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AWSのコスト試算方法についてまとめておく

2025/02/05に公開

自分がよく使うAWSサービスの試算方法について、自分用にまとめておく。

以下は1ヶ月(24時間×30日=720時間)利用時想定の試算例を載せていて、数値はあくまで概算サンプル。実際の利用状況やリージョン、料金体系の変更に応じて変動する。

正確な試算には必ず最新の公式料金ページおよび AWS Pricing Calculator を利用すること。


AWS サービス別コスト試算方法とサンプル

1. CloudFront

  • 主なコスト要素

    • データ転送量(エッジロケーションからインターネットへのアウトバウンド)
      • 試算する際の1リクエストあたりの平均データ転送量は、総転送バイト数とリクエスト数という2つのデータから算出できる
    • リクエスト数(HTTP/HTTPS リクエスト)
  • 試算方法

    1. 対象リージョンごとの料金(例:米国、欧州、アジア)を確認
    2. 月間のデータ転送量とリクエスト数を見積もる
    3. AWS Pricing Calculator の CloudFront セクションにパラメータを入力
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • 月間データ転送量: 500GB
      • HTTP リクエスト数: 10,000,000 リクエスト
    • 料金例(※概算):
      • データ転送: 仮に $0.085/GB とすると
        • 500GB × $0.085 = $42.50
      • リクエスト: 仮に 10,000 リクエストあたり $0.0075 とすると
        • (10,000,000 / 10,000) × $0.0075 = $7.50
      • 合計: $42.50 + $7.50 = 約$50.00/月
  • 公式リソース


2. S3

  • 主なコスト要素

    • 保存データ量(GB/月、ストレージクラス毎)
    • リクエスト料金(PUT、GET、LIST など)
    • データ転送料金
  • 試算方法

    1. 保存する総データ容量とストレージクラスの割合を見積もる
    2. 各種 API リクエスト件数を予測
    3. アウトバウンドデータ転送量を算出
    4. AWS Pricing Calculator の S3 セクションにパラメータを入力
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • 保存データ量: 1TB (=1,000GB)【S3 Standard】
      • PUT リクエスト: 1,000,000 件
      • GET リクエスト: 10,000,000 件
      • データ転送(アウト): 200GB
    • 料金例(※概算・米国リージョンの場合):
      • ストレージ: 1,000GB × $0.023/GB = $23.00
      • PUT リクエスト: 仮に $0.005/1,000 リクエスト
        • 1,000,000/1,000 × $0.005 = $5.00
      • GET リクエスト: 仮に $0.0004/1,000 リクエスト
        • 10,000,000/1,000 × $0.0004 = $4.00
      • データ転送: 200GB × $0.09/GB = $18.00
      • 合計: $23.00 + $5.00 + $4.00 + $18.00 = 約$50.00/月
  • 公式リソース


3. EKS (Elastic Kubernetes Service)

  • 主なコスト要素

    • クラスター管理料金(例: $0.10/時間/クラスター)
    • ワーカーノードの料金(EC2 または Fargate)
    • 付随するストレージ料金(EBS 等)
  • 試算方法

    1. 稼働する EKS クラスター数と月間稼働時間を確認
    2. 使用するワーカーノードの種類、台数、利用時間を見積もる
    3. 付随するストレージ容量を算出
    4. AWS Pricing Calculator の EKS セクションに入力
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • クラスター: 1クラスターを常時稼働(720時間)
      • ワーカーノード: EC2 インスタンス 1台 (例: t3.medium, 約$0.0416/時間)
      • EBS ストレージ: 30GB (例: $0.10/GB)
    • 料金例:
      • クラスター管理料金: 720時間 × $0.10 = $72.00
      • ワーカーノード: 720時間 × $0.0416 ≈ $30.00
      • ストレージ: 30GB × $0.10 = $3.00
      • 合計: $72.00 + $30.00 + $3.00 = 約$105.00/月
  • 公式リソース


4. ALB (Application Load Balancer)

  • 主なコスト要素

    • 稼働時間料金
    • LCU(Load Balancer Capacity Unit)料金(リクエスト数、同時接続、データ転送量等)
  • 試算方法

    1. 月間の ALB 稼働時間(例: 720時間)を算出
    2. 予想される LCU 使用量を見積もる
    3. AWS Pricing Calculator の ALB セクションに入力
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • ALB 稼働: 720時間
      • LCU 使用: 1時間あたり 2 LCU 使用
    • 料金例(※概算):
      • 稼働料金: 720時間 × 仮に $0.0225/時間 = $16.20
      • LCU 料金: 2 LCU × 720時間 × 仮に $0.008/LCU-時間 = 2 × 720 × $0.008 = $11.52
      • 合計: $16.20 + $11.52 = 約$27.72/月
  • 公式リソース


