WordPressのGPL周りの疑問とその答え

公開:2021/01/08
更新:2021/01/10
2 min読了の目安(約2600字IDEAアイデア記事

CMSとして大きなシェアを誇るWordPress。そのWordPressがGPLのライセンスで配布されているのは知っている人も多いと思いますが、GPLにまつわる(自分なりの)疑問とその答えをまとめました。一部、独自の解釈も含まれていますので、記事の内容によるトラブル等の責任は負いかねます。個別の事案については専門家とご相談ください。

ここではテンプレートを題材として例にあげていますが、プラグインについても同様です。

WordPressのGPLの適用範囲って?

WordPressのGPLが及ぶのは、端的に言えばテンプレートやプラグインと本体そのものです。ここからは基本的にテンプレート・プラグイン開発者の前提で話します。特にテンプレートやプラグインの中でもWordPressのコードが使われている部分がWordPress派生物とみなされるものです。そのため、それ以外のCSSやJavaScript、画像などはWordPressによるGPL適用範囲外です。

WordPress有料テーマなどで「1購入につき1サイトまで」みたいなのはGPL違反じゃないの?

そのような場合は、スプリットライセンスとして提供しているのだと思います。先のGPL適用範囲の話の通り、画像やCSSなどはGPLの影響は受けません。そのため、それらには独自のライセンスを付与できます。このようなテンプレートはGPLとその独自ライセンス2つのライセンスが課されていることになります。これをスプリットライセンスと呼びます。スプリットライセンス自体は何ら法的な問題はありません。参考リンク

疑問にあるような制限はその非GPL部分に課されたライセンス制限だと思われます。つまり、テンプレートに使用されているCSSなどは「1購入につき1サイトまで」しか使ってはいけないライセンスなのでテーマにそのような制限をかけている、という仕組みです。これを逆手にとれば、非GPL部分を除けば純粋にGPLとなるので、「1購入1サイト」のような制限はなくなり、自由な再配布も可能なはずです。

WordPressって100%GPLでないとダメじゃないの?

前の疑問のように100%GPL(=画像やCSSなどすべてのファイルがGPL互換ライセンス)である必要はありません。ただし、WordPressコミュニティは100%GPLを推奨しているので公式テーマやプラグインの掲載には100%GPLであることが求められています。

また、コミュニティイベントへの登壇やスポンサーになる場合にも100%GPLで配布していることを条件としています。

100%GPLのテーマやプラグインはお金取っちゃダメ?

公式で配布しているテーマやプラグインは100%GPLで無料で手に入りますが、100%GPLだからといってお金をとってはいけない、というわけではありません。有料で配布しても問題ないですが、GPLの性質上、自由な再配布も認められているので、購入した誰かが無料で配布しても文句は言えません。参考リンク

受託で納品したテーマも公開しなくちゃダメ?

クライアントから依頼をうけて制作したテンプレートなどを納品する行為は「配布」ではないので、公開する必要はありません。GPLでは自由な改造と使用が認められています。スタンスとしては、WordPressを開発者が「改造」し、クライアントが「使用」している、形です。

GPLのコピーレフト性が及ぶのは配布者(テンプレートやプラグインを公開している人)であって、使用者(サイトを運用している人)には及ばないです。この点を押さえておくと分かりやすいかもしれません。参考リンク

ちなみに、クライアントが納品したテーマを配布した場合は、クライアントがGPLに従わなくてはなりません。

のび太、いいテンプレート持ってるじゃんか。GPLなんだから俺にも使わせろよ

答えはNoです。前の疑問とも関連しますが、使用者はGPLの義務などが及ばないので提供する必要はありません。独自テンプレートはもちろん、GPLとして配布されているものでも提供しなくても大丈夫です。配布されているものならば、配布元を教えてあげれば親切でしょう。参考リンク

100%GPLで公開するにはどんなライセンスなら大丈夫?

100%GPLを満たすにはテンプレートで使わているすべてのファイルがGPLもしくはGPL互換ライセンスである必要があります。具体的なGPL互換ライセンスにはMITライセンス、修正BSDライセンスなどがあります。JavaScriptのプラグインなどがこれらであれば大丈夫です。

画像はフリー素材と銘打っていても、「成人向けサイト、公序良俗に反する使用の禁止」などの使用制限の規定があるとライセンス互換が保てません。例えば「いらすとや」の画像は100%GPLに組み込めません。

ほかにもGoogle FontsやFonts Awesomeで採用されているSIL オープンフォントライセンスはGPL互換ではないので、同梱することができません。(リンクタグやJavaScriptによる動的な読み込みによる利用でライセンスが両立するか分からないです…)

おまけ

ライセンス一般についてはこちらの記事で解説しています。
知らないで使うとトラブルになるかも…プログラム・画像のライセンス(概要編) - ICS MEDIA