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ロンドンでの生活 2017

に公開

メモを整理していたら(2025/05/05)、2017年に1年間英国ロンドンのUniversity Collage London に滞在した後のメモ書きが見つかりました。かなり古い情報ですが、結構まとまっているのでここで成仏させようかと思います。


以下は、合わせて公開したロンドンのpubリストです:
https://zenn.dev/crmind/articles/1d7b0dd616fa06

執筆の動機

ロンドンを離れる直前の2018年1月にロンドンでPIをしている知り合いに合った時「どうロンドンいたくなった?」と聞かれました。1年の滞在でいろいろ考えることがありますが、ロンドンの良いところもあれば東京の良いところもあり、どちらが良いかと言われると難しいです。結局色々な形(人的なものも含む)での資産がある東京のほうがやっぱり良いです。

忘れないうちのロンドン滞在で考えたことや東京都比較した違いなどをまとめてみました。食べ物や住環境周りの話が多いです。

食事: 東京>ロンドン

ご飯は日本のほうが確実に美味しいし、安い。ロンドンもいわゆる古い悪評とは大きく違ってまずくはない店がかなり多いですが、ヨーロッパ系の料理は、フランスやイタリアに比べると、よく言えば素材の味を残した薄味、悪くいうと味が攻めきれていないと言うか、食べる人の好みはそれぞれだと思うから後は自分で味付けしてね、という感じのものが多いです。ヘルシー志向なのかも知れません。
インド料理は美味しい。他のそこそこ。Pub飯はビストロパブを選べば問題なし。
あとは、日本よりも安く食べれる甘くない間食や炭水化物が圧倒的に少ないので、むしろ痩せます。それはいいかも知れない。
熟成肉は日本より安く、スーパーの肉売り場などで手軽に手に入りました。またイタリアなどでつくられているコシヒカリなども売っていて、十分美味しかったです。

飲み物: ロンドン>東京

エールやビールの種類は圧倒的です。値段はドイツ系の国よりは高いですが、日本よりは多少安い。この多様性は真似できません。ワインもやはりヨーロッパが近いので、同じ値段で比較すると1ランク味は上のものが手に入ります。日本酒は約3倍します。ジュースなどもフレッシュ系のクオリティはロンドンがとてもいいですね。コーヒーはどっこいどっこいという感じ。

住居: 東京»ロンドン

とりあえずロンドンは高い。それだけで厳しい。そしてこちらの賃貸は日本と比べて、大家の力が強いので、1ヶ月後に出ていってね、と言われたみたいな話を周りでもよく聞いたので、なかなか落ち着いて住むには覚悟がいるなと思います(我々は遭遇しませんでしたが)。
出るときにもクリーニングが必要で結構お金がかかります。水回りや電気ガスなどのライフライン系でもトラブルが頻発というのもまた悩ましいです(我々はそこまで大きなトラブルはなかったですが)。もしいい家に住める(or 持ち家を買うためのローンが組める)のであれば広い庭付きの家が多いのは東京とは違うところです。
ホストのUCL教授の家に招かれましたが、ロンドンの近郊(zone 2)なのにSemidetached houseで庭がすごかった。あんな物件は日本だと厳しいと思います。

住環境・余暇: 東京=ロンドン

春から夏の公園は最高です。蚊もいないし、広い公園がいくつもあります。みんな週末公園で散歩しているのも納得です。小さいこどもがいるととても重宝します。蚊もいないので快適。
一方で冬は余暇的なものが少ない。日本は温泉文化があるので冬も楽しめる。南ヨーロッパまで出かければいいのでしょうが、それはそれでそこまで手軽でも結構めんどくさいなとも思います。
あと冬場は、日本に温かい酒の文化があるのは偉大だなと実感しました。できることなら、夏はロンドン、冬は日本がいいです。

街や人の雰囲気: ロンドン»東京

東京と比べてロンドンは確実に周りの人にやさしいと思います(特に男性)。駅や公共機関などで、周りの人が家族連れやお年寄り、それ以外の人たちにもとても自然に席を譲ったり助けたりする感じや、バスの運転手やお店の人などにも当たり前のようにありがとうと声をかけている雰囲気が、が東京に戻ると無くなるのは寂しいです。
他のヨーロッパ都市と比べてもロンドンでは特にこういった雰囲気がありました。ロンドンはgentlemanの文化が有ることと、公共機関の人口密度が東京よりも低く、対人ストレスが東京より全然すくないのが原因なのかなと思っていたりします。

一方、色んな所(長距離バスとかパブとか、、)がトイレ臭いのは辟易します。トイレも汚い。街にゴミも多い(知り合いの話ではパリよりはマシらしいが)。あと話に聞いただけですが、子供のプールとかも結構気を使うらしい。色々な国の人がいて必ずしもシャワーやお風呂に頻繁に入らない文化の人もいるので、色々もらってきてしまうことが多々あるとのこと。

英語

もともと英語は得意ではありませんが、ロンドンにいるとほんとに多様な英語が存在する事がわかります。もちろんNon nativeの多様性もありますが、nativeの人たちでもとてもわかりやすい英語をしゃべるスタバのお姉さんがいたと思ったら、何言っているかいるか全くわからないおばさんに遭遇したりします。
推測ですが、東京であれば地方から出てきた人も基本的に標準語でしゃべることをしますが、ロンドンは各地(世界を含む)のなまりの英語をそのままそれぞれが喋っている傾向が強いと思っています。あわせて、nativeの発音でもわけがわからないものもあり(例えばnameをナインと発音する人がいたり)、正しい英語の発音という概念がだんだん崩れて来ます。英語はもうどうしようもないです。。。

研究環境: 東京=ロンドン

研究面でもUCLやICLはキャンパスが驚くほど狭く、学生にとってもスタッフにとっても環境が良いとは言えないです(オックスブリッジはわかりませんが)。ただ、ロンドン内でいくつもの大学が密集しているので色々な共同研究や情報交換のハードルはとても低い気がしました(東京でもホントはできるんでしょうが)。

そして、ヨーロッパの各地に直行便が飛んでいるロンドンは、日本国内で東京から各地に行くのと同じ感覚でユーロ圏の都市に行けます。LCCでやすいフライトもたくさんありました。
大学ランキングでも日本の国際共同研究数などが取り沙汰されますが、この地理的な違いを考えると下手に比べるのは危険だなと思いました(日本で東北・関東・関西・四国・九州の間での共同研究をカウントしているような気分?)

外国人研究者のための住環境:ロンドン»東京

ロンドンは済み始めるのは楽でした。そもそもすべての表記が英語で、クレジットカードも少額から使えるのが一般的。公共料金や携帯など、ネットで殆どのことがまかなえます。この環境は、他の国からの住居者を迎える時の極めて大きな強みだと思います。また色々なサービスの携帯・iphoneアプリがとても充実している印象が有りました。IT系の強さの違いでしょうか?

日本を考えると観光で滞在するくらいはいいですが、公共・病院・幼稚園・学校関係も基本日本語表示のみ、外食も大きなチェーンでなければ日本語のみ、カードも少額だと使いづらい、などなど、日本語の読み書き会話ができないと特に家族とともに住もうと思った時のハードルははかりしれません。そして漢字もある日本語の習得は我々が英語を学ぶよりもおそらく困難が大きいかと思います。

日本に優秀な外国人研究者を呼び寄せて、みたな話がありますが、独身の学生や駆け出しの研究員などはなんとかなると思いますが、よっぽどの好条件(例えばロンドンに駐在で来ている日本人企業の人のように家賃や子供の学校の費用なども大学持ちなどの待遇)をつけない限り、家族もいる中堅系の研究者を連れてくるのは全く現実的でない気がします。むしろ日本は同じ漢字圏の中国や他のアジア系の研究者とのつながりをもっと強くするべきなのだと個人的には思いました。

研究費など:東京>ロンドン

こちらでPIをしている主に日本人に聞いた話ですが、申請書の分量などは日本より多い印象です。採択率は比較的高いけれどその代わり配分額が小さいグラント(基盤Cとかみたいなもの)も少ないという話も聞きました。大学院生にも日本でいうとポスドクに近いくらいお金がかかり、多細胞系の生き物を使う生物実験系も実験計画などが日本よりかなり厳しいらしいです。

一方でお邪魔していたLabではヒト関連のデータをLab内ではかなり気軽にシェアしていました(個人情報などは事前に削除したものでしょうが)。今後Brixitでどうなるかも不確定要素です。まだ何も研究費実績が無ければどちらでも構わないと思いますが、自分の場合はやはり日本のほうが研究費獲得は楽かなと思います。

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