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はじめての自作キーボード制作記

2022/10/31に公開約7,100字

キーボード制作記

こういった技術ブログのようなものを書くのが初めてです。
もしよろしければ自作キーボードについての観点や、こういったものの書き方についてのアドバイス等ください。

対象読者

これから自作キーボードを始めようと思っているが、選び方がわからなかったり、特殊なキー配列をソフトウェア側で変更して使っていて、そろそろハード側で変えたいなぁと思っている人向け

完成系

動機

いわゆる親指fnキーという配列を小学生のころに思いつき6年ほど使用していた。

ただAutoHotKeyというソフトウェアで再現していたため、時々反応が悪かったり別のPCを使用するとまた設定をし直してしまうことから、ハードウェア側で設定できないかを考えた結果、自作キーボードも視野に入れたキーボード選定がはじまった。

もともと使っていた配列について

簡単にいうと無変換キーを押している間だけ、IJKLが矢印キーになるという配列。
ついでにNとかMでbackspace,deleteになったり;でエンターになったりする。

選定

まず以下の条件に合致するキーボードを探し、リストアップした。

選定条件

must

  • 親指fnが可能であること
  • 75%~60%のサイズであること
    • 家と持ち運び兼用を考えていたため
  • オンボードに自作のキー配置を保存できること
  • macで使用可能なこと
  • 左下の小指で押すキーの数が4つであること
    • 多すぎると混乱するため
  • 左下にctrlキーがあること
    • 8年ほどwindowsユーザーをやっている都合上左下のctrlに慣れてしまい、かつcaps-lockにある位置のキーをIMEの切り替えに使用していたため

better

  • 独立したarrowキーがあること
    • ctrlとshiftとaltとarrowキーを押すことがちょくちょくあり、そこにfnキーなんか加わったら脳がパンクするため
  • us配列であること
    • 記号の位置も変えられるだろうしenterきーが近いのが使いたかった
  • 数字キーがあること
    • 数字キーがないレベルで小さいのはちょっとまだ怖い

リストアップしたもの

  • ErgoDash
  • ErgoDox EZ
  • MoonLander mark1
  • Amatelus73
  • ErgoArrows
  • Hatsukey69
  • NIZ:ATOM66
  • NIZ:MICRO84
  • Fortitude60
  • HHKB Pro2 Type-S
  • HHKB Pro JP Type-S

お店へ行く

実際に遊舎工房に行き上記の中で試し打ちできるものはすべて試し打ちをした。
うれしい誤算だったのはHHKBを試打できたこと。遊舎工房はHHKBのタッチ&トライスポットとなっており、HHKBの試打ができる。

判明したこと

試打をしたことにより複数の新たな条件が判明した

  • 格子配列苦手すぎる
  • 自分はスペースキーは左手でしか押さない
  • F1~F12は必須
  • 私はホームポジションから上段uは.25u,下段は.5uずれているものに慣れている

選定条件改善

例えばHHKBのJPは上段、下段ともに.25uずつずれていてかつ、US配列は左下にまずキーがなくctrlが割り当てられないのでHHKBはこの時点で候補から外れた。

当時はkeychronのQシリーズが1しか見つけることができず、重さの観点からこの時点で市販のキーボードはNIZのみが残った。

must

  • 左手で親指fnができる
    • 結局親指fnは左手だけでできればいいということが分かった
  • enterキーが押しやすい
    • まぁus配列だったりスペースキーが分離していて、いたり
  • 親指にenterが割り当てられるほどspaceキーが分離している
  • 数字キーがある
  • fnキーがある
  • 配列に問題がない
    • 格子型ではない
    • 上段は.25uずれており、下段は.5uずれている
  • key-mapが変更できる

better

  • 今すぐ購入できること
  • 右手でBキーが推せること
  • ホットスワップができること
  • 独立したアローキー があること
  • 非バッテリー駆動であること
  • 重量が軽いこと
  • ケースが必要な自作キーボードはそのケースが市販のもので済むのか

選んだもの

以上の条件からそれぞれをスコア化し、ランキングを付けたものが以下になる。

スコア自体はmustを満たしているものを3点、betterを満たしているものを1点として計算したものになる。

  • 29: 7splus
  • 28: j73gl基盤セット
  • 27: DZ60 type-c
  • 27: Hatsukey69
  • 27: HHKB Pro JP Type-S
  • 27: Angel70
  • 26: NKNL7EN
  • 25: NIZ:MICRO84
  • 25: NIZ:ATOM66
  • 24: Angel64
  • 23: Keychron Q1 QMK JP

