進捗報告のやり方 - Slava Akhmechet
- この文章は、Slava Akhmechet氏の書いたブログ・エントリHow to send progress updatesを日本語に翻訳した文章です
- 本人から翻訳の許可をいただき、翻訳を行いました
- 良質な文章を紹介できる機会をもらえたことを、この場で感謝します
価値のある仕事をしていると、遅かれ早かれ人々は興味を持ち、進捗状況の報告を求めるようになる。進捗報告のやり方は、四半期ごとの投資家向け報告、上司への週次報告、関係部署へのメールなど、さまざまだ。この場では、進捗報告のための効果的な方法を紹介しよう。
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まずは自分の役割を理解しよう。そして、一つ一つの報告ごとに、自分がその役割をよく果たしていることを示す証拠を積み重ねよう。人々があなたの報告を求めていることは、製品や機能をデリバリーする責務、投資資金、会社の予算、評判など、何かをあなたに託していることを意味する。人々の信頼を大切にし、責任を真摯に受け止めていることを伝えよう。
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報告の頻度に多少のランダム性を持たせよう。人々は定期的な頻度を望んでいると思いがちだが、実際にはある程度のランダム性があった方が満足度が高い。例えば、毎週火曜日にプロジェクトの報告を送ると、報告は事務的なものとなり、誰も読まなくなってしまうだろう。代わりに、2〜3週間に一度報告を送るようにすれば、読者は次に新しい情報があるだろうと期待し、楽しみにしてくれるはずだ。
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次の報告内容が何になりそうかを事前に把握し、その実現に向けて取り組もう(進捗があってから報告し、その内容を送るのではない)。社内向けの「ヘッドライン駆動開発」のようなものだ。ヘッドライン(要点)がなければ報告はなく、後から良いヘッドラインを作成することはできない。
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常に、まず一文で要約(TL;DR)を示し、次にプロジェクト全体の目標を2〜4文で再度整理しよう。読者はあなたより賢いが、非常に忙しく、あなたの仕事については何も記憶していないと仮定しておこう。
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人々は嬉しいサプライズを好む。しかし、偶然にサプライズに遭遇する機会は頻繁には訪れない。無理のない範囲で、意図的に嬉しいサプライズを仕込み、報告に含めよう。
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人々は不快なサプライズを嫌う。当然、可能な限り避けよう。しかし、不快なサプライズを避けられない場合は、2段階の対応を取ろう。まず、グループ全体に伝える前に、関係者一人ひとりに個別に話そう。次に、ネガティブなニュースは、2〜3段階に分けて段階的に伝えよう。例えば、問題の可能性をまず穏やかに示唆し、人々に調整する時間を与える。次に、問題を事実として述べる。(ただし、本当に緊急事態や危機的状況が起こっている場合、話は別だ。)
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変更点は明示的に認めよう。前回「a」と言い、今回「b」と言った場合、「b」が「a」と矛盾するのであれば、不整合を説明する必要がある。人々は、認められた不整合は「ビジネス上のコスト」と認識するが、認められない不整合は「約束違反」と見なす。
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意図的であれ偶発的であれ、誰も侮辱してはならない。私はかつて、「我々のエンジニアがあまりにも無知すぎるせいで出荷することができない。我々にはもっと優秀なエンジニアが必要だ」といった趣旨の報告を、エンジニア本人たちを含む全員に送ってしまったことがあった。事実だったかもしれないが、無遠慮だし、不要なことだった。そんなことはしないでほしい。
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人々は、舵取りに確かな手腕を求めている。あなたの報告のトーンは、確かさを反映しているべきだ。パイロットの無線交信のテキスト版のようであってほしい。(比喩が混ざってしまったが。)
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多くの人々は自分の更新内容が個人的評価の対象になることを懸念し、あらゆる文章を徹底的に無難なものに修正してしまう。これは避けるべきだ。更新内容は全て仕事に焦点を当て、自分について語らず、評価は他人に任せよう。(私は自分を第三者の視点で、仕事から物理的に離れた場所に位置づけ、そのキャラクターが更新を書いていると想像する。)
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読み手が知りたいであろうトップ3の質問を把握し、その答えを可能な限り明確に述べよう。
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懸念事項や失敗についても、専用のセクションを設けよう。正直であり、良い計画を持ち、パニックにならないようにしてほしい。人々は誠実さと脆弱性に惹かれるが、無能さや芝居がかった態度は敬遠してしまう。
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報告の目的は、あなたのプロジェクトが現在どのような状況にあるかを、読み手があなたに尋ねることなく、いつでも知ることができるようにすることだ。
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「イーロン[1]が四半期決算説明会でウォール街のアナリストを怒鳴りつけるなら、俺だってできるだろ」だって? もしあなたが業界全体の時価総額を合わせた額を超える企業を築いたなら、私の助言を無視しても構わない。
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今までに書いたヒントは、あなたが無能であれば効果がない。
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訳註:アメリカの起業家、イーロン・マスク(Elon Musk)のこと。テスラの時価総額は、テスラ以外の自動車業界企業の時価総額を合わせた額を超えていた。 ↩︎
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