バズに頼らずChrome拡張機能のユーザー数1万人を達成する方法
こんにちは、daichan132です。私は現在1万人に利用されているChrome拡張機能「YouTube Live Chat Fullscreen」の開発者です。
本拡張機能はSNSなどでのバズなどもなく(悲しい)、ほぼChromeウェブストア経由のみでユーザーを獲得してきました。この記事では、約1年間の運用経験を元に、Chromeウェブストアからの流入でユーザー数を効果的に伸ばすためのポイントを共有します。
YouTube Live Chat Fullscreenのユーザー数の遷移
Chromeウェブストアのおすすめバッジを取得する
個人的にはこれが最も重要です。Chromeウェブストアには、Googleの審査基準を満たした拡張機能に付与される「おすすめバッジ」という仕組みがあります。
このバッジを取得すると、ストア内の検索順位が大幅に向上し、インプレッション数が劇的に増えます。バズに頼らずユーザー数を増やすなら、バッジを取得することはほぼ必須と言っていいでしょう。
おすすめバッジが付与されている拡張機能の例
YouTube Live Chat Fullscreenでは、おすすめバッジ取得前はインプレッション数が10前後だったのに対し、取得後は約500近くまで増加しました。
おすすめバッジによるChromeウェブストア全体のインプレッション数[1]の変化
おすすめバッジを取得するには
Googleウェブストアのヘルプページには、おすすめバッジを取得するために以下の条件を満たす必要があると書いてあります。
- Chrome ウェブストアのベスト プラクティスを遵守している
- 直感的なユーザーエクスペリエンスを提供している
- 最新のプラットフォーム API を使用しているか
具体的な基準は公開されていませんが、個人的な経験から次のポイントを設定することが特に重要だと考えています。
- Manifestを適切に設定する
- Manifest V3を使用する
- permissionsを必要最低限に設定する
- ウェブストアの説明文を明瞭なものにする
- 直感的に操作できる拡張機能を作成する
一応この予想には理由があって、拡張機能のソースコードはビルド後に難読化されるため、審査時に主に確認されるのはManifestの設定、ウェブストアの説明文、そして実際の動作の3点だと考えています。そのため、これらを明確に整備することが、おすすめバッジ取得の可能性を高めると思っています。
LLMを用いた翻訳で多言語対応をする
YouTube Live Chat Fullscreenでは、ユーザーの約50%が日本語を利用している一方、残りはその他の言語を使用しています。結果として、多言語対応によってユーザー数が2倍に拡大できたと言えます。
YouTube Live Chat Fullscreenの言語別の1週間のユーザー数
多言語対応にはコストや時間がかかると思われがちですが、GPTなどの大規模言語モデル(LLM)を活用すれば、低コストかつ迅速に多言語対応が可能です。
実際、YouTube Live Chat Fullscreenでは日本語と英語のみ手動で作成し、それ以外の言語はOpenAI APIのStructured Output機能を使って自動化しています。
最後に
私は『YouTube Live Chat Fullscreen』を開発しており、ソースコードをGitHubで公開しています。OpenAI APIのStructured Output機能を用いた翻訳のためのコードもあるので、気になる方は覗いて行ってください。
また前回拡張機能を開発するためのフレームワークであるWXTについての紹介の記事を書いたので、気になる方は見てくれると嬉しいです。
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Chrome ウェブストア全体でアイテムが表示、閲覧された回数です。対象となる場所は、ホームページ、カテゴリページ、コレクション、検索結果などです。 ↩︎
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