というわけで7s-plusを購入

購入

この後遊舎工房に行き 7splus とキーキャップを購入。

購入したキーキャップ: Tai-Hao ABS Rain Drop

ちなみに一応このキーキャップを買えば多少隙間は生まれるもののすべてのキーを埋めることはできる

そのあと遊舎工房の工房を借り、組み立てをした。
組み立てをする際には工房でのサポートをしてくださいるSさんにとても助けられた。
Sさんは工房にいる遊舎工房の店員さんで、3000円での有償サポートを依頼すると、やってほしいことを伝えると割となんでも直してくれるというものになる。
また、工房にはアクリルカッターがあり、Sさんがアクリル板を用いたキーボードケースを作る技術を持っているため、Sさんがいるうちにぜひ一度工房を訪れてみてはいかがだろうか。

組み立て

はんだごてを基本持っていないため、工房で組み立てをした。(結局何回か通った結果、10000円ぐらいかかってしまった)
自分ははんだ付け等は一切したことがないため、工房ではんだ付けをしたが、ネットにある記事とSさんのサポート、工房にある道具で一通りうまくいくことができた。
問題点としては当時半導体不足によりコンスルーがなかったが、遊舎工房の店員さんが付属しているピンヘッダでもできるとのことで、それを信用しコンスルーを使用せずプロマイクロを組み立てたが、設計の問題で付属の脚がはまらず結局そこに関しては有償サポートに頼むことになってしまった。

ほかにも、もげマイクロ対策として有名なのがmicroUSBをグルーガンで埋めるというものがあるが、Sさんのアドバイスにより、グルーガンで埋めるのではなくUSBのとある部分にはんだを流し込んだほうが効果的であるというアドバイスをもらい実践した。

USBもマグネットのものを使い丁寧に使っていたつもりだったが、結局左側のマイクロUSBはもげてしまった。

それと、一応今回購入した7splusは分割して使うことを前提に作っていたが、どうやらオプションとしてつなげたまま使ってもよいことが分かった。
Bキーを両手で打つ筆者にとってこれはありがたく、分割せずに制作する予定だったが、工房で複数日に分けて運んでいた結果途中で折れ曲がってしまい、悲しいことにTRSケーブルがないと認識しない状態になってしまった。
10000円かかってしまったと書いたが、Sさんのサポートを考えると妥当で、もしはんだ付け等したことない人ならこういうことも頭に入れて予算を組むとよいと思う。

自作キーキャップ製作

正直スペースキーの分割数は三つでよかったため、中央の二つのキーを合体させるようなキーキャップを3Dプリンタに慣れるついでに製作した。

とある施設を利用して3Dプリンタを使用しているのだが、ちょうどこれを作り始めたときに壊れてしまったため、積層型で製作した。やすりがけしんどかった。

fusionが無料で使える環境だったのでfusionを用いて生まれて初めて作ったものがこれになる。

自作キーボードケース制作

ここからは自作キーボードケースの制作について書いていく。
動機としては今回購入した7splusは基盤が丸出しの状態で、横から埃が入ったり、分割キーボードを分割せずに使っている都合上、強度に不安があったので、ケースを制作することにした。

第一段階

私の環境として3Dプリンタを自由に使える環境にありかつ、3Dプリンタで物を作ってみたいと思っていたため、3Dプリンタを使用して制作していこうと考えた。
ボトムプレートがケースの形に横に伸びるようなものを考えて作った。

途中までは定規と気合で大きさをはかっていたが、だいぶきつかったので途中で製作者様にコンタクトを取りある程度の寸法を教えてもらった。

picture 1

ただしこのケースの制作中にどうやらガスケット方式などの複数の方式があることを知り、さらに慣れないfusionによる汚れに汚れまくったタイムラインに耐えられなくなり一度開発を中断した。

第二段階

下からねじで止める方式はどうやら安直すぎたようで、押し心地が多少悪くなるようだった。
3Dプリンタの大きさ的にも一体で出力するのは不可能だったので、周りから挟み込むようなケースに変更した。


チルト

それとは別に角度をつけるためのモジュールを作り印刷
ノートパソコンに少し載せた状態でも使う予定だったため、高さ調節ができるように設計した。

また、パーツの個所により必要な制度が変わるため、精度が求められる部分では薄く印刷し、求められない部分では大きく大きく印刷、その後溶着した。
ただこの溶着では見た目が汚くなってしまった。

