GitHub Projectsのwebhookの対応イベントが増えたなど|Productivity Weekly(2024-07-10)
こんにちは。サイボウズ株式会社 生産性向上チームの平木場です。
僕たち生産性向上チームは毎週水曜日に Productivity Weekly という「1 週間の間に発見された開発者の生産性向上に関するネタを共有する会」を社内で開催しています。
本記事はその時のネタをまとめたものです。
2023-01-25 号から、基本的に隔週で連載することとしました。たまに単独でも投稿するかもしれません。
今週は 2024-07-10 単独号です。
今回が第 159 回目です。過去の記事はこちら。
news 📺
GitHub Issues & Projects - GraphQL and webhook support for project status updates and more! - The GitHub Blog
GitHub Project の webhook で対応するイベントが増えたり、中身の JSON が少し改良されたりしたようです。
1 つは最近追加された Status updates に対応する webhook が追加されたという内容で、もう 1 つは Project 内のアイテムが更新されたときの webhook についてカスタムフィールドの情報が含まれるようになりました。
個人的には後者のカスタムフィールドの情報が含まれるようになったことが嬉しいです。個人開発の TODO 管理に GitHub Projects を利用しており、アイテムを In progress
や Done
に移動させたとき(Status フィールドに変更があったとき)に別のカスタムフィールドの値を自動的に更新するための bot を自作しているのですが、今までは Status フィールドに更新があったことしか webhook に含まれていませんでした。
今までは GraphQL API で Status フィールドの値を取得して初めて Done
に移動されたことなどを検知していたのですが、今回のアップデートで webhook 内にカスタムフィールドが from
から to
の値に更新されたという情報も含まれるようになったため、bot の処理をより簡単にできそうです。
地味なアップデートですが、GitHub Project の bot を自作している人には嬉しいアップデートだと思います。
本項の執筆者: @Kesin11
GitHub Actions: GPU hosted runners are now generally available - The GitHub Blog
GitHub が提供する GitHub Actions のランナーに GPU が搭載された Linux と Windows のランナーが追加されました。
自分自身は CI で GPU を使う処理を実行した経験はあまりないのですが、機械学習やゲームの開発など GPU を必要とする処理のために今までどうしてもセルフホストランナーを使わざるを得なかった人にとっては朗報かもしれません。
GPU 付きのランナーは Larger runner として用意されているため、利用するためには最初に Larger runner としてセットアップする必要があります。ちなみにスペックと価格はこのあたりのドキュメントに記載されています。
気になるお値段を比較しやすいように近い金額のものを並べてみました[1]。近い金額で比較すると、GPU 付きの Linux や Windows は 16 コアより若干高め、macOS のランナーより若干安いぐらいなお値段になっています。
ランナー種別 | OS, スペック | 価格(USD/分) |
---|---|---|
x64 LargerRunner | Linux 16-core | $0.064 |
GPU付きLargerRunner | Linux 4-core | $0.07 |
StandardRunner | macOS 3 or 4 (M1 or Intel) | $0.08 |
x64 LargerRunner | Windows 16-core | $0.128 |
GPU付きLargerRunner | Windows 4-core | $0.14 |
Arm LargerRunner | macOS 6-core (M1) | $0.16 |
本項の執筆者: @Kesin11
GitHub Copilot Enterprise on GPT-4o - The GitHub Blog
GitHub Copilot Enterprise、および、GitHub Mobile の GitHub Copilot Chat で GPT-4o が使われるようになりました。
これまで Copilot Chat では GPT-4 が使われていました。
今回対象でない Individual、Business プランも早く GPT-4o になるといいですね。
本項の執筆者: @korosuke613
Incoming/Outgoing changes graph preview | Visual Studio Code June 2024
VSCode v1.91 において、バージョン管理システムの変更をグラフで可視化する機能が追加されました(experimental)。
よく見る Git の history 図って感じです。これまではこれを見るために拡張機能を入れている人もいたと思いますが、これで標準機能としてグラフを見られるようになります。
設定するには、scm.experimental.showHistoryGraph
を有効にしましょう。
ようやく来たかという感じですね。個人的には無くてもそんな困らないけどあると嬉しい機能です。とりあえず有効化しました。
本項の執筆者: @korosuke613
AWS Lambda で、Lambda 関数のログの検索、フィルタリング、集計を容易にする新しいコントロールを新たに導入
2023 年 11 月から、AWS Lambda のログの出力に JSON 形式を選択できるようになっています。
JSON 形式で出力することで、ログを機械的に分析できるようになります。
また関数側ではログ出力を別途ライブラリに任せることなく、直接メッセージを出力するだけで良いことになります。
CloudWatch Logs に出力されるログレベルも、関数、プラットフォームでそれぞれ変更可能になっています。デフォルトではどちらも INFO となっていますが、これを変更すると INFO かそれより下のログレベルのみが出力されるようになります。例えば WARN に変更すると、CloudWatch Logs にはログレベルが WARN, ERROR, FATAL のログが出力されます。
また出力先のロググループも変更可能になっています。以前までは関数名で自動的に決まっていました。
以前出たブログ記事と比較すると、特に新しい情報は無さそうに思います。
テキストで自由に出力されるより JSON 形式の方が検索などで便利ですので、使っていきたいですね。
本項の執筆者: @defaultcf
know-how 🎓
terraform importで数年やってきたがImport blockの良さに気づきました
