Reactの`state`に大容量データを保存するのは危険?
state
に大容量データを保存するのは危険?
Reactの🔍 調査するに至った経緯
こんにちは。最近、Reactで大容量データを扱うプロジェクトに直面し「大きなデータをReactのstate
に保存しても問題ないのか?」と疑問に思いました。PCのメモリには余裕があるのに、なぜReactのstate
でデータを持つのは問題だと言われるのか?今回はその疑問を、解決しようと思い記事を書きました。
例えば以下のような状況です。
- 高解像度の画像データをBase64エンコードしてstateに保持している場合
- 大量のデータを一度にフェッチして、ページネーションや仮想スクロールを実装せずにそのままリスト表示している場合
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に保存できる容量ってどのくらい?
💾 Reactの結論から言うと、Reactのstate
に保存するデータの容量は数MB以下が理想です。あまりに大きなデータをstate
に保存すると、パフォーマンスが悪くなったり、最悪ブラウザがクラッシュしたりすることがあります。
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に入れるのはダメなの?
🚫 なぜ大容量データを
state
に保持するということはメモリにデータを置いている
Reactのstate
にデータを入れると、そのデータは ブラウザのメモリ(RAM) に保存されます。これはパソコンの物理メモリを使っており、アプリが動いている間だけ一時的に保持されるものです。state
が変更されるたびに、Reactはそのデータを使って画面を再描画(レンダリング)します。このため、大きなデータを保持していると、再描画に時間がかかり、アプリの動作が遅くなります。
また、ブラウザが使えるメモリの量には限界があります。パソコン自体のメモリに余裕があっても、ブラウザは安全性や他のタブとのバランスを考えてメモリの使用を制限します。そのため、大容量データをそのままstate
に保存するのはリスクが高く、アプリが重くなる原因になります。
localStorage
やIndexedDB
はそうではない
localStorage
やIndexedDB
は、 メモリではなくストレージ(ディスクに近い保存場所) にデータを保存します。これは、ブラウザを閉じてもデータが消えないため、長期的な保存に向いています。
-
localStorage
は小さなデータを保存するのに適しており、容量の制限が厳しい(通常は数MB程度)ため、大容量のデータには向いていません。 - 一方、
IndexedDB
は非同期で動作し、大容量データ(数百MB〜GB)でも扱えるため、大きなデータを保存する場合に適しています。
⚠️ PC自体のメモリに余裕があってもたくさん使っていいわけではない
PCに物理的なメモリがたくさんあっても、ブラウザはそのメモリを無制限に使うことができません。ブラウザには独自のメモリ使用制限があり、1つのウェブページが大量のメモリを使用すると、他のページやシステム全体のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるからです。そのため、Reactのstate
に大きなデータを保存すると、アプリが重くなったり、最悪の場合ブラウザがクラッシュする原因になります。
❓ メモリに関する具体的な疑問と回答
ここで、皆さんが抱きそうな具体的な疑問を一つ紹介します。
🗑️ JavaScriptのメモリ管理とガベージコレクション
JavaScriptは、メモリ管理にガベージコレクションという仕組みを使っています。ガベージコレクションとは、使われなくなったメモリを自動的に解放する仕組みです。しかし、ガベージコレクションが動くタイミングはJavaScriptエンジンによって決まるため、制御することはできません。
例えば、大きなデータをstate
に保持していると、そのデータが不要になったときにガベージコレクションが適切に動作しないと、一時的にメモリが解放されずにメモリリーク(メモリが無駄に使われたままになる現象)が発生する可能性があります。特に、頻繁にデータが更新される場合は、ガベージコレクションが追いつかず、アプリのパフォーマンスが低下することがあります。
このため、Reactで大容量データを扱う際は、ガベージコレクションの影響も考慮し、必要なデータだけをstate
に保持することで、メモリ使用量を抑えることが重要です。
💡 じゃあ、どうやって大容量データを扱うの?
大容量のデータを扱う際は、すべてをstate
に保存せず、以下のような方法を取るのが良いです。
1. 必要な部分だけを保存する
すべてのデータをstate
に入れるのではなく、必要な部分だけをロードしてstate
に保持します。例えば、ページごとにデータを分けて少しずつ表示したり、ユーザーが操作したときに必要な分だけ読み込んだりすることで、メモリの負担を減らせます。
IndexedDB
を活用する
2. IndexedDB
というブラウザの中のデータベースを使う方法があります。これは大容量データを保存するのに適していて、ブラウザを閉じてもデータが消えないという特長があります。大きなデータはIndexedDB
に保存しておき、必要なときだけそこから読み込むようにすれば、state
を軽く保てます。
localStorage
は小さいデータ向き
3. localStorage
もデータを保存できますが、容量が少なく、小さな設定情報などを保存するのに適しています。大量のデータには向いていないので、state
の代わりに使う場合は注意が必要です。
✅ まとめ
Reactのstate
には、 できる限り小さなデータ(数MB以下) を保存するのがポイントです。大容量データが必要な場合は、IndexedDB
やバックエンドのデータベースと連携し、state
には必要な部分だけを保持するようにしましょう。
まずはstate
には画面に表示するための最小限のデータだけを入れることを意識してみてください。そうすることで、アプリのパフォーマンスが良くなり、ユーザーにも快適な体験を提供できます。
ぜひ今回の内容を活かして、効率的なデータ管理を目指してみてくださいね!
Discussion
すみません。純粋な疑問なのですが、Reactのステートに数MB以上のデータが入る状況ってどんな状況を想定していますか?
数MBってかなりでかいと思うので、具体例がないと特に初期学者向けの記事なら少しミスリードになってしまいそうだと思いました💦
コメントありがとうございます!
確かに、一般的な開発では
state
に数MB以上のデータを入れることは少ないです。例えば以下のようなケースで想定しました。
これらの具体例を記事に追記し、読者の方々がイメージしやすいように改善してみます。
貴重なご意見ありがとうございました。