ドメイン知識のない会社にEMとして転職をしたワイ、どうやって高速キャッチアップを実現したか
この記事は、CureApp Advent Calendar 2023 5日目の記事です。
株式会社CureAppのtyoshiiです。
早いもので入社してから2ヶ月半がたちました。これまで、エンジニア->人事->野球のお仕事->エンジニア、とへつほつなキャリアを歩んできましたが、CureAppではEMをしています。新しいチャレンジにワクワクする日々を送っています。
まえがき
CureAppは医療機関向けの「治療アプリ」と民間法人向けの「ascureモバイルヘルスプログラム」を提供しています。私は「治療アプリ」を開発するチームのEMとなりましたが、当然ながら入社時点ではチーム・社内のことをほとんど知りません。さらには事業領域である医療に関するドメイン知識もほぼゼロでしたので、兎にも角にもいろいろな情報のキャッチアップが必要でした。
結果的には担当するチームが1つ増えるなど、順調にキャッチアップしてこれたかなと思っています。「まだ2ヶ月半?もう1年くらいいるような」というお褒めの言葉も😊
この記事ではどんなことを意識してキャッチアップしてきたのかを赤裸々に記述していきたいと思います。
キャッチアップの順番
まず最初にチーム・社内の情報にフォーカスしました。
CureAppでは全職種がslackでコミュニケーションをとっています。publicチャンネルが多いため、slackはリアルな現場業務とホットな情報で溢れています。ミーティング予定もGoogleカレンダーでほぼすべて公開されているため、情報取得のしやすさがありました。
また、EM業務として予定していたものがピープルマネジメント・プロジェクトマネジメントだったため、キャッチアップした情報をEM業務の中でアウトプットする場面も多そうでした。インプット->アウトプットを繰り返すことで効率よく記憶が定着するため、アウトプットの機会があるかどうかは大事な要因となります。
情報をとりにいく(インプット)
キャッチアップの1歩目はもちろん情報のインプットになるわけですが、情報の"点"をとにかくたくさん集めることが大切です。最初から体系的にすべてを把握しようとしても覚えられず、結局断片的な情報にしかなりません。もうそんなに若くもないですし、脳内メモリもたりません🤦♂
なので最初から"点"で情報を集めることを意識します。
点の情報は1つ1つが小さくなります。忘れても問題ありません。キャッチアップコストも低いので何度も点を打って消えないようにします。
slack
最初から情報の選り好みをせず、まずは取れるものを全部とります。具体的にはpublicチャンネルにすべて入ります。想像するだけで情報に溢れて◯にそうですが、2つのことを捨てて効率的に情報の点を集めます。
3W1H - what/whyをすてる
インプットされる情報から、意図的にwhat/whyを除いて3W1Hにします。
what/whyの情報は自然とドメイン情報に近いものになります。これらの情報を最初の段階ですべてインプットしようと思うと情報が溢れますし、理解するためにコスト(時間、思考負荷)もかかります。瞬間的に目に入ってくるレベルのワード・文章と3W1Hの情報に絞ることで、情報取得のコストをさげるのがポイントです。
3W1Hは、例えば以下のような情報です。
- where/who
- どんなチャンネルがあるか
- プロダクト開発の現場でよく目にするアイコンはどれか
- how
- スタンプコミュニケーションが多いPJなのか
- しっかりテキストでやりとりする形なのか
- 各チームの文化に触れる
ショートカットの活用 - マウスをすてる
slackでは未読のチャンネルを周回するためのショートカットが用意されています。Macの私は以下をよく使います。(より効率のいいものがあったら教えてください🙇♂)
- Cmd+K->Enter->esc->Cmd+K... で周回
- Cmd+← で戻る
- メッセージを選択して rでリアクション、tでスレッド表示
マウスを使わないことで情報のインプットをより高速化させます。前述のwhat/whyを捨てることとあわせて、slackにおける情報のインプットコストを下げます。
実際やってみるとこういうスピード感になる。
会議
slackでの情報などを頼りに、新しい情報・人に出会えそうな会議に自ら参加します。せっかくGoogleカレンダーで会議予定が公開されているので、招待されるのを待つのではなく自ら調べて参加しにいきます。
特に自分が担当するチームのメンバーが参加している会議・朝会などの定例系は出るようにします。メンバーはどのような人と関わりがあるのか、などなどここでも3W1Hを意識して情報をインプットします。
情報を提供しにいく(アウトプット)
繰り返しですが、記憶の定着のためにはアウトプットが大切です。
情報を点でインプットし続けていると、ふとした瞬間に"点"の情報が繋がる時があります。
- このMTGで話している人は、slackのあのアイコンの人だ
- slackで目に入ってきたこのワード、この前あのMTGでも話していた
ここで大切なのは、この繋がりを自然発生的に生まれてくるのを待つのではなく、自ら繋げにいくことです。そのためにも、インプットした情報を、主体的に提供しにいく ことが大切だと考えます。
slackで情報提供者になる
slackで周回をしているとたまに「助けて」というメッセージを目にすることがあります。なにかの情報がほしいけど見当たらない、などのケースですね。この時には積極的に情報提供者になります。
