ホームポジションで矢印キー、BS、Enterが打てる!?キーボードリマッピングツール「AutoHotKey」の使用例のご紹介
はじめに
この記事では、私が便利すぎて手放せなくなってしまった、無料キーボードリマッピングツールであるAutoHotKeyの使い方と、5年以上使ったうえでたどり着いた設定内容をご紹介します。
この記事ででできるようになること
この記事を見ながらAutoHotKeyをインストール・設定することで、普段使わない無変換キーを活用し、キーボードの動作を以下のようにカスタムできます。
キーの組み合わせ | 動作 |
---|---|
無変換+W または 無変換+I | ↑ |
無変換+A または 無変換+J | ← |
無変換+S または 無変換+K | ↓ |
無変換+D または 無変換+L | → |
無変換+O | -(ハイフン) |
無変換+「;」 | Back Space |
無変換+「:」 | Delete |
無変換+Space | Enter |
キーボード上に表すと以下のようになります。
青が元のキーの場所、オレンジがリマップ後のキーの場所です。
ホームポジションから離れている使用頻度の高いキーが、ホームポジション内に収まっていることがわかります。
このカスタマイズのステキなところ
ホームポジションに無く、指を伸ばさなければいけないキーである矢印、BackSpace、Delete、Enter、 ー(ハイフン) 、Home、Endキーがホームポジション内で打てるようになります。
これにより、指を伸ばさなくて良い分のタイピング速度が上がるだけでなく、「離れたキーを押すことによるタイプミス」が格段に減ります。この「タイピング速度増加」と「タイピングミス減少」により、圧倒的に文字入力が早くなります。
また、矢印キーを多用するExcelの作業速度も倍増します。
AutoHotKeyのドキュメントを参照 or 生成AIにスクリプトの作成を丸投げすることで、キーの組み合わせや動作を自由にカスタマイズすることができます。
設定手順
AutoHotKeyのインストール
こちらからAutoHotKeyのサイトにアクセスし、Downloadを押下します。
ダウンロードするバージョンを選択する画面が出てくるので、v2.0の方を押下します。
セットアップファイルをダウンロードできたら、ダブルクリックして実行し、表示されるポップアップに従ってインストールを進めてください(自分はすべてデフォルトのまま進みました)。
最後に以下の画面になるので、New scriptを押下します。
任意のファイル名を入力して、Enptyを選択し、Editを押下します。
私は、ファイル名をsample
と入力して進めます。
スクリプトを書くエディタを選択します。
今回はメモ帳を選択していますが、お好きなエディタがある人はそちらを選択していただいても大丈夫です。
選択したら、OKを押下します。
OKを押下すると、メモ帳が開きます。
スクリプトの作成
開いたファイルに以下のスクリプトをコピー&ペーストしてください。
コードブロックをオーバーマウスすることで表示される右上のコピーボタンを押下すると、コード全体をコピーできます。
vk1D & w:: Send("{Blind}{Up}")
vk1D & i:: Send("{Blind}{Up}")
vk1D & a:: Send("{Blind}{Left}")
vk1D & j:: Send("{Blind}{Left}")
vk1D & s:: Send("{Blind}{Down}")
vk1D & k:: Send("{Blind}{Down}")
vk1D & d:: Send("{Blind}{Right}")
vk1D & l:: Send("{Blind}{Right}")
vk1D & sc027:: Send("{Blind}{BS}")
vk1D & sc028:: Send("{Blind}{Delete}")
vk1D & Space:: Send("{Blind}{Enter}")
vk1D & o:: Send("{Blind}-")
vk1D & h:: Send("{Blind}{Home}")
vk1D & e:: Send("{Blind}{End}")
スクリプトについてちょっと解説
スクリプトの基本的な書式は以下です。
条件 :: 結果
一行目のコードをわかりやすく置き換えると以下のようになります。
vk1Dは、無変換キーの内部コードです。
vk1D & w:: Send("{Blind}{Up}")
↓
無変換 & wキー :: ↑を出力
{Blind}
が無くても所望の動作はしますが、{Blind}
を記述することで、Shiftキーを押しながら矢印キーを使えるようになります。
詳細は以下のリファレンスを参照してください。
スクリプトをペーストしたら、上書き保存します。
AutoHotKeyの実行
ahkファイルをダブルクリックします。
何も応答はないですが、AutoHotKeyがバックグラウンドで動き出します。
AutoHotKeyが実行されているかどうかは、タスクバーの隠れているインジケーターにHアイコンがあるかどうかで確認できます。
オーバーマウスすると、実行中のahkファイル名が表示されます。
動作確認
スクリプトが実行していることを確認したら、実際に「無変換キー」を押しながらキーを押してみてください。
キーの組み合わせ | 動作 |
---|---|
無変換+W または 無変換+I | ↑ |
無変換+A または 無変換+J | ← |
無変換+S または 無変換+K | ↓ |
無変換+D または 無変換+L | → |
無変換+O | -(ハイフン) |
無変換+「;」 | Back Space |
無変換+「:」 | Delete |
無変換+Space | Enter |
PC起動時に自動的に開始させる
ahkスクリプトファイルをコピーし、エクスプローラーのアドレスバーにshell:startup
と入力し、スタートアップフォルダに遷移します。
このフォルダにあるファイルは、PCが起動するときに自動的に実行してくれます。
余談ですが、私は、仕事のPCのこのフォルダにTeamsやOutlookなどのショートカットファイルを配置し、始業時に各ツールが自動起動するようにしています。
このフォルダに、先ほど作成したahkファイルを移動します。
これにより、次回以降パソコンを起動したときに、自動的にahkファイルが実行され、先ほど設定したキーボードの設定が自動的に有効になります。
AutoHotKeyの機能はこれだけではない
今回の記事では、AutoHotKeyのキーマッピング機能を利用した作業効率化方法をご紹介しましたが、AutoHotKeyの機能はキーマッピングだけではありません。
スクリプトで実現できることであれば、以下のような様々な機能を実装することができます。
- キーボードにないキーの登録
- 例えば、Pauseキーを別のキーにリマップすることで、Pause.exe(Pauseキーを押すとウィンドウを最前面に固定するアプリ)をPauseキーのないパソコンでも使えるようになります。
- マクロ作成
- 頻繁に繰り返す定型作業(メールの署名入力、Excel作業など)を自動化できます。
- テキストの置換
- IMEのユーザ辞書のように、特定の文字列を入力するときのアクションを定義できます。
- プログラムの起動
- 特定のキーを押下することで特定のソフトウェアを起動するスクリプトを作成することで、キーを押すだけで任意のスクリプトを起動できるようになります。
AutoHotKeyのドキュメントを参照 or 生成AIにスクリプトの作成を丸投げすることで、実現したいことが実現できると思います。
まとめ
今回は、無料のキーリマッピングツールであるAutoHotKeyをご紹介しました。
一度入れてしまえばずっと有効になるので、興味があればぜひ試してみてください。
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