その後ゴム脚を付けたのだが、そもそもつけ方がよくわからず、瞬間接着剤を用いたが、失敗。全体をうまく貼り付けることができなかった。
ただ、このゴム脚には一つ問題があった…

尊師スタイルへ

尊師スタイルを知らない人はぐぐってください。

尊師スタイルをする際に前回作った脚では、それがそのまま電源ボタンに当たってしまうという事態が発生した。
そのため、次はこの足の小型化を進めた。

下が新型、上が旧型。上側は溶着の都合で見栄えが悪くなっているのがわかる。

チルトパーツを装着している様子

これを最初と逆向きでつけることによって見事電源ボタンをよけ、尊師スタイルでノートPCを使うことに成功した。

使用感

実は本来購入予定だったキーが目の前で売れ切れてしまい、店員さんに似たような価格帯のタクタイルスイッチをお願いしたが、家で使ってみると思ったより柔らかかった。
結果的にこれに慣れるとタイピング速度が上がった気がするので問題なかったが、あまり店員さんの言うことをうのみにするのは良くないと思う。
 また以下のようなキーマップで使用しており、これによりcaps-lockでのIMEオンオフ切り替えの安定感、ESCキーが押しやすくなったこと、この二つが思っていたより入力体験の向上に役立った。

使用しているキーマップ

fnキー(スペースキー長押し)中のみ以下のレイヤーになる

購入前の不安点

JS配列をUS配列のキーボードでうまく使えるのか

この点は筆者が右シフトキーマップをうまく調整することによって問題なく使えている。
enterが押しやすくてよい。

スペースキーゲームするときに遠くないのかな

結構簡単に慣れた。

反省点

  • 特殊な配列であるということ。
    • そもそもなかなか会ったキーキャップがない。選べない。
    • 普通のキーボード使うときに死ぬ。
  • キーキャップがUS配列なものをJP配列として使っている。
    • 頭がこんがらがる。今後US配列にて運用予定。
  • 材料費では30000円行かないぐらいで作れたはずが、ずるずると長引いてしまい結局工房利用代に15000以上かかってしまったこと
  • コンスルーを使用しなかったこと。
    • 遊舎工房の「コンスルーがなくてもなんとか作れるよ」「グルーガンで固めるよりmicroUSBははんだで止めるといいよ」この二つのアドバイスに従ったことにより、もげマイクロを修復する際にもう一度はんだをはがして付け直す必要ができてしまった。すべてはコンスルーを使用しなかったことによるものなので、コンスルーは使用したほうが良い。
  • 事前に使えるレイヤー数を確認していなかったこと。
    • このキーボードではviaやremap-keysでは3つ使うことが出来るようだ。3つは当初自分が想定していた使い方はできたのだが、その後いろいろな使いかたを思いついたが試すことが出来なかった。レイヤーの余裕は心の余裕。
      • 後日QMK Frameworkを使うことによってレイヤー数を増やせることが判明。普段C原語なら書いているので、今後挑戦してみようと思う

今後の展望

本当に自作キーボードである必要あった?

もともとキーボードを自作したいとは思っておらず、理想のキーボードがなかったことから自作キーボードをした。
結果的に今まで触れたことのない経験を得られたが、その後、QMKのホールド、タップというものを知り、別途無変換キーに当たるキーがなくてもスペースキーのholdをfnキーに充てることによって一般のキーボードでもキー配置を変えることができることを発見。
通常の配列でも筆者の理想の配列にすることが出来ることが分かった結果、今現在唯一keychronがQMKを使用して変えられるキーボードを販売しているので、次回購入する際にはメンテナンス性等の観点からそちらを購入しようと思っている。(お願いだ、早く円安ドル高解決してくれ)

薄型キーボード良いかも…

あと「き」を入力する際の中指の下のKからIに移動する動きがやりずらく薄型キーボードもいいのかも…と思った。

ドラムパッド

どうやらMIDIキーボードのなんかも割り当てられるらしい。ちょうどドラムパッドを買おうと思っていたから、一度試してみようと思う。

感想

どれだけ道具を自分に合わせ、自分を道具に合わせるのか、そういったバランスを考えることが難しかった。

そして、はんだ付け、3Dプリンタといった経験が得られたのは本当に大きかった。

最後に親身になって相談に乗ってくれた遊舎工房のS様、7splusの制作者のサチリル酸様、本当にありがとうございました。

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