「清流の国ぎふ」DX推進フォーラム 参加レポート
岐阜は地元ではありますが、岐阜市のあたりはよく知らない伊藤です。
2024年11月14日、岐阜県庁で開催された「DX推進フォーラム」に、JDLA(日本ディープラーニング協会)の出展サポートがてら参加してきました。
1. 講演1
演題:DXの思考法~地方にこそDXの場がある
講師:西山 圭太氏(一般社団法人日本ディープラーニング協会 理事、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授)
産業分野でのDX化やディープラーニング活用について、製造業や病院での実例とともに、身近なことであると感じやすいよう具体例を交えてとてもわかりやすく説明されていました。
- DXは道具ではなく、考え方。組織を横串に考えて導入する必要がある。
- 全然違う業種でも、ITツールは応用できる。
- ツールを導入しても使ってもらうには地道な啓蒙活動が必要。
など、DX化で必ず出てくる課題(IT企業ですら同じ話題になります)についても、参考になる方は多かったのではないかと思います。
2. 講演2
演題:生成AI時代の芸術 テクノロジーが切り拓く表現の新地平
講師:真鍋 大度氏(アーティスト、プログラマ、コンポーザ)
次は、文化分野から。
真鍋さんは、リオオリンピック閉会式や、Perfumeのライブパフォーマンス演出で有名な「Rhizomatiks」の創業メンバーです。
残念ながら撮影禁止だったので、画像は無いのですが、
1時間たっぷり、リオオリンピックでのコンテンツの解説とその裏側での苦労話、「思いつく限りのトラブルを想定して準備した」「それでも現地で急遽対応が必要で無事乗り切った」などとても面白い話を聴くことができました。
生成AIに関しても最新技術を使ったその場でのデモや、数々の問題提起、著作権の話など多面的かつ実務に即した話が聞けました。
リアルタイム動画生成のデモでは、「数キロ離れた場所にある、RTX4090を4枚(!!)挿したコンピュータが生成してます。」とさらりと。
とくに、生成AIで作品を作ることに関するRhizomatiksでの取り組みの話はとても興味深かったです。
- Rhizomatiksで過去発表した作品すべての動画を1フレームずつ画像に分解。
(全部で17万枚だったかな?) - このデータを、自社で作ったまっさらなDiffusion Modelに与えて学習させる。
この作業によって、「完全Rhizomatiksオリジナル画像生成AI」を作られたとのこと。
これを商用利用可能として5エディション用意し、イベントで1つ550万円で販売。
完売したとのことでした。これを買われた方はこのAIを使ってどんなビジネスをされているんでしょうね。
アーティスト集団の会社ならではの発想で生成AIをマネタイズしている点はすごい。
「画像はいくらでも生成できるので、生成された画像にはもはや価値は無い。」という発言にも説得力がありました。
3. 展示ブース
- 日本ディープラーニング協会
- ソフトピアジャパン
- テクノプラザものづくり支援センター
- 真鍋大度 新作個展ダイジェスト動画
- 情報科学芸術大学院大学[IAMAS]
- 岐阜県
JDLAの他は、当然ですが、岐阜県内の施設からの出展でした。
講演終了後のJDLAブースの様子ですが、G検定/E資格に興味を持った方や、ディープラーニングの導入ついて相談される企業の方など、短時間ながら活気がありました。
また、JDLAの資格試験合格者コミュニティであるCDLE(Community of Deep Learning Evangelists)による、CDLE名古屋の有志が開発した生成AIを使ったモンスターバトル「チャトモン」の展示とデモも行いました。
4. 所感
講演会場はほぼ満席。注目度は高いようです。講演後の質問も活発でした。
「DX推進といいつつ、ちょっとやり方が旧いところがあるのでは?」と思う点もありました。
参加券は、ハガキが郵送されてきました。「当日忘れずにお持ちください。」
手間もコストももったいないのにと思いつつ、受付で渡すだけというスムーズさは斬新な感じがしました。あとの集計は大変かも知れませんが、参加者フレンドリーな面も確かにありますね。
行政主催のイベントなので、いろいろと抜かりがありません。
手話による同時通訳と、登壇者の話すことがリアルタイムにテキスト化されて大きなモニターに表示されるようになっており(なんと4人がかり!)、とても読みやすかったです。
「今時なら手話もAIアバターが使えるのではないか」
「4人も人手をかけずに、Speech-to-Textで自動的にできるのではないか」
などとも思ったりもしましたが、一字一句拾えばいいわけではなく絶妙に要約されていたりしてとても読みやすかった。このあたりはさすがです。
(前日のNVIDIA AI Summitでの自動翻訳がとても読みづらかったので、余計にそう感じました。)
最後に個人的な話ではありますが、出身が岐阜県、岐阜県内の高校を卒業、ソフトピアジャパンとIAMAS立ち上げ当時に仕事で関わった経験があるということもあり、妙に親近感の湧くイベントでした。
今回のようなイベントが定期的に開催されて、県内のDXが進むようになるといいですね。
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