5-1. RDS Aurora

  • 主なコスト要素

    • インスタンス料金(DB インスタンスの時間単位料金)
    • ストレージ料金(GB/月)
    • I/O リクエスト料金
    • バックアップ/スナップショット料金
  • 試算方法

    1. 使用する Aurora インスタンスの種類、台数、月間稼働時間を確認
    2. ストレージ容量と I/O 数を見積もる
    3. AWS Pricing Calculator の RDS セクションから Aurora を選択して入力
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • インスタンス: 1台(例: db.r5.large、約$0.29/時間)を720時間利用
      • ストレージ: 100GB (例: $0.10/GB)
      • I/O リクエスト: 1,000,000 リクエスト (例: $0.10/1M I/O)
    • 料金例:
      • インスタンス: 720 × $0.29 = $208.80
      • ストレージ: 100GB × $0.10 = $10.00
      • I/O リクエスト: 1,000,000/1,000,000 × $0.10 = $0.10
      • 合計: $208.80 + $10.00 + $0.10 = 約$219/月
  • 公式リソース

以下は、Aurora Serverless v2 のコスト試算方法とサンプル試算例を、これまでと同様のフォーマットでまとめたものです。なお、下記の数値は概算サンプルですので、実際の利用状況やリージョン、料金改定により変動する点にご留意ください。


5-2. Aurora Serverless v2

  • 主なコスト要素

    • コンピューティング料金(ACU):
      • Aurora Serverless v2 では、固定のインスタンス料金ではなく、実際の利用状況に応じた「Aurora Capacity Unit (ACU)」単位で課金されます。
      • 利用状況に応じて自動でスケールし、秒単位(最低5分単位での請求)で料金が発生します。
    • ストレージ料金:
      • 保存するデータ容量に対して、GBあたりの月額料金が発生します。
    • I/O 料金:
      • データベースの I/O 操作に対して従量課金が行われます。
    • バックアップ料金(必要な場合):
      • 自動バックアップやスナップショットに対する料金が別途発生することがあります。
  • 試算方法

    1. ACU 使用量の見積もり
      • 過去のパフォーマンスデータや CloudWatch のメトリクスなどから、ある期間(例:1か月)での平均 ACU 使用量を見積もります。
      • 例として、平均 0.5 ACU と仮定します。
    2. 利用時間の算出
      • 1か月の総秒数を計算します。
        例: 24時間 × 30日 = 720時間
        720時間 × 3,600秒 = 2,592,000秒
    3. 月間 ACU秒の計算
      • 月間の ACU秒は、平均ACU使用量と月間の総秒数を掛け合わせて求めます。
        例: 0.5 ACU × 2,592,000秒 = 1,296,000 ACU秒
    4. コンピュート料金の算出
      • 1 ACU秒あたりの単価(例: $0.00001667/ACU秒 ※実際の料金は公式料金ページで確認)を掛け合わせます。
        例: 1,296,000 ACU秒 × $0.00001667 = 約 $21.60
    5. その他料金の加算
      • コンピュート料金に加えて、ストレージ料金、I/O 料金、バックアップ料金など、利用に応じた追加料金も発生します。
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • 平均 ACU 使用量: 0.5 ACU
      • 月間稼働時間: 720時間(=2,592,000秒)
      • 仮の ACU 単価: $0.00001667 / ACU秒
      • ※ここではコンピュート部分のみの試算例として計算します。
    • 計算手順:
      1. 月間ACU秒 = 0.5 ACU × 2,592,000秒 = 1,296,000 ACU秒
      2. コンピュート料金 = 1,296,000 ACU秒 × $0.00001667/ACU秒 ≈ $21.60
    • 合計(コンピュート部分のみ):
      • 約 $21.60/月
      • ※実際の請求額は、上記のコンピュート料金に加え、ストレージや I/O の利用状況に応じた追加料金が発生します。
  • 公式リソース


6. ElastiCache

  • 主なコスト要素

    • キャッシュノード料金(エンジン(Redis/Memcached)別のインスタンス料金)
    • 稼働時間
    • データ転送料金(クロスAZ/リージョン間の場合)
  • 試算方法

