NotebookLMで生成AI利用ガイドラインを作ってみる
庭にやってくる野鳥を楽しむためのIoTガジェットを導入したコネクトームデザインの伊藤です。
毎週のように新しい生成AI、新しいLLM(Large Language Model)が発表されていますが、最近は「如何に簡単に使えるようにするか」という視点のサービスも増えてきてうれしい限りです。
その中で最近の私のお気に入り、Google NotebookLMを紹介したいと思います。
1. NotebookLM
2024年11月上旬時点で組み込まれているLLMは、Gemini 1.5。今のところは無料で使えます。
NotebookLM
PDFをアップロードしたり、URLを指定したりするだけで、RAG(Retrieval-Augmented Generation)が作れてしまいます。
※もちろん、クラウド上で動作するLLMなので、機密情報のアップロードなどはしないようお気をつけください。
2. 生成AI利用ガイドライン
どんどん便利になる一方で、生成AIを業務利用するときに気をつけなければならないこともたくさんあります。そのために「生成AI利用ガイドライン」を策定している企業も増えてきています。いざこれを自社で作ろうとするとプライバシーポリシー策定などと同様に専門的な知識も必要でなかなか大変な作業となります。
ですがそこは、コネクトームデザインも正会員として参画している「日本ディープラーニング協会 (JDLA)」が、ひな形として利用できる資料を公開してくれていますので活用しましょう。
生成AIの利用ガイドライン
3. NotebookLMを使ってみる
まずは、JDLAのサイトから「生成AIの利用ガイドライン【条項のみ】(第1.1版, 2023年10月公開)」のdocxファイルをダウンロードして、中身を見てみます。
※NotebookLMにアップロードするため、PDFに変換しておきます。
NotebookLMにアクセスして、新規ノートブックを作成し、ソースを追加します。
)
数秒待つと、要約が作成されます。
「よくある質問」がすでに作られているので、見てみます。
もう一つ「学習ガイド」も確認してみましょう。
元の文書を読むより、短時間で内容を理解することができそうです。
基礎知識のある方にはFAQを使って気になる部分を探してみたり、初めての方は学習ガイドに従って読み込んでいくと理解が早まりそうです。
4. 自社にガイドラインを展開するためにいろいろ試してみる
元のガイドラインはひな形なので、空欄になっている部分もあります。ここも手伝ってもらえるか試してみます。
下部のチャット欄を使います。
※チャット欄に入力する際、変換操作などで予期せず送信されてしまうことがあるので、長めのプロンプトを書きたいときは、メモ帳などで文章を整えてから入力するのがよさそうです。
「当【社】では以下の用途・業務での生成AIの利用を禁止します。」の欄に記載する内容のアドバイスをください。
次に、生成AIガイドラインを全社展開する際に、「これだけは読んでおいて」とお願いしやすいよう、要約を作ってもらいます。
技術者でない社員も含め、全社員に必ず理解しておいて欲しい内容について箇条書きでわかりやすい言葉でまとめてください。
お願いはしたものの、やはり理解されているかどうか心配になるので、簡単なテストを作ってもらいます。とっつきやすいよう、クイズ形式にしてみましょう。
技術者でない社員も含め、全社員がこのガイドラインをちゃんと理解してくれているか確認するための、クイズを10問作ってください。
これを全社員に配って回収するのは大変なので、ここはGoogleFormを使って集計まで簡単にできるようにしたいですね。作ってくれるか試してみます。
このクイズをGoogleFormにしてください。
「残念ながら、現在の私の機能では、Google Formを直接作成することはできません。」とあるように、やはりまだ直接Formを作ることはできないようですが、「ここまでやってくれたら助かるな」と思ったレベルの回答がきました。このままFormに項目設定していけば作れそうです。
5. 最後に、自社用の生成AIガイドラインを作ってみます
できればそのまま使える文書を作ってしまいたいところです。
自社用ガイドラインを作ってもらいましょう。(架空の会社を想定しました。)
自社用にそのまま使えるよう、生成AI利用ガイドラインを作ってください。
会社名は、「日本製造株式会社」です。
業種は、「製造業」です。自動車の部品を作っています。
社員は300人で、ソフトウェアに関する知識が豊富な人も、知識がまったく無い人もいます。
これから、社内業務を効率化するために、生成AIを全社で利用していきます。
生成AIの当初想定している利用用途は、「社内での技術伝承」です。熟練者の専門的な知識、いわゆる暗黙知を、若手社員にもわかりやすいよう形式知化して、問い合わせできるLLMを作ります。
自社の技術情報、機密情報、個人情報を生成AIに入力することは禁止します。
プロンプトをきちんと取り込んで、そのまま使えそうなものが出てきました。
あとは、技術、法務部門の方と一緒に、細部の確認と微調整をすれば使えるのではないでしょうか。
「ガイドラインを作らないといけないけどなかなか手がつけられなくて……。」などとお困りの方は、試してみてはいかがでしょうか?
