デザインとエンジニアリングの断絶

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Webにおけるデザインとエンジニアリングが断絶しつつあることに懸念しています。それぞれが高度に発展してきたので職能として分離していくのは、当然といえば当然のなりゆきですが、一方でバラバラになって良からぬことが生まれるのではと懸念しています。

デザインとエンジニアリングは密接に関係している

これは個人的な信条の類いかもしれませんが、Webデザインと技術、そして社会環境というのは相互に関係しあっていると思います。アトミックデザインの考え方もコンポーネント志向な技術の登場により出てきたものですし、さらにその背景にはWebアプリケーションなどの開発の高度化というWebの世界の情勢変化もあるでしょう。

デザインが無から生まれるものではなく、社会の要請、ユーザーの要望、そしてそれを実現する技術などによって生み出されていると考えています。このへんの思想は自分が建築関係の出自だからかもしれません。『Form follows function(形態は機能に従う)』のルイス・サリヴァン言説やモダニズム建築思想は自分の中のデザインへの考え方として根付いています。

デザインとエンジニアリングの断絶の副作用

断絶の端的な例が「こんなデザイン、実装できないぞ」という話です。これは極端でしたが、実装難易度を考慮されていないデザイン、システム設計と対立・無視するようなデザイン、状態が違う時のデザインがない、レスポンシブへの考慮がない、ユーザーがめっちゃ長い名前だった場合の対応、などは現場でも遭遇することがあるでしょう。

もちろんデザイナーはエンジニアではないので、全てのエンジニアリング的問題にデザイン段階で気づくのは難しいです。

SEOやアクセシビリティの問題もエンジニアリングの話に終始しがちです。見出しレベルの問題はデザインの見た目として表されるものですし、コンピュータが理解しやすいデザインは人間も理解しやすいデザインだと思います。アクセシビリティツリーを考慮したデザインなら、自ずとゴリゴリにWAI-ARIAなどを導入しなくてもアクセシビリティを満たすデザインになると思います。

見た目はキレイでも、裏側のエンジニアリングをゴニョゴニョさせてのパワープレイで諸々の要件を実現しているようなサイトは、個人的にはあまり好きではありません。建物で表すなら、ガラス張りのカッコいいビルなのに冷暖房ガンガンにいれて内部の快適さを保っている、みたいな感じでしょうか。(なおガラスは熱をよく通すので、ガラス張りのビルは熱的には壁がないのと同じになる)

静止画的デザインではなく運用されるモノとしてのデザインをするのが断絶回避のポイントなのではないかと思っています。

エンジニアリングからの歩み寄り

一方でエンジニアも「デザインは自分には関係ないし」と一方的な態度で突っぱねるのではなく、デザインへの歩み寄りもあると思います。つまり、エンジニアがデザインの意図を理解し実装に合うような提案をする、といったことです。

実装とデザインの対立は、デザイナーの悪意ではなく単純に実装を知らないことの起因する場合がほとんどでしょう。先程の例にしても「ここどうします?」と聞けばデザイナーは応じてくれるはずです。デザイン上にないもの=デザイナーが無関心、であるわけでなく、さまざまな状態でもキレイに見せたいのがデザイナーの本心でしょう。勝手に実装して後から「そうじゃない」となるとエンジニア・デザイナー双方にとって良い結果になりません。

そのようなギャップを両者の歩み寄りで埋めていきたい、というのがこのお話の主旨です。

歩み寄りには領域外の知識も必要

とはいえ、歩み寄るというのはお互いにそれぞれの領域に足をいれることになるので、ある程度の知識は必要になります。デザイナーであれば実装の知識、エンジニアであればデザインの知識です。それぞれ自分でできるほどの知識・スキルはなくてもよいと思いますが、少なくとも対話できるくらいの知識は必要でしょう。

キャリアパス

デザインとエンジニアリングの断絶にはキャリアパスの問題もあるのかなと思っています。デザイナーもエンジニアも経験を積んでベテランになっていくと、より深い方へ進んでいく方が多いのではないでしょうか。

キャリアパスとしては当然な方向ではありますが、一方でその経験を生かして、デザイン・エンジニアリングのギャップを埋めるの道もあるんじゃないかと思います。その層が薄くなってしまうとデザインとエンジニアリングの断絶がより進んでしまうのではないかと危惧しています。

デザイナー・エンジニア一丸となった開発

裏側の仕組みも、デザインも一本のロジックでスッと筋の通ったものを作ってみたいと思っています。自分がまだ経験したことがないので机上の空論ではありますが、おそらくそのような開発は楽で、軸さえブレなければ変更にも容易なはずです。

そのためにはデザイナー・エンジニアが一丸となって対話しながら総合的に作り上げていかないといけないと思います。正直、どうすれば正解かは分かりません。けれども、デザインとエンジニアリングが断絶していないものというのは、デザイナー・エンジニア、そしてユーザーにとって良いものだと信じています。

それが実現できるように自分は日々精進していきます。