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セキュリティ業界の新定番「CNAPP」について調べてみた

2024/12/07に公開

CNAPPとは何か

クラウド技術が急速に進化し、企業がクラウド環境を活用する際のセキュリティや管理の課題が増えています。このような背景の中で注目されているのが、CNAPP(Cloud-Native Application Protection Platform)です。本記事では、CNAPPとは何か、その具体的なソリューション内容、そして今後の展望について解説します。

CNAPPとは何か

CNAPP(Cloud-Native Application Protection Platform)は、クラウド環境で稼働するネイティブアプリケーションのセキュリティと保護を目的とした統合型のプラットフォームです。これには、クラウド上のワークロード、コンテナ、サーバーレスアプリケーション、インフラストラクチャなどの保護が含まれます。

従来のセキュリティ対策はオンプレミス環境に特化したものが多く、クラウド環境におけるダイナミックでスケーラブルな特性には適していませんでした。一方で、CNAPPはクラウドネイティブな特性を最大限に活かし、開発から運用までのライフサイクル全体を通じてセキュリティを強化することを目指しています。

CNAPPは具体的にどういうソリューションか

CNAPPが提供する主要なソリューションには以下のような機能が含まれます:

1. クラウドセキュリティポスチャ管理(CSPM)

クラウド環境の設定ミスや脆弱性を検出し、修正案を提示する機能です。例えば、AWSやMicrosoft Azureでの不適切な権限設定やパブリックに公開されているストレージバケットを検出します。この機能により、データ漏洩やセキュリティインシデントのリスクを低減できます。

具体例:Azure Security CenterやAWS Configを利用したポスチャ管理

2. ワークロード保護(CWPP)

仮想マシン、コンテナ、サーバーレスアプリケーションなどのクラウドワークロードを保護します。例えば、Google CloudのCompute Engine上で稼働する仮想マシンに対してマルウェア検出やランタイム脅威防止を提供します。また、Kubernetesクラスタ上のコンテナも対象です。

具体例:Palo Alto NetworksのPrisma CloudやTrend Micro Cloud One

3. コンテナセキュリティ

コンテナイメージのスキャン、ランタイムの行動分析、脅威のリアルタイム防止など、コンテナ環境固有のセキュリティを強化します。これにより、例えばDocker Hubから取得したイメージに潜む脆弱性を事前に検出し、適切な対策が可能になります。

具体例:Aqua SecurityやSysdig Secure

4. DevSecOpsの統合

セキュリティを開発プロセスに組み込むことで、コードレベルの脆弱性を早期に検出し、修正します。例えば、GitHub Actionsを使用してCI/CDパイプライン内で脆弱性スキャンを実行するケースがあります。これにより、開発スピードを犠牲にせず、セキュリティを強化できます。

具体例:SnykやCheckmarx

5. ゼロトラストセキュリティ

ユーザー、アプリケーション、データに対するアクセス制御を厳格に行い、不正アクセスを防ぎます。例えば、Google Cloud Identityを活用して、必要最小限のアクセス権を割り当て、疑わしい挙動をリアルタイムでブロックする仕組みです。

具体例:OktaやZscaler

CNAPPはこれらの機能を統合的に提供することで、複数のセキュリティツールを個別に導入する必要をなくし、効率的なセキュリティ運用を可能にします。

今後の予想

CNAPP市場は、クラウド採用率の増加やサイバー攻撃の高度化に伴い、今後も成長を続けると予想されています。以下のようなトレンドが見込まれます:

1. 統合型プラットフォームへの需要拡大

企業はセキュリティツールの分散管理から、統一されたプラットフォームによる一元管理を求めています。CNAPPはそのニーズに応える形で市場シェアを拡大するでしょう。

2. AIと自動化の進化

AIを活用した脅威検知やリスク評価、自動化された対応がCNAPPの進化を後押しします。これにより、運用負荷の軽減と精度の向上が期待されます。

3. セキュリティのシフトレフトの加速

開発プロセスの早い段階でのセキュリティ統合がさらに進み、セキュリティと開発の連携が深まるでしょう。

4. 中小企業への普及

これまでCNAPPは大企業向けのソリューションとされてきましたが、手頃な価格と簡便な導入が進むことで、中小企業への普及が進むと考えられます。

まとめ

CNAPPは、クラウドネイティブな環境に最適化された統合型セキュリティプラットフォームとして、今後ますます注目される存在です。クラウド技術の進化とともに、CNAPPも進化し、企業のセキュリティ対策を支える重要な役割を担うでしょう。これを機に、クラウドセキュリティへの取り組みを見直してみてはいかがでしょうか。

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