大学で数学ゼロだった僕が、アクチュアリー数学に合格した話
自己紹介
- 高校:理系選択、数学はそこそこ得意だった。
- 大学:数学とは無縁の日々(行列、統計、微積の応用すらほぼナシ)で部活三昧。
- 社会人:未経験スタートでデータサイエンティストとして働いている。業務を重ねるにつれて数学の再学習の必要性を感じることが増えた。
アクチュアリー数学とは
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日本アクチュアリー会の一次試験の1科目
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主な出題範囲:確率、統計、金融工学など
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日程:2024/12/11(←私の誕生日でした(´;ω;`))
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難易度:統計検定1級よりも難しいとされる。「大学数学+実務の応用力」が問われる
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試験時間:3時間/記述式ではなくマークシートだが、途中計算の量が尋常じゃない。
→私は解いてる時、気持ち悪くなりました(笑)
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合格率:約10〜20%程度(年によって上下)
アクチュアリー数学を受けようとした理由
日々の業務でデータ分析をしている中で、「この分析は本当に正しいのか?」「このモデルの解釈は本当に妥当なのか?」といった数学的なロジックが気になるようになりました。
そこで、もっと深く数学を学び直すには、あえて最も難しい試験にチャレンジしてみようと思い、アクチュアリー数学の受験を決意しました。
また、個人的に保険・年金・投資といった「金融」の分野にも興味があり、「リスクってどうやって数式で捉えるんだろう?」「割引現在価値って、実際にはどんな数式で計算されているんだろう?」といった素朴な疑問にも、きちんと向き合いたいと感じていました。
こうした「なんとなく知っているけど、ちゃんとは説明できないこと」に対して、数理の観点からしっかり理解を深めたい。
それが、アクチュアリー数学に挑戦しようと思った一番の理由です。
使用教材
- メイン教材
- 日本アクチュアリー会の過去問(15年分ほど)
- 現代数理統計学(辞書感覚で使用)
- 明快演習数理統計
- 副教材
- 線形代数の基礎本
- YouTube等
- 統計検定1級過去問
勉強スケジュールと進め方
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勉強開始:9月(試験まで約3ヶ月)
本格的に対策を始めたのは9月。短期集中型で取り組むことにしました。
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学習時間の目安
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平日:1〜2時間
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土日:3〜5時間
→ トータルで約300時間程度の学習時間を確保しました。
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9月:基礎固め期
- 『明快演習 数理統計』をメインに進め、基礎的な統計の問題に取り組む。
- わからないところは、参考書や副教材を使ってその都度キャッチアップ。
10月:応用トレーニング期
- 統計検定1級の過去問・模擬問題を演習。
- アクチュアリー数学と範囲がほとんど重なるため、「ついでに統計検定も受けちゃおうかな」という軽いノリで併願。
11月〜本番直前:過去問反復期
- アクチュアリー数学の過去問をひたすら解きまくる期間。
- 間違えた問題はすぐに捨てず、一定期間あけて再挑戦。
- 「解けるまで繰り返す」スタイルを徹底(ただし、明らかな捨て問は除く)。
勉強方法
苦手な分野はまとめて、コメント(使用するテクニック、考え方、難易度、ひっかりやすいポイントなど)をつけて繰り返し解くという方法で学習を進めました。
具体例①:
このような問題があった場合、
具体例②:
このようにして分野ごとにまとめました。私は検定、時系列、シミュレーションが苦手かつ特殊な技術が必要なので、重点的にまとめました。
実況
- 序盤:思ったより易しい問題が続き、安心する
- 中盤:ある計算問題で20分詰まって焦る → 結局最後まで答えは出ず…捨てるべきだった
- 終盤:ギリギリで最後まで走りきるが、めちゃくちゃな解き方でゴリ押し
まとめ
正直に言うと、データサイエンティストとしてこの試験を受けることは、あまりオススメできません。特に社会人にとって、仕事と並行して勉強するのは想像以上に大変でした(少なくとも、もっと早くから取りかかるべきだったと後悔しています…)。
私はアクチュアリー数学に加えてKKTも受けたため、試験直前は1日3〜4時間しか寝られない日もありました。
それでも、得られたものは非常に大きかったです。まず何より、圧倒的な数学力と、それに伴う自信を手に入れることができました。実際、片手間で受けた統計検定1級が驚くほど簡単に感じられたほどです。
アクチュアリー試験は、単なる数学力だけでは突破できません。時間配分、メンタル管理、そして「解けない問題を見極めて捨てる勇気」も求められます。
過酷ではありますが、それだけに得られるものも大きい試験です。
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