2023 年 6 月にリリースされた Terraform v1.5.0 から、import ブロックが登場しています。
この記事では、terraform import コマンドから import ブロックへの移行のメリットが詳しく書かれています。
特に CI/CD パイプライン上で terraform plan, apply をしている場合、そのパイプライン上で import が可能になります。個人のマシンにクラウドまわりの強い権限を渡す必要が無くなり、また state を意識してインポートする必要が(ほぼ)無くなります。
なにより、terraform import 実行時に state に変更が入ってしまうため、そこから実環境と差分が無いように設定を直してリポジトリに急いで push する必要がありました。その間に CI/CD のワークフローなどで apply が動いてしまったら、下手したらリソースが消えてしまいます。
それが import ブロックを使うことで CI/CD のフローに載せることができるようになり、事前に検証が可能になりました。ワークフローの競合も解決します。
import ブロックを使っていきましょう。
本項の執筆者: @defaultcf
tool 🔨
GitHub Actions の timeout-minutes の linter 及び一括設定ツール
GitHub Actions の timeout-minutes を一括で設定するツール suzuki-shunsuke/ghatm の紹介と、timeout-minutes が設定されているかをチェックする linter の紹介記事です。
ツール作者・著者は GitHub Actions や Terraform に関連するツールでお馴染みの suzuki-shunsuke さんです。
GitHub Actions のデフォルトタイムアウト時間は 360 分ととても長いですが、実際 360 分近くかかるジョブはあまりないと思います。そのため、もっと短い時間に設定し、早く失敗に気づけるようにする、無駄なリソース消費を抑えるのが良いというモチベーションから、一括設定ツールと linter を作成したようです。
記事では、timeout-minutes 設定がされているか検知するための lint のやり方や、suzuki-shunsuke/ghatm による一括設定方法、複数リポジトリへの対応方法が紹介されています。
確かにタイムアウト 6 時間は長いよなーとこの記事を読んで思いました。1 時間超えることすらそうない(E2E テストなどくらいしか)ので、確かに基本的に短めにしたいです。良いツールだなと思いました。
本項の執筆者: @korosuke613
暗号化に対応した次世代dotenvツールdotenvxを使う
dotenv の作者の方が新たに作った dotenvx が登場しました。
dotenv と同じことを解決するツールですが、いくつか新たな機能があるようです。
dotenv と同じように、アプリケーションにライブラリを組み込んで使うこともできますし、実行時に dotenvx コマンドでラップしてやることで環境変数を読み込んでくれる機能が追加されています。
また、dotenv ファイルを暗号化して運用できるようになっており、Git でバージョン管理して運用できそうです。
今はアプリケーションをコンテナで実行することが増え、直接環境変数で渡すことが多くなっているように感じますが、dotenvx もまだまだ需要がありそうです。
本項の執筆者: @defaultcf
read more 🍘
Productivity Weekly で出たネタを全て紹介したいけど紹介する体力が持たなかったネタを一言程度で書くコーナーです。
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news 📺
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Dependabot auto-triage rules are generally available - The GitHub Blog
- 去年の 9 月にパブリックベータ版がリリースされた Dependabot の auto-triage rules が GA になりました
- Productivity Weekly でも過去取り上げてるので、参考にしてください
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Dependabot auto-triage rules are generally available - The GitHub Blog
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know-how 🎓
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GitHub ActionsでDockerイメージをビルド&プッシュしてCloud Run Jobsを更新するパイプラインを考えてみた - G-gen Tech Blog
- G-gen さんによる GitHub Actions で Cloud Run Jobs を更新するパイプラインの構築方法を紹介した記事です
- どういうフロー、どういう構成で実現するのかがわかりやすく、ソースコード例もあって真似しやすいです
- 実際に動かした時のスクリーンショットもあってイメージしやすいです
- Weekly では、GAR へのプッシュに docker/build-push-action を使わなかった理由でもちょっと盛り上がりました
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GitHub ActionsでDockerイメージをビルド&プッシュしてCloud Run Jobsを更新するパイプラインを考えてみた - G-gen Tech Blog
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tool 🔨
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次世代のMarkdownみたいなDjotの話
- Djot という次世代 Markdown を CommonMark の主要開発者が開発しているようです
- CommonMark にないけど GitHub Flavored Markdown にあるような文法もサポートしているようです
- 流行ってほしいですね
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次世代のMarkdownみたいなDjotの話
あとがき
今週号でした。ネタが盛りだくさんでしたね。
実は今週 Sansan さんとの合同イベントを開催します。現地参加枠はすでに埋まってしまいましたが、オンライン視聴枠はまだ空いてます。興味のある方はぜひご参加ください!
Sansan vs サイボウズ 開発生産性Tips夏祭り - connpass
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