    1. 利用するキャッシュエンジン、ノードタイプ、台数、月間稼働時間を見積もる
    2. AWS Pricing Calculator の ElastiCache セクションに入力
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • キャッシュエンジン: Redis
      • ノード: cache.t3.medium を1台、720時間利用
    • 料金例:
      • 720時間 × 仮に $0.041/時間 ≈ $29.52/月
      • (追加のレプリケーションやマルチAZ構成がない単一構成の場合)
      • 合計: 約$30/月
  • 公式リソース


7. OpenSearch

  • 主なコスト要素

    • インスタンス料金(データノード、マスターノード、(必要に応じて)UltraWarm ノード)
    • ストレージ料金(EBS ボリュームなど)
    • データ転送料金
  • 試算方法

    1. クラスター構成(データノード、マスターノード等)を決定
    2. 各ノードの稼働時間と必要なストレージ容量を見積もる
    3. AWS Pricing Calculator の OpenSearch セクションに入力
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • クラスター構成:
        • データノード: 3台(各 $0.20/時間、720時間利用)
        • マスターノード: 1台($0.10/時間、720時間利用)
        • 各ノードに EBS ストレージ: 100GB(例: $0.10/GB)
    • 料金例:
      • データノード: 3台 × 720時間 × $0.20 = 3 × $144 = $432.00
      • マスターノード: 720時間 × $0.10 = $72.00
      • ストレージ: 4台 × 100GB × $0.10 = 400GB × $0.10 = $40.00
      • 合計: $432.00 + $72.00 + $40.00 = 約$544.00/月
  • 公式リソース


8. DynamoDB

  • 主なコスト要素

    • キャパシティ料金
      • プロビジョニングモードの場合: 読み込み・書き込みキャパシティユニット
      • オンデマンドモードの場合: 実際のリクエスト数
    • 保存データ料金(GB/月)
    • オプション機能(バックアップ、DAX、グローバルテーブルなど)
    • データ転送料金
  • 試算方法

    1. ワークロードに応じ、キャパシティユニットまたはオンデマンドのリクエスト数を見積もる
    2. 保存データ量を確認
    3. AWS Pricing Calculator の DynamoDB セクションに入力
  • サンプル試算(オンデマンドモード)

    • 前提条件:
      • 書き込みリクエスト: 1,000,000 件/月
      • 読み込みリクエスト: 10,000,000 件/月
      • 保存データ量: 10GB
    • 料金例(※概算、1M リクエストあたりの単価例として):
      • 書き込み: 1M × $1.25/1M = $1.25
      • 読み込み: 10M × $0.25/1M = $2.50
      • ストレージ: 10GB × $0.25/GB = $2.50
      • 合計: $1.25 + $2.50 + $2.50 = 約$6.25/月
  • 公式リソース


9. Route53

  • 主なコスト要素

    • ホストゾーン料金(ドメイン毎の月額料金)
    • DNS クエリ料金(クエリ数に応じた従量課金)
    • ヘルスチェック料金(オプション)
    • ドメイン登録料金(必要な場合)
  • 試算方法

    1. 管理するホストゾーン数と月間クエリ数を見積もる
    2. ヘルスチェックの数を算出
    3. AWS Pricing Calculator の Route53 セクションに入力
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • ホストゾーン: 5件
      • DNS クエリ: 10,000,000 クエリ/月
      • ヘルスチェック: 2件
    • 料金例(※概算):
      • ホストゾーン: 5 × $0.50 = $2.50
      • クエリ: 10M ÷ 1M × $0.40 = $4.00
      • ヘルスチェック: 2 × $0.75 = $1.50
      • 合計: $2.50 + $4.00 + $1.50 = 約$8.00/月
  • 公式リソース


10. ACM (AWS Certificate Manager)

  • 主なコスト要素

    • 公開証明書: AWS 統合サービスで使用する場合は無料
    • ACM Private Certificate Authority (PCA): プライベート証明書の場合、CA の管理料金が発生
  • 試算方法

    1. 利用する証明書が公開証明書(無料)か、プライベート証明書かを確認
    2. プライベート証明書の場合は、発行数や PCA の運用時間を見積もる
    3. AWS Pricing Calculator の ACM/ACM PCA セクションに入力
  • サンプル試算

