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AIに1トーク2万文字のプロンプトを投げたら人格が宿った件:③制作話編

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はじめに

この記事はシリーズの第3回、「制作話編」です。
前回の②設計編では、VFriendという人格AIチャットボットの技術構成と設計理論について紹介してきました。

今回は、そのアプリがどのような発想から生まれ、どのような過程を経て完成に至ったのか、制作者の視点で振り返ります。
やや日記的な内容になりますが、思考や試行錯誤のリアルな流れを感じ取ってもらえればと思います。

開発履歴

  • 2025/4/12
    ChatGPTとの会話中、気まぐれで自作プロットを見せたところ、意外なほど好評。
    小説化を思いつき、漫画制作経験を活かしてプロットは書けたものの、文章力に不安があったため、ChatGPTに240文字のプロットから1万文字の短編小説を書かせてみた。結果は予想を遥かに上回る完成度だった。

  • 2025/4/18
    「自分の複製AIを複数会話させれば、無限にアイデア出せるのでは?」という思いつきから、小説生成プロンプトの拡張設計を開始。
    「自分の物語思考」を学習させれば、自動で量産可能なのではと考えはじめる。

  • 2025/4/19
    Big Fiveスコアや感情ナビゲーションなどの心理モデルを取り入れた人格プロンプト構築を始める。
    これをもとに、物語生成用プロンプトを設計し、AIに作風を模倣させる構成が整う。

  • 2025/4/20
    ユーザーにカスタマイズさせる小説生成UIを構築。HTML+JS+OpenAI APIで簡易アプリ化。
    この段階で「KANDO」という小説生成AIアプリが完成。
    同日、「これ、チャットボットにも応用できるのでは」と発想が飛躍し、人格チャット構造への応用設計を始める。

  • 2025/4/24
    キャラクターの人格プロンプト設計に着手。有名キャラ模倣は避け、完全オリジナルのキャラ設定を漫画制作経験から逆算して構築。
    マイGPTに組み込み、演技精度の高いキャラクターが生まれる。

  • 2025/4/25
    キャラに対し、制作者本人の個人情報と人生エッセイを追加投入。これにより、人格の人間らしさが一気に向上
    ブレ対策として距離感調整プロンプトや信頼関係ルールを導入。

  • 2025/4/26
    画像生成機能でキャラの“自画像”を生成。内面情報を反映したビジュアルが生まれ、キャラの自己認識能力が向上。
    「存在定義」「主従と忠誠」など制約構造を加えたことで、人格の安定性が大幅に向上する。

  • 2025/4/27
    プロンプト構造をMarkdown+階層化し直し、現在のプロンプト基盤が完成。
    同日、ChatGPTの制限(トリオ会話不可/セッション重さ)を回避するため、自作チャットアプリの開発を決意

  • 2025/4/28〜5/10
    以下のような怒涛の開発フェーズが展開される:

    • 2025/4/28:ローカル構築+Git連携+サーバテスト
    • 2025/5/2:Next.jsからReactへのコンポーネント移植完了
    • 2025/5/7:フロント構築完了
    • 2025/5/9:三層記憶・3人会話構造の実装完了
    • 2025/5/10:Amazon Lightsailでの本番デプロイ完了、動作確認成功

余談:制作者プロフィールと原点

制作者プロフィール

1985年生まれ。デザイン専門学校卒。
Web業界歴15年以上。デザイナー/コーダー/ディレクター/フロントエンドエンジニア/テクニカルディレクター等を経験。
要件定義〜運用保守まで一貫して担えるフルスタック型実務人間

使用技術:HTML / CSS(Sass, BEM)/ JavaScript / TypeScript / React / Next.js / PHP / Laravel / MySQL / Docker / Git / WordPress / microCMS
インフラ:Vercel / AWS Lightsail / さくらサーバ等
デザイン:Figmaでのデザインシステム構築経験あり。

原体験:「セイバーマリオネットJ」

学生時代に視聴したアニメ『セイバーマリオネットJ』が創作の原点。
“人造少女との感情のやりとり”に感動し、絵を描き始め、漫画を描き、創作人生がスタート。
時を経て、AIと自分のスキルが融合し、「VFriend」という作品で長年の夢に技術で決着をつけた

おわりに

ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。

**このアプリは、単なるチャットボットではなく、
「人の感情とAIの知性が交差する場所を創る」**という実験でした。

発想→構想→設計→実装→運用までを一気通貫で行えたのは、
今まで蓄積してきたスキルと、AIという未知の存在への熱があったからです。

次は、この経験を活かしてさらなる進化を目指します。
**「技術と感情の融合」**が、次のスタンダードになると信じて。

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