この時、失敗して誤った情報を提供してしまう場合もありますが、そのときは「ごめんなさい🙇♂」でよいくらいの気持ちでいます。情報がほしくて困っている人が一番困るのはスルーされることだとも思いますし。また、その情報提供が間違っていたことがわかったとき、自分のもっている情報の点も正しい線で繋ぎなおすことができます。
雑談の場を多く設ける
情報のアウトプットを業務に限ってしまうと、どうしてもアウトプットが偏ってしまいます。例えばメンバーとの1on1の時間は、インプットした情報をフル活用して臨む業務だと思いますが、これだけでは点の繋がりがメンバーの行動範囲内に限定されてしまいます。とはいえ都合よくアウトプットできる業務が転がりこんでくることもないです。
そこで、いろいろな人と雑談の機会をとるように心がけます。CureAppでは全社員フルリモート勤務なので、ふらっと会える環境ではありません。以下のような意識づけをしました。
- オンラインMTGにはできるだけ早く入る
- 早めに入ってきた人と話す。
- MTG開始時にすでに会話が始まっていると、そのままアイスブレイクにもなる。
- "出社"をうまく使う
- MTG多い日など、可能な人同士で出社してオフライン参加
- (古い考えかもしれませんが...)ランチや飲みニケーションも適宜
- ランチ後に飲むコーヒーブレイクが一番話が進むきがする(昔のタバコ部屋?😂)
特に出社はよい効果を生んでいると感じます。開発作業に限れば環境が整備されたフルリモート一択だと思いますが、情報のアウトプット含め会話する時間についてはオフラインのほうが圧倒的に効率がよいと感じます。出社日も会社が決めた「毎週X曜日」ではなく、フルリモート前提のなかでアウトプットしにいく日を主体的に定めることで、お互いがより意識的に情報のアウトプットができると感じています。
コーヒーブレイクの写真ないので、家でつかっているお気に入りのカップの写真です
ドメイン情報のキャッチアップ
社内情報のキャッチアップが進んでくると、徐々にドメイン情報のキャッチアップに時間をあてていきます。
slackのインプットを整理する
ここはシンプルに、社内情報のインプットを抑え、ドメイン情報のインプット/アウトプットを増やします。
- slackにおいて、運用・通知系のチャンネルはミュートにしていく。
- 新しい情報が入ってこないチャンネルは積極的にミュートしていきます。
- 退出してもよいですが「退出しました」の通知にひよって自分はミュートにしてます🥺
- 業務との関連性が強そうなチャンネルから、what/whyを読んでいく。
- 自分事で語れるようなものがあれば、積極的に上司・同僚などに投稿を共有する。
- この時、自らの考えを添えて共有できれば尚良し。
本を読む
ドメイン知識は体系的・学術的に学ぶことも大切だと思っています。
CureAppでは薬機法に関する勉強会・読書会が開かれていたこともあり、社内みんなが読んでいるドメインに関する書籍があります。これらがいくつか定まっていると、社員の共通知があることからアウトプットもし易くてよいと思います。
私は本を読むのが苦手で、読むスピードが極端に遅いです。「本は読まない。明日使える知識を探す。」という意識で向きあっています。読むではなく探すというアプローチですね。特に学術的に書かれた本は文字量も多いので有効だなと感じています。
専門書って感じ。だけど、身近にある食品・化粧品などの話もあって面白い
ドメイン情報のアウトプット
業務中のアウトプットや雑談の機会を作ることは前述の社内情報とかわらないですが、ドメイン情報に関しては以下2つもよい取り組みでした。ドメイン情報は社内情報の記憶の定着とは少し異なり、それ自体を理解しているかどうか、という観点も大事になってくるからです。
- 面接・リファラル会食時の会社説明
- 身内への説明
これから興味をもってほしい相手、医療ドメインをしらない相手にわかりやすく伝えるには、自分自身の理解度がある一定以上ないとできません。「表参道のJKに説明できるように」 という金言も授かりました😂
まとめ:高速キャッチアップを実現したもの
だーっと書いてみました。読み返すと長くエモい感じになりましたが、高速キャッチアップする要素として大事だなと思ったのは以下の観点です。
- キャッチアップに主体的に動く
- オンボーディングも大事だが、受け身のインプットだけでは定着しない
- 主体的なアウトプットが記憶の定着・ドメイン知識の理解を促進する
- publicになっている社内情報にアクセスしやすい
- CureAppでいえばslack, Googleカレンダー
- 社内の共通知がある(書籍)
- 上司・同僚の理解と協力
- 情報アウトプットに対する失敗の許容
- 出社などオフラインでのアウトプットする場の創出
- 採用面接での会社説明機会の提供(その他情報アクセス権限の整備なども)
特に上司・同僚の理解と協力はとても重要だと感じています。「キャッチアップ早くて助かります」と何度かいわれたこともありましたが、それを実現する環境整備をしているのは上司・同僚でした、というハッピーエンドで〆たいと思います。
さいごに
「治療アプリってなんか響きおもろそうだけど、医療とかよくわからないし何か固いイメージあるよね。キャッチアップも難しそう。」
安心してください。高速キャッチアップ体制は万全です💪
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