    • 公開証明書利用の場合: $0/月
    • プライベート証明書利用の場合(例):
      • 仮に PCA の月額料金が $400、プライベート証明書 5 件を発行(各 $0.75/件)
      • 証明書発行料金: 5 × $0.75 = $3.75
      • 合計: $400 + $3.75 = 約$403.75/月
  • 公式リソース


11. NAT Gateway

  • 主なコスト要素

    • 稼働時間料金
    • データ処理料金(GB/月)
  • 試算方法

    1. NAT Gateway の月間稼働時間(例: 720時間)を算出
    2. 経由するデータ転送量を予測
    3. AWS Pricing Calculator の NAT Gateway セクションに入力
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • 稼働時間: 720時間
      • データ処理量: 200GB
    • 料金例(※概算):
      • 稼働料金: 720時間 × 仮に $0.045/時間 = $32.40
      • データ処理料金: 200GB × $0.045/GB = $9.00
      • 合計: $32.40 + $9.00 = 約$41.40/月
  • 公式リソース


12. Lambda

  • 主なコスト要素

    • リクエスト料金(1M リクエスト毎の料金、最初の 1M リクエストは無料)
    • 実行時間料金(割り当てメモリ量と実行時間に基づく GB-秒単位の課金)
  • 試算方法

    1. 月間の関数実行回数を見積もる
    2. 平均実行時間とメモリ割り当てを確認し GB-秒に換算
    3. 無料枠を考慮して AWS Pricing Calculator の Lambda セクションに入力
  • サンプル試算

    • 前提条件:
      • リクエスト数: 10,000,000 件/月(うち1,000,000件は無料 → 課金対象は 9,000,000 件)
      • 平均実行時間: 200ms
      • メモリ割り当て: 512MB(0.5GB)
    • 計算:
      • 1回あたりの GB-秒: 0.5GB × 0.2秒 = 0.1 GB-秒
      • 合計 GB-秒: 9,000,000 × 0.1 = 900,000 GB-秒
    • 料金例(※概算、仮に $0.00001667/GB-秒 とすると):
      • 実行時間料金: 900,000 × $0.00001667 ≈ $15.00
      • リクエスト料金: 9M リクエスト ÷ 1M × $0.20 = $1.80
      • 合計: $15.00 + $1.80 = 約$16.80/月
  • 公式リソース

以下は、先述の各サービスと同様の方針で、AWS Glue のコスト試算方法とサンプル試算例をまとめたものです。なお、以下の数値は概算サンプルですので、実際の利用状況、リージョンや料金改定により変動する点にご留意ください。


13. AWS Glue

  • 主なコスト要素

    • ETL ジョブ料金
      • ETL ジョブは、実行に使用する Data Processing Unit(DPU)の時間単位で課金されます。
      • 例: 標準ジョブの場合、約 $0.44/ DPU-時間(料金はリージョンにより異なります)
    • Crawler 料金
      • データソースをスキャンしてメタデータを抽出するクローラーの実行時間に基づいて課金されます。
    • Data Catalog 料金
      • データカタログの登録オブジェクト数や API リクエストに応じた料金(一定の無料枠あり)。
  • 試算方法

    1. ETL ジョブ
      • 実行するジョブの DPU 数と、月間の実行時間を見積もる
    2. Crawler
      • クローラーの1回あたりの実行時間と、月間の実行回数を見積もる
    3. Data Catalog
      • 登録するデータオブジェクト数や利用する API コール数が無料枠内かどうかを確認
    4. AWS Pricing Calculator の Glue セクションに上記パラメータを入力して試算
  • サンプル試算(利用を 24 時間 × 30 日=720 時間/月と想定)

    • 前提条件:

      • Glue ETL ジョブ:
        • 利用する DPU 数: 1 DPU
        • 実行時間: 720 時間/月(常時稼働と仮定)
      • Glue Crawler:
        • 1 回のクローラー実行時間: 10 分
        • 実行回数: 1 日あたり 10 回 → 30 日で 300 回
        • 総実行時間: 300 回 × 10 分 = 3000 分(= 50 時間)
      • Glue Data Catalog:
        • 登録オブジェクト数は無料枠内と仮定(追加料金なし)
    • 料金例(※概算):

      • ETL ジョブ料金:
        • 720 時間 × $0.44/時間 = $316.80
      • Crawler 料金:
        • 50 時間 × $0.44/時間 = $22.00
      • Data Catalog 料金:
        • 無料枠内と仮定 → $0
      • 合計: $316.80 + $22.00 = 約 $338.80/月
  • 公式リソース

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