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方法序説

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概要

本記事では、ルネ・デカルトの代表作である「方法序説」の第二節についてまとめたいと思う。

方法序説には彼が研究活動の半ばで確立した、理性を正しく導き、学問において真理を探究するための方法を体系的にまとめられてる。

書籍としての方法序説は、もともとデカルトにより執筆された科学論文集の概要部であったが、その部分のみが抜粋され一冊の書籍として仕立て上げられたものである。

デカルトと言えば、「我思う、故に我あり」で知られている通り哲学者としての功績が目立つが、数学者としても後世に語り継がれるほどの功績を残しており、例えばデカルト座標系などはその際たる例である。この功績によって従来独立していた代数学と幾何学が座標を介して接点を持ったのである。上記のようにデカルトは優れた自然科学者でもあった。

そこで本記事では、上記のデカルト流の思考法について具体的に論じられている、方法序説の第二説についてまとめたいと思う。

理性を正しく導くための4つの方法

第二節では、物事を考えるにあたって次の4つの原則に従えば、再現性を持って正しい結論へ至るための思考を再現できると説く。

その4つの原則とは次のとおりである。

  1. 明証性の規則
  2. 分析の規則
  3. 順序の規則
  4. 枚挙の規則

その各々について具体的に内容を紹介したいと思う。

1. 明証性の規則

明証性の規則とは次のように説明されている。
自身が正しいと思うこと以外の一切を排除すること

これは、何か学問を学ぶ際や直面している問題について考える際に、自分が完全に理解していない事柄の一切は排除し、完全に理解していることのみを思考の土台とすることを意味する。
また、注意深く即断と偏見を避けることを思考の原理原則とすることを主張している。

2. 分析の規則

分析の規則は、複雑な問題に直面した際に、その問題をできる限り考えやすくなるように細かく多く分割することと説明されている。

3. 順序の規則

順序の規則の意味することは、順序に従って思考を導くことである。
これは、最も簡単にわかりやすいものから始めて、階段を上るように順を追って複雑な認識へと至ること。また、一見順序がないように見える現象に対してさえも順序関係を想定し思考すること。

4. 枚挙の規則

枚挙の規則は、名称性の原理、分析の原理、順序の原理に従って導かれた結論に対して、誤りがないかを全体的に振り返ることを意味する。

具体例

まとめ

以上をまとめると、デカルト流の思考法とは、学問や困難な問題等に面した際に、次の手順を踏むことをによってその解決を試みるフレームワークのことであると言える。

  1. 明証性の規則に従って、まず自分が確実に理解・認識している事実のみを考察材料として用いること。
  2. 分析の規則に従って、複雑な問題に対し、その問題ができる限り考えやすくなるように細かく多く分割すること。
  3. 順序の規則に従って、分析の原理で分解された多くの小問題を順序に従って考えて結論を出すこと。後先のない問題の間に秩序を形成すること。
  4. 枚挙の原理にしたがって、順序の原理で導いた結論の粗を精査する。

こうしてみると、割と当たり前のことを言っているように見えるのだが、400年前に上記の論理的思考のフレームワークを体系的にまとめ上げ、言語化するのは容易なことではないと思う。

自身が方法序説を読んだのは高校時代のことであり、遠い昔のことなのだが、彼の方法論は確実に現在エンジニアとして働く自分の血となり肉となっているので、改めて記事としてまとめたかったのある。

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