※参考のために、以下に出力された全文を掲載します。
※NotebookLMの出力をそのままコピー&ペーストしています。
日本製造株式会社 生成AI利用ガイドライン
制定: 2023年11月15日
目的
このガイドラインは、日本製造株式会社 (以下、「当社」) の社員が、業務でChatGPTなどの生成AIを利用する際に、安全かつ適切に活用するためのルールと注意点を定めたものです。生成AIは、業務効率化や新しいアイデア創出に役立つツールですが、使い方を誤ると、法令違反や情報漏洩などのリスクがあります。このガイドラインをよく読み、理解した上で、責任を持って生成AIを利用してください。
対象となる生成AI
本ガイドラインが対象とする生成AIは、OpenAI社が提供するChatGPTです。 それ以外の生成AIの利用を希望する場合は、情報システム部門に相談してください。[1, 2]
生成AIの利用目的
当社では、生成AIを以下の目的で利用します。
社内での技術伝承: 熟練社員の専門的な知識や経験を、若手社員が容易に理解し、活用できるよう、生成AIを活用して形式知化します。
業務効率化: 報告書作成、データ分析、翻訳など、様々な業務に生成AIを活用することで、業務効率の向上を目指します。
1. 生成AI利用の基本原則
法令遵守: 生成AIの利用にあたり、著作権法、個人情報保護法、不正競争防止法などの関連法令を遵守してください。
倫理的利用: 生成AIを利用する際は、倫理的な観点も考慮し、差別的な表現や虚偽の情報の発信など、社会的に問題となる行為を行わないでください。
情報セキュリティの確保: 生成AIに入力する情報、および生成AIから出力される情報は、適切に管理し、情報漏洩や不正アクセスを防いでください。
2. 生成AIへの入力データに関する注意点
禁止事項: 以下の情報は、生成AIに絶対に入力しないでください。[3-5]
個人情報: 顧客、社員、取引先など、あらゆる個人に関する情報 (氏名、住所、電話番号、メールアドレスなど)
会社の機密情報: 製品の設計図、製造プロセス、顧客リスト、営業戦略など、社外秘とされている情報
取引先との契約で秘密扱いになっている情報: 秘密保持契約 (NDA) を締結している情報など
著作権保護: 他人が作成した文章、画像、音楽などを生成AIに入力する場合は、著作権侵害に該当しないよう、以下の点に注意してください。[2]
生成AIに入力する著作物の利用目的が、元の著作物と同一または類似するものを生成することではないことを確認してください。
生成AIによって生成された文章や画像が、既存の著作物と同一または類似している場合は、著作権侵害になる可能性があります。
登録商標・意匠の利用: 登録商標や意匠 (ロゴ、デザインなど) を生成AIに入力することは問題ありませんが、生成AIによって生成された商標や意匠を商用利用する場合は、商標権・意匠権侵害に該当しないか確認してください。 [2]
3. 生成AIの出力結果 (生成物) を利用する際の注意点
内容の真偽確認: 生成AIは、インターネット上の膨大なデータから文章や画像を自動的に生成する技術であるため、生成物の内容が常に正しいとは限りません。生成物を使用する際は、必ず内容の真偽を確認し、裏付けを取ってください。[4]
著作権侵害: 生成AIによって生成された文章や画像が、既存の著作物と同一または類似している場合、それらを勝手に利用すると著作権侵害になる可能性があります。特に、特定の作者の作品だけを学習させたAIは使用しないでください。[4]
商用利用: 生成AIによって生成された文章や画像を商用利用する場合、生成AIの利用規約を確認し、商用利用が許可されているか確認してください。[6]
著作権の発生: 生成物に著作権が発生しない可能性もあります。生成物をそのまま利用するのではなく、可能な限り自分で修正を加えるようにしてください。[5]
OpenAI社のサービス利用におけるポリシー: ChatGPTなどのOpenAI社のサービスを利用する場合は、以下の点に注意してください。[6]
アダルトコンテンツ、アダルト産業、出会い系アプリに関する利用は禁止されています。
許可なく法律実務を行うこと、または資格のある人が情報をレビューしないままに特定の法的助言を提供することは禁止されています。
医療、金融、法律業界、ニュース生成、ニュース要約など、消費者向けにコンテンツを作成して提供する場合には、AIが使用されていることとその潜在的な限界を知らせる免責事項をユーザーに提供する必要があります。
ChatGPTなどOpenAI社のサービスを利用して生成されたコンテンツを公開する際には、AIを利用した生成物であることを明示する必要があります。
4. その他
責任の所在: 生成AIの利用によって発生した問題や損害については、利用者本人が責任を負うことになります。
ガイドラインの改定: 本ガイドラインは、必要に応じて改定される場合があります。最新版の内容を確認するようにしてください。
相談窓口: 生成AIの利用に関する不明点や疑問点がある場合は、情報システム部門に相談してください。
5. 罰則
本ガイドラインに違反した場合、就業規則に基づき懲戒処分が下されることがあります。
附則
本ガイドラインは、2023年11月15日から施行する。
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