ソフトウェア資産化ポエム
あるスタートアップが新しいSaaSプロダクトを開発しています。エンジニア10人、月給一人100万円なので、月の人件費は1000万円です。
経営者は「このプロダクトは絶対売れる」と確信しているので、会計士に相談して開発費の8割を資産化することにしました。月1000万円の開発費のうち800万円を資産として計上し、費用は200万円だけです。他の経費が月300万円、売上が月600万円あるので、PLは月100万円の黒字になります。経営者は「うちは利益が出ている」と喜び、投資家にも胸を張って報告します。
しかし実際のキャッシュは違います。売上600万円から人件費1000万円と経費300万円を引くと、毎月700万円が出ていきます。経営者は「黒字なのになぜ金が減るのか」と首を傾げますが、会計士は「資産化しているからです」と説明し、それで納得してしまいます。
半年が経ちました。PLは累計600万円の黒字ですが、実際には4200万円のキャッシュが消えています。でも貸借対照表には4800万円のソフトウェア資産が載っているので、経営者は「これだけの資産を作った」と誇らしげです。さらに開発を続けるため、この数字を根拠に追加の資金調達を進めます。
1年後、プロダクトをリリースしましたが、思ったほど売れません。それでも経営者は「まだ始まったばかり」と楽観的です。PLは相変わらず黒字なので、問題があるとは思えないのです。資産化された開発費は約1億円になりました。
2年目、売上は伸び悩み続けています。ようやく監査人が「このソフトウェア資産の回収可能性に疑義がある」と指摘し始めます。経営者は抵抗しますが、どう見ても当初計画の収益は達成できません。結局、1億円の資産のうち7000万円を減損処理することになりました。
その年のPLは突然7000万円の赤字です。投資家は激怒し、経営者は初めて事態の深刻さに気づきます。しかし時すでに遅し。2年間、黒字だと信じて判断を誤り続けた結果、撤退すべきタイミングを逃し、傷口を広げ続けていたのです。
ポエムを Notebook LM にいれてスライドにしました。