ID解決の一致ルールにおいて注意すべきポイント
はじめに
SalesforceのData Cloudは、複数のデータソースから得られる顧客データを統合し、顧客の360度ビューを実現するための強力なデータ基盤です。その中でも、ID解決はデータ統合の要となる重要な機能です。
ID解決の概要については、HelpサイトやTrailheadなども提供されております。本記事の最後にリンクを載せておりますので、そちらも参考にして頂きつつ、ここでは一致ルールを設定する際の注意すべきポイントについて解説します。
本題
ID解決の設定画面では、予めプリセットされた一致ルールを使用する事も可能ですが、ご自身によりカスタムルールを作成する事が可能です。
この画面では、同一人物のプロファイルレコードが複数取り込まれている場合、どのデータモデルオブジェクトの、どの項目(カラム)にマッピングされている値が一致していれば、同一人物のレコードとみなして統合するのか、設定します。
例えば、Individual DMOのFirst Name(名)とLast Name(姓)、Birth Date(誕生日)を条件に選択し、設定を試みます。
しかしながら、次へボタンを押下しても、「より多くの一致条件が必要です」というエラーメッセージが出て、先へ進めません。
これは、姓名と誕生日が一致するだけでは、統合条件として十分ではないと定められているためです。そこで、例えば、Contact Point Email DMOのEmail Addressを条件に追加するとします。
すると、エラーメッセージは発生せず、問題無く設定する事が出来ました。これは、メールアドレスの値が一致すれば、統合条件として十分であると定められているためです。
また、電話番号の一致を統合条件としたいケースもあるかと思います。そこで、Contact Point Phone DMOのTelephone Numberを条件に選択し、設定を試みましたが、同様のエラーメッセージが発生してしまいます。
そこで、同オブジェクトの Formatted E164 Phone Numberを条件に選択し、設定を試みるとエラーメッセージは発生せず、問題無く設定する事が出来ました。これは、電話番号の値が一致すれば、統合条件として十分であると定められている一方、Formatted E164 Phone Numberという項目にマッピングされていないと、統合条件として使用出来ないためです。
この辺りの情報が明確にまとめられている公式ページが無いため(少なくとも私は見つけられなかったのですが、もしどこかで見かけたことがある方いらっしゃったら、ご容赦下さい)、初めて設定をされる方は戸惑われるのではないかと思います。ID解決では、プライマリデータモデルオブジェクトとしてIndividualもしくはAccountを選択することが出来ますので、それぞれのパターンにおいて、以下に記します。
プライマリデータモデルオブジェクトがIndividualの場合
補足として、統合条件に使用するデータモデルオブジェクトとしては、Contact Point Appも選択可能ですが、当該オブジェクトの項目だけでは、統合条件としては不十分とみなされてしまいましたので、必要であれば、その他のオブジェクトの項目と組み合わせて、お使い頂く形となります。
プライマリデータモデルオブジェクトがAccountの場合
こちらも補足として、統合条件に使用するデータモデルオブジェクトとしては、Contact Point Address も選択可能ですが、当該オブジェクトの項目だけでは、統合条件としては不十分とみなされてしまいましたので、必要であれば、その他のオブジェクトの項目と組み合わせて、お使い頂く形となります。
適切な一致ルールの設定は、正しく顧客データを統合し、顧客体験の向上に繋げる上で欠かせない要素です。ぜひ、本記事も参考にData CloudにおけるID解決の活用をご検討下さい。
※本記事の内容については、2025年6月時点でのものとなり、また私が所属する会社とは一切関係のない事柄です。
その他参考サイト
Helpサイト: ソースプロファイルの統合
Trailhead: ID解決ルールセットを使用する
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