準にする
つまり、 「たまたまホスト数が多かった数時間」を課金されないように調整してくれている ということです。

High-Water Markのイメージ
高水位のイメージ

具体例: 12月の場合、何時間が除外される?

では、実際に上位 1% の時間とはどれぐらいの時間を指すのでしょうか。

12月で例えると:
31日 → 24時間 × 31日 = 744 時間
その 1% の時間は 744 × 0.01 = 7.44 時間

12月ならおおよそ7時間分、ホスト数が多い時間をカウントから除外します。
この7時間のカウントの間に発生した一時的なホスト増加は課金に影響しません。

他の月も計算してみると下記となります:

月全体の時間数 上位 1%(除外時間)
28日 672 時間 6.72 時間
30日 720 時間 7.2 時間
31日 744 時間 7.44 時間

ホストの入れ替え・デプロイ・環境移行などで、一時的にホスト数が増えることが事前に分かっている場合、1ヶ月のうち、合計6~7時間以内に収まるように作業するとコスト影響を避けられますが、カウントタイミングは非公開となっているため、ギリギリを攻めるのは避けた方が良いでしょう。

また、あくまでも “上位1%に入るかどうか” は他の時間帯のホスト数にも影響されるため、必ず課金影響ゼロにできるという保証ではありません が、作業計画等の目安として考慮していただければ幸いです。

まとめ

Datadogのホスト課金は、ユーザーにとって不利にならないよう「高水位(下位99%の最大)」を採用した設計になっております。

  • ホスト数は 1時間ごと に計測
  • 月間の 上位1%(約6~7時間) は除外
  • 残り99%の中で 最も多いホスト数 が課金対象

この仕様により、一時的なピークで請求額が跳ね上がらないようになっています。
本記事がお客様のDatadog利用費最適化に少しでも寄与できれば幸いです。

また、もし詳細な日次コストを知りたくなった場合はCloud Cost Managementから、 Datadog Costs のご利用もご検討ください。Datadogのコストのみであれば無料で利用可能です。
参考: Cloud Cost Management/Datadog Costs


久々にまとまった文章を書いたので、ブログ筋がなくなってしまいました。

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