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DWHデータをData Cloudを通してSalesforceで有効活用!通話/問い合わせ解決時間を35%短縮した仕組みの裏側

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DWHを既に導入してるけどData Cloudは必要?世界最大のホテルフランチャイザーWyndhamが直面していた課題とそれを解決したData Cloudのデータ統合技術

米国に本社を構え、世界中の大都市から小さな町まで約9200棟以上のホテルを幅広く展開しているWyndham。本記事では、DWHを既に導入していたWyndhamが、Data Cloudを活用して予約速度を向上、従業員1人あたりの収益も増加させた事例とその仕組みについて紹介します。

Wyndhamの課題

Wyndhamは従来より、「分断されたゲストデータにより、従業員が予約をパーソナライズできていない」という課題を感じていました。競争の激しいホスピタリティ業界では、パーソナライズされたゲスト体験がロイヤルティを築くか、顧客を失うかの分かれ目になります。
確かに、「1階の部屋を好む」「早朝のモーニングコールが必要」――ホテル側がこういった要望を事前に把握してくれていると嬉しいですよね。

しかし、こうした体験を提供するには、Wyndhamは各ホテルと本社のコールセンター間に分散していたデータを統合し、顧客の全体像を把握する必要がありました。WyndhamはAmazon RedshiftやSabre(予約)、Tally(ロイヤルティ)、Sales Cloud、Marketing Cloud、Service Cloud(CRM)といった複数のデータソースを既存でもっており、それらにまたがるゲスト記録データは1億6,500万件以上(重複含む)あったとのことです。
毎年4億件の予約を対象に、これらのシステムを手作業で検索するのは、平均対応時間(AHT)を増加させ、顧客満足度や直販率に影響を及ぼしていました。

Wyndhamは、このような課題に対し、Data Cloudによって予約、ロイヤルティ、CRMデータを連携し、サービスチームにゲストプロフィールの統一ビューを提供したことで、対応時間の短縮、エージェント1人あたりの収益向上、顧客満足度の改善を実現しました。

DWHが既にある中でData Cloudが発揮する価値

通常、Salesforce CRMに外部のデータ(DWHデータ、基幹データ、WEB上の行動履歴データ、etc)を取り込む際はETL・APIの開発が必要です。これは、取り込みたいデータが増える、MA等へのデータ出力が増える度に開発が必要となり、データ管理工数が逼迫する原因の一つともなり得ます。CX(顧客体験価値)は企業のビジネスの成功に不可欠であり、顧客データはCXに直結する中、日々増加する顧客データを取り扱うWyndhamにとって、散在した複数のデータソースからのデータをCRMですぐに活用できる形に統合し、集めたデータを実際にアクションに繋げる必要がありました。
Data Cloudは、非常に多くのデータソースに対して標準コネクタを用意しているため、企業が持つ様々なデータを取り込み、顧客軸でデータを統合、Salesforce CRMにネイティブに連携することが可能です。中でも、Snowflake, Databricks, BigQuery, Redshiftとはゼロコピー対応しているため、データの二重持ちを避けて既に投資いただいているDWH内のデータをSalesforce CRM上で有効活用することが可能です。

Data Cloudゼロコピー機能について

過去記事:Data CloudにSnowflakeからデータをゼロコピーで取り込んでみた

Data CloudがWyndhamを支援した方法

現在、WyndhamはData Cloudを活用して、個々のホテルとコールセンターの間を橋渡しし、予約、ロイヤルティ、CRMデータを統合して、シームレスで一貫した顧客体験を構築しています。
従業員はゲストの滞在履歴やロイヤルティステータスに基づいて、たとえば「バリアフリールームの希望」や「ロイヤルティ昇格間近の祝福」といった情報を活用し、予約体験をパーソナライズすることができ、オーナーの収益が増加しています。
また、Tally(Wyndhamのロイヤルティプラットフォーム)などとの統合により、Salesforceから直接、Wyndham Rewardsへの登録も可能となっています。

Salesforce AIでさらなるパーソナライズ

従業員は、Einstein Service AIによるチャット返信提案を活用して、ゲストへの対応をさらにパーソナライズ。
「予約変更をお手伝いしましょうか?」といったAI生成の返信により、会話とアカウントデータを自動分析して応答時間を短縮。エージェントはそのまま編集・送信でき、平均対応時間(AHT)を約90秒短縮できました。
エージェントは、Einstein Service AIによるチャット返信提案を活用して、ゲストへの対応をさらにパーソナライズ。
「予約変更をお手伝いしましょうか?」といったAI生成の返信により、会話とアカウントデータを自動分析して応答時間を短縮。エージェントはそのまま編集・送信でき、平均対応時間(AHT)を約90秒短縮できます。
これにより、予約完了までの時間が短縮され、顧客満足度とエージェント1人あたりの収益が向上。

「私たちの従業員は、ゲスト対応に必要な情報を一元的に確認できるようになり、効率的で正確、しかもよりパーソナライズされた対応が可能になりました。これは、私たちの3つの顧客――チームメンバー、ゲスト、フランチャイズオーナー――全員にとってメリットとなります」
— スコット・ストリックランド氏(Chief Commercial Officer, Wyndham)

Data Cloudは、Marketing CloudやService Cloud、その他の外部アプリケーションへの既存投資を統合・強化。
Data CloudとAIを同一プラットフォーム上で活用することで、複雑なデータ統合や整備を行わずに、データに基づいた即時アクションが可能になりました。

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