Insta360で撮影した360度映像を一人称視点で編集する方法
この記事では、Insta360で撮影した360度映像を編集し、視点移動をカスタマイズする方法を解説します。特に、HMDをかぶったユーザーが首を動かさなくても、事前に編集で設定した視点移動によって、ユーザーに見せたい映像をコントロールする方法に焦点を当てています。ユーザーは常に正面を向いたままで、一人称視点の映像を自然に体験できるようになります。
Insta360 Studioでの制限と解決策
Insta360 Studioを使って360度映像をHMD用にエクスポートすると、回転方向のコントロールが不十分で、視点の傾きに違和感が生じることがあります。具体的には、ユーザーが横を向いたときに、首の動きと映像内の視点移動が一致せず、不自然な体験につながることがあります。
この問題を解決するためには、Adobe Premiere ProとGoPro FX Reframeプラグインを使って、視点移動を細かくカスタマイズすることで、映像の回転方向や視点の動きを自在にコントロールし、自然な視点移動を実現します。
必要なもの
- Insta360 Studio
- Adobe Premiere Pro
- GoPro FX Reframeプラグイン(事前にインストールしておく)
手順
1. Insta360 Studioに映像を取り込む
まず、Insta360 Studioを使って撮影した映像をインポートします。1つの撮影セッションにつき、2つの.insvファイルが生成されるので、それらを一緒に取り込みます。
2. Stabilizationの設定
Stabilization(手ブレ補正)の設定で、上部の項目をオンにします。ただし、Direction Lockはオフにしておきます。これにより、後のステップでAdobe Premiere Proを使って視点移動を自由に編集できます。
3. 色彩や音声の調整
必要に応じて、映像の色彩(Color)の鮮やかさを調整したり、音声のノイズリダクション(Noise Reduction)を適用します。これらの調整は必須ではありませんが、映像のクオリティを向上させるために便利です。
4. 360度映像としてエクスポート
映像をエクスポートする際は、360度映像タブを選び、ビットレートを上げて高画質に設定します。
5. Adobe Premiere Proに映像をインポート
Insta360 StudioでエクスポートしたMP4ファイルをAdobe Premiere Proにインポートします。ここから、視点移動のカスタマイズを開始します。
6. シーケンス作成とGoPro FX Reframeの適用
新しいシーケンスを作成し、インポートした映像にGoPro FX Reframeエフェクトを適用します。このプラグインは、360度映像の視点移動を自由に編集できるツールです。なお、プラグインは事前にインストールしておいてください。
7. 視点(Yaw, Pitch, Roll)の編集準備
エフェクトコントロールから、GoPro FX ReframeのYaw(左右回転)、Pitch(上下回転)、Roll(傾き)の各パラメータにある時計アイコンをクリックし、キーフレームを有効にします。これにより、時間経過に伴う視点の変化を記録できます。
8. Yaw, Pitch, Rollの調整
Yaw、Pitch、Rollを使って視点を調整します。このステップでは、Projection設定を一時的にFHDや2D映像に変更することを推奨します。これにより、HMDを使って見たときにどう見えるかを確認しながら視点の調整ができます。
Premiere Proでの編集が重い場合の対処法
もし、Adobe Premiere Proでの360度映像の編集があまりにも重い場合は、Insta360 Studioであらかじめ視点(Yaw, Pitch, Roll)を調整し、その数値を記録しておく方法も有効です。Insta360 Studioでの視点調整は比較的軽く処理できるため、編集作業が快適になります。
Insta360 Studioで記録したYaw, Pitch, Rollの数値は、そのままAdobe Premiere Proに入力する際に変換が必要です。以下のように数値を変換して入力してください。
- Yaw: -Yaw(符号を反転)
- Pitch: -Pitch(符号を反転)
- Roll: そのまま Roll
これらの変換を行うことで、Insta360 Studioで行った視点調整をそのままPremiere Proに反映させることができます。
9. キーフレームを使った視点移動の編集
映像内で視点を動かしたいタイミングに合わせて、キーフレームを追加して視点移動を制御します。視点を変化させる際には、動きの始まりと終わりにインとアウトのキーフレームを追加すると自然な視点移動が実現できます。
10. 最終エクスポート
キーフレーム設定が完了したら、Projectionを元のソースイメージに戻し、映像をエクスポートします。エクスポートのプレビュー画面で視点が反映されているか確認してください。もし視点が反映されていない場合、誤ってソースを対象にエクスポートしている可能性があるので設定を再確認します。
これで、一人称視点での360度映像の視点移動をスムーズに編集できるようになります。
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