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ボイスメモ × AI で登壇アウトラインを効率化した話

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はじめに

こんにちは!QA エンジニアの @Daishu です。
本記事では、ボイスメモ × AI で登壇アウトラインを効率化した Tips を紹介します。

きっかけ

登壇用のスライドを作成するまでの流れって、色々あると思います。私は実際に発声して独り言を呟きながら、アウトラインを組み立てるのが好きです。例えば、お風呂とか運転中に一人ラジオ感覚で喋りながら「お、いいじゃん」となった話や表現があれば、後でメモしています。

抱えていた課題

ただ、この方法には課題がありました。

一人で盛り上がったはずのメモも、後で見返すと「あれ?」となることがあります。断片的なメモは話の前後関係や流れを再現できませんし、その場の勢いで出てきた表現やアイデアを書きこぼしているのだと思います。

解決策:ボイスメモ × AI

結論からお伝えすると、独り言をそのまま録音して、AI に整理してもらうことで効率化しました。

ボイスメモ x AI による登壇アウトライン作成フロー
ボイスメモ x AI による登壇アウトライン作成フロー

手順

1. 独り言を録音する

構成や流れは気にせず、ブレスト的に思いついたまま話します。「えー」「あのー」といったワードや、言い回しなど細かい部分は気にしなくて OK です。

実際の録音イメージ
「えーっとですね、ちょっとすごい細かいんですけど、まあまずは、
そのテスト実行がスラックボットでお願いできるようになるっていうところ。
なかなか、そのテスト、あのマジックポットのUIに入って、
実行してくださいっていうのは、慣れてると簡単なんですけど...
あ、そういえばこれも言いたい、まあ一番の目玉機能が、その失敗の分析ですね。
まあ先ほど申し上げたように、そのフェイルしたテストに対する分析を行える...」

https://apps.apple.com/jp/app/id1069512134

その他のツール例:Google Recorder、Otter.ai、Whisper

2. 録音から文字起こしを取得する

文字起こしを見ると誤字脱字だらけで「これ使えるの?」と思われるかもしれませんが、問題ありません。例えば「マジックごっと」のような誤字も、AI が文脈から適切に補正して「MagicPod」に読み替えてくれます。

ボイスメモから文字起こしを取得する

  1. ボイスメモの録音を開く
  2. 右上の文字起こしの吹き出しのボタンをクリック
  3. テキストをコピー

ボイスメモ文字起こしボタン
吹き出しをクリックすると開きます

3. AI に文字起こしテキストを渡す

コピーした文字起こしのテキストをお好きな AI (ChatGPT、Claude、Gemini等) に貼り付けて、プロンプトと一緒に投げます。AI は以下のような処理をしてくれます:

アウトライン作成における処理
- 文字起こしの誤字脱字を補正
- フィラーワード(「えー」「あのー」など)を除去
- 話の要点を抽出し、論理的な順序に並び替え
- 重複を整理し、抜けている観点を指摘
- プレゼンの構成として再構築

人間では読みづらい文字起こしの生データを解釈して、コンテンツの重複を整理しながら、論理的なアウトラインを生成します。

プロンプト例

以下は私が実際に使用したプロンプトの例です。用途に応じてカスタマイズしてください:

文字起こしからアウトラインを作成するプロンプト例
以下の文字起こしテキストから、プレゼンテーション用のアウトラインを作成してください。

【文字起こしテキスト】
[ここに貼り付け]

【作成してほしい内容】
1. 要約(3行)
2. プレゼンアウトライン(時間配分付き)
   - 導入(フック、自己紹介、アジェンダ)
   - 背景・課題
   - メインコンテンツ(3つのポイント)
   - まとめ・アクション
3. スライド構成案(枚数と内容)
4. 改善提案(論理の流れ、追加すべき点、削るべき点)
5. 話し方のポイント(強調箇所、間の取り方)

※デフォルトは15-20分想定。「LT用」「5分で」と指定すれば調整します

実践例

ここまで紹介した方法は、直近イベントで登壇させて頂いた MagicPod ミートアップの登壇資料作成でも利用しました。
https://trident-qa.connpass.com/event/362140/

初回のボイスメモの文字起こし

人間だとぱっと見では理解しにくい文字起こしの生データも AI が補正して解釈します:
ボイスメモの文字起こし画面のスクリーンショット
ボイスメモの文字起こし生データ

出力されたアウトライン

解釈した文字起こしの内容をプロンプトに沿ってアウトラインにしてくれます:

## 要約(3行)
- E2Eテスト失敗時のチェック作業を効率化するSlackボット「MagicPodアシスタント」を開発
- AIを活用してエラー分析・再実行・不具合登録まで一貫してSlackスレッド内で完結
- 従来は手動で1時間以上かかっていたフェイルチェック作業を短縮

## プレゼンアウトライン(15-20分)
### 導入(2-3分)
- フック:「毎日のE2Eテストで10件失敗したら、それは本当に10件の不具合でしょうか?」
- 自己紹介:QAエンジニア、AI×QAをテーマに活動
- アジェンダ:課題→解決策→デモ→今後の展望

### 背景・課題(3-4分)
- 3時間かかるE2Eテストを毎日実行
- 10件失敗≠10件の不具合(フレイキーテスト問題)
- Slackスレッドが散在、ナレッジが蓄積されない

### メインコンテンツ(8-10分)
1. ワンストップ分析フロー(Slack通知から即分析)
2. インテリジェントな再実行(失敗ケースのみ自動リトライ)
3. AIによる根本原因分析(PRと突合して原因特定)

## 改善提案
- 「フレイキーテスト」を冒頭で説明(初心者への配慮)
- 具体的数値(3時間)をスライドで視覚化
- 「あの」「えー」が頻出するので練習時に意識

実際に試してみた効果

1. アイデアが自然に湧きやすい

キーボードに向かうと構えてしまいますが、独り言なら「あ、そういえばこれも」という発見が自然に生まれます。散歩中や運転中など、リラックスした環境でアイデア整理ができると思いました。

2. 録音自体が発表練習になる

実際に声に出してアウトラインを作ることが、そのまま発表の練習になります。話し言葉から構成を作るため、本番でも原稿を読んでいる感じが薄れました

3. AIによる客観的フィードバック

「論理が飛躍している」「この順番の方が分かりやすい」など、自分では気づきにくい改善点を指摘してくれます。孤独な作業になりがちなスライド作成で、AIが聴衆役を務めてくれます

まとめ

ボイスメモ × AI の手法により、話したいコンテンツの整理と発表練習を同時に実現できました。
話しながらアウトラインを作るのが好きな方は、ぜひ活用してみてください!

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