Vercel AI SDK useObject: リッチなストリーミングUIを簡単に
Vercel AI SDK useObject: 効率的なLLMストリーミング処理の実現
Vercel AI SDKのuseObject
フックを使用した経験から、その有用性と開発効率の向上について共有します。
useObjectの概要
useObject
は、Vercel AI SDKが提供するReactフックです。このフックを使用することで、AIからのストリーミングレスポンスをJSONオブジェクトとして簡単に扱うことができ、それを使ってリッチなストリーミングUIを簡単に作ることができます。
たとえば、以下のような UIを 10分で作ることができます。
主な特徴
- 使用の簡便性: APIエンドポイントとスキーマの指定だけで、AIレスポンスの処理が可能です。
- 型安全性: Zodスキーマを使用することで、型の整合性を確保できます。
- リアルタイム更新: ストリーミングデータをUIにリアルタイムで反映できます。
実装例
以下はuseObject
の基本的な使用例です:
const { submit, isLoading, object, stop } = useObject({
api: "/api/use-object",
schema: notificationSchema,
});
この実装により、submit
でAIにリクエストを送信し、object
でレスポンスを受信できます。また、isLoading
とstop
機能を使用することで、ユーザーインターフェースの制御が可能になります。
Remix での例ですが、サーバサイドは以下のように streamObject
関数を使うことで簡単に実装できます。
import { openai } from '@ai-sdk/openai'
import type { ActionFunctionArgs } from '@remix-run/cloudflare'
import { streamObject } from 'ai'
import { notificationSchema } from './schema'
export const action = async ({ request }: ActionFunctionArgs) => {
const context = await request.text()
const result = await streamObject({
model: openai('gpt-4-turbo'),
prompt: `Generate 3 notifications for a messages app in this context: ${context}`,
schema: notificationSchema,
})
return result.toTextStreamResponse()
}
zodスキーマはクライアント・サーバ共通で使います
import { DeepPartial } from 'ai';
import { z } from 'zod';
// define a schema for the notifications
export const notificationSchema = z.object({
notifications: z.array(
z.object({
name: z.string().describe('Name of a fictional person.'),
message: z.string().describe('Message. Do not use emojis or links.'),
minutesAgo: z.number(),
}),
),
})
// define a type for the partial notifications during generation
export type PartialNotification = DeepPartial<typeof notificationSchema>
Nextjs App Router での実装例は Vercel AI SDK 自体の Example にありますので参考にしてください。
開発サポートの実例と感想
useObject
が含まれたバージョンがリリースされた直後に使用を始めたのですが当時は、isLoading
状態とstop
機能が欠けていることに気づきました。これらの機能はユーザー体験を向上させる上で重要だと考え、Feature Request
のイシューとして開発要望を上げました。
驚いたことに、開発チームは報告を受けてすぐに対応し、わずか数日でこれらの機能を実装してくれました。この迅速な対応と機能追加には本当に感銘を受けました。オープンソースプロジェクトでここまで迅速かつ丁寧なサポートを受けられるのは稀です。
その後、実装されたisLoading
とstop
機能の使用中に軽微な問題を発見し、再度イシューとして報告しました。ここでも開発チームの対応速度に驚かされました。報告からわずか4時間以内に問題が修正されたのです。
これらの経験を通じて、開発チームの熱意と専門性が強く伝わってきました。単なる機能追加やバグ修正以上に、開発者コミュニティの声に真摯に耳を傾け、迅速に行動する姿勢を感じることができました。この対応の速さと質の高さは、useObject
を使い続ける上で大きな信頼感につながりました。
技術的な優位性に加えて、このような開発者サポートの質の高さも、useObject
の大きな魅力の一つだと感じています。ライブラリ自体の機能性だけでなく、背後にある開発チームの姿勢も、ツール選択の重要な要素になると実感しました。
フレームワークの互換性
useObject
の特筆すべき点として、Next.js App RouterだけでなくRemixでも使用可能な点が挙げられます。これにより、開発者は好みのフレームワークでAI機能を実装できます。フレームワークの選択肢が広がることで、既存のプロジェクトへの導入もスムーズに行えるでしょう。
使用例
useObject
は様々なシナリオで活用できます。例えば:
- チャットボットの応答生成
- AIを使用した文章要約
- リアルタイムでの自然言語処理タスク
これらのタスクでは、useObject
を使用することで、ストリーミングデータの処理とUIの更新を効率的に行うことができます。
注意点
useObject
は非常に強力なツールですが、適切に使用することが重要です。大量のデータを処理する場合は、パフォーマンスに注意を払う必要があります。また、AIモデルの選択と適切なプロンプト設計も、最終的な結果の質に大きく影響します。
結論
Vercel AI SDKのuseObject
は、AIを活用したアプリケーション開発を効率化する強力なツールです。使いやすさ、型安全性、そしてフレームワークの柔軟性を考慮すると、AIウェブアプリケーション開発において有力な選択肢となり得ます。
個人的な経験から、開発チームのサポート品質の高さも、このライブラリの大きな利点だと感じています。機能の迅速な追加や問題への素早い対応は、継続的な改善と信頼性を示しています。
AIを使用したウェブアプリケーションの開発を検討している場合、useObject
の使用を強くお勧めします。その機能と利便性は、開発プロセスを大幅に改善する可能性があります。ぜひ一度試してみてください。
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