古い react-native (<0.69) の iOS アプリを Xcode 14.3 でビルドした際に発生するエラーの解消方法

発端

古い react-native の iOS アプリを Xcode 14.3 でビルドしたところ、use of bitwise '|' with boolean operands というエラーが出ました（詳細は以下。Bitrise 上でビルドした場合のエラーログ）

/Users/[REDACTED]/git/node_modules/react-native/ReactCommon/yoga/yoga/Yoga.cpp:2289:9: use of bitwise '|' with boolean operands [-Werror,-Wbitwise-instead-of-logical]
        node->getLayout().hadOverflow() |
         ^

stack overflow を確認したところ、以下のような報告がありました。
ios - Use of bitwise '|' with boolean operands | XCode 14.3 fails builds using react-native Yoga - Stack Overflow

Starting April 2023, all iOS apps submitted to the App Store must be built with the iOS 16.1 SDK or later, included in Xcode 14.1 or later.

とはいえ、2023/4 月から iOS のビルドは Xcode 14.1 以上に含まれる iOS 16.1 SDK 以上でビルドしなければならなくなったので困りました（この条件を満たさないと App Store にアプリをアップロードできなくなった）

何が原因だったのか？

react-native 内部で使われている Yoga というパッケージのバージョンが古い（yoga <= v1.18.0）と、operator の使い方間違っているようです（以下が修正 commit）
Use logical operator instead of bit operation · facebook/yoga@f174de7

余談：ちなみに、Yoga とは react-native 内で使われているレイアウトエンジンのことです。
Yoga Layout | A cross-platform layout engine

影響のあるバージョン

• react-native < 0.69
  Use logical operator instead of bit operation · facebook/react-native@52d8a79
• Xcode >= 14.3

解決策（パッチを当てる方法）

シンプルに react-native のバージョンを上げるという方法もありますが、プロダクトの状況によってはパッチを当てて、すぐにリリースしたいケースもあるでしょう。

ここでは、patch-package という npm パッケージを使って、パッチを作成する方法を紹介します。
ds300/patch-package: Fix broken node modules instantly 🏃🏽‍♀️💨

patch-package をインストール

yarn を使っている場合は、以下の通りインストールします。

yarn add patch-package postinstall-postinstall --dev

パッチを作成する

該当のコードを node_modules から探します。以下のパスに該当のコードがあります。

react-native/ReactCommon/yoga/yoga/Yoga.cpp

上記の Yoga.cpp を開き、以下の通りに修正します。

- node->getLayout().hadOverflow() |
+ node->getLayout().hadOverflow() ||

以下のコマンドを実行します。

yarn patch-package react-native

すると、ディレクトリに patches/react-native+0.64.2.patch みたいな名前のパッチファイルが作成されます。

最後に、node_modules のファイルを変更したら、package.json に以下のコマンドを追加します（yarn install 後にパッチを当てる処理を記述します）

"scripts": {
  ...
  "postinstall": "patch-package",
  ...
},

最終確認

いったん、node_modules を削除して、インストールし直し、Yoga.cpp が修正した通りになっていれば OK です。

最後に、Bitrise などで iOS アプリをビルドしてみて、ビルドが通れば成功です！