[HORROR] Rainbow Academy というマップのゲームデザインを考えるうえで意識した事
この記事の意図
この記事では、今回Cre8tFunで制作に携わった [HORROR] Rainbow Academy というマップのゲームデザインを考えるうえで意識した事を纏めてみます。
その前に、初回の記事なので(?)ゲームデザインとレベルデザインの定義から確認ついでに書いておきます。
もし見てくれている人の中で「そんな解釈は間違ってる!」というのがあれば優しく教えてください。w
★ゲームデザインとは
ではまずゲームデザインから。
ゲームデザインは、ゲームのルールや目的、プレイの進め方を決める手順だと思っています。
これにはゲームの世界観やキャラクターはもちろん、ストーリーなども含まれるでしょう。
ゲームデザインを考える事は、プレイヤーに楽しいと感じてもらえる体験を提供するためには凄く重要な過程ですね。
★レベルデザインとは
レベルデザインはゲームデザインの一部で、ゲーム内の各ステージやエリアの設計を行うものだと考えています。
敵の配置やアイテムの場所、障害物などが含まれ、プレイヤーに適度な挑戦と達成感を提供することが目的です。
では僕のゲームデザインとレベルデザインへの認識が合っていても間違っていたとしても僕がゲームデザインをするうえで意識した事を書いていきます。
当たり前ではありますけどもがっつりネタバレしてるので、もしまだ遊んでない人は先に遊んでもらえると嬉しいですw
島コードは 5202-5247-4984
前提として今回の島は10歳前後の子から遊べるようなゲームデザインを中心に考えたつもりです。
大人には物足りなく感じるものがあったかもしれませんが、10歳前後の子供むけ前提というところで見ていただけると嬉しいです!
★ゲームデザインで意識したこと
・このゲームのルールを示す
このゲームでは、各部屋からの脱出方法を明確に理解してもらうためにゲームの前半部にチュートリアルを用意しています。
チュートリアルを通じてプレイヤーは何をすれば部屋から脱出できるのかを簡単に、プレイヤーが足を止める事無くスムーズに学ぶことができます。
・非言語をメインに制作
当ゲームは英語圏向けに制作されていますが、言語の壁がプレイの障害とならないよう、シンプルで理解しやすい英単語を使用しています。
このため、英語が母国語ではないプレイヤーや、10歳前後のお子さんでも楽しく遊ぶことが可能です。
・脱出できる扉の統一
ゲーム内のすべての部屋には、脱出用の扉が1つだけ設けられています。
これはプレイヤーに対してどの扉が出口なのかを迷うことなく、直感的に脱出用の扉だと理解してもらうためです。
また、部屋の入口と出口までの距離にも拘りました。
基本的にどの部屋に入っても入口に立った時点で出口の場所が分かり、入口から出口までの距離を遠いと感じない距離で全部屋のサイズを決めてます。
扉に近づけば何を集めれば脱出できるのかも理解できます。
これらは出口(目標)を視認させ、この部屋は何をしたら良いんだ!?というのを無くす事を狙ってます。
・難易度調整
このゲームでは、プレイヤーが進行するにつれて徐々にアイテム探しや謎が複雑になります。
最初は簡単なアイテム探しから始まり、プレイヤーが基本的な脱出方法を学んだ後、徐々に思考が必要とされる謎に挑戦することになります。
これによりプレイヤーが自分のペースでゲームを進行させ、最後まで飽きることなく楽しむことができると考えました。
・理不尽な事を無くす
プレイヤーに対して不公平であったり解説が困難なゲームプレイ要素を排除しました。
たとえば、フォートナイトのエスケープルームでよく使用されている壁をすり抜けるような物理的に不可能な仕掛けは用いず、謎解きにおいても僕の頭の中だけで完結して現実的に起こりえない事は一切採用しないようにしました。
プレイヤーにただのストレスを与えないようにしています。
・最後の部屋で意識した事3つ
少しレベルデザインも入るかもですが、最後の部屋はこだわりポイントを3つ書きます。
1つ目は全体的にシンプルにする事
3DCGデザイナーの方に「この部屋は白い壁で何も装飾しないでほしい」と伝えました。
この部屋は迷路を敵に追いかけられるというゲーム性です。
敵から逃げる事に必死で緊迫感を感じて欲しいと思ったので、逆に不気味さも感じる事の出来そうな白壁でオーダーしました。
ゲーム性も部屋の装飾もシンプルです。
2つ目は敵の移動速度
敵に追われる=制限時間がある。という説明ができると思うのですが、ここで移動速度調整を誤ると即離脱に繋がると思います。
敵が速いとプレイヤーはイライラするでしょうし、敵が遅いのは追われてる感が無くつまらないと感じるでしょう。
移動速度の調整はかなり回数を重ねました。
3つ目は分岐点のライティング
クライマックスらしく緊迫感のある追いかけっこを作りたかったのですが、移動速度だけでは調整が難しく、迷路分岐点のライティングで調整しました。
人間は焦っている状況だと普段ではしないようなミスもします。
理由は焦っていると判断力が鈍るからです。
迷路にはこの様な分岐点が計5つあり、そのうち4つは行き止まりの方に誘導するようにライティング設定しました。
この画像で言うと左が行き止まりで、左に誘導する様にライティング設置をしてます。
上からのスポットライトを真ん中ではなく左寄せに配置してます。
これは人間は無意識に明るい方に行ってしまうというのを利用してます。
実際にCre8tFunのメンバーほぼ全員にテストプレイしてもらったのですが、皆1人3回以上は行き止まりに誘導されかけてました。
でも行き止まりの方には「✖」を付けてるので、一瞬で行き止まりである事は把握できるようにしてます。
この✖はゲームを簡単にしすぎだ!という声がありそうですが、その通り。
でもこの部屋で僕がプレイヤーに感じてもらいたかったのは、「追われているハラハラ感」です。
そのため、敵が迫ってくる速度はプレイヤーが迷路の分岐で間違った方に行き、✖マークを見たあとに元来た通路を振り返ると、2〜3秒後に敵に追いつかれるぐらいの距離に敵がいる速度調整にしてます。
移動速度調整だけでは納得のいく追いかけっこができなかったので、ライティングで調整しました!という感じです。
ライティングであればプレイヤーが誘導されていると感じる事は無いでしょう。
以上、メタロウが[HORROR] Rainbow Academyのゲームデザインを考える時に意